薬代は経費にできない?仕訳の例と勘定科目や注意点を解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2024-09-20
薬代は、法人や個人事業主に関わらず、原則として経費に計上することができません。しかし、条件によって経費にできるケースもあるため、その違いを理解しておくと役立つでしょう。
この記事では、薬代を経費として計上する方法などについて詳しく解説しています。薬代の勘定科目や仕訳方法、経費計上の注意点についても触れるので、参考にしてください。
薬代は経費にできない?仕訳の例と勘定科目や注意点を解説
原則、薬代は経費にできない
薬代は、法人や個人事業主に関わらず、原則として経費に計上することはできません。一般的に、従業員の薬代や治療費は個人的なものであり、事業運営に直接関わる経費とはみなされないためです。
例えば従業員が風邪をひいたり、怪我をしたりして薬を購入する場合、その費用は個人の健康管理に関するものであり、事業の運営や利益に直接的に寄与するものではない、と考えられています。したがってプライベートな出費として扱い、経費には通常、含めません。
薬代を経費にできるケースもある
薬代は原則経費にできないものの、一部、経費にできるケースも存在しています。
もし特別なケースに該当する場合は経費として計上できます。ただし、薬代には適切な勘定科目があるため、しっかりと確認して仕訳することが大切です。
具体的な勘定科目と仕訳の方法は後述するので、実際に薬代を経費にする際は合わせて確認してください。
薬代を経費にできるケース・できないケース
薬代を経費にできるケース、あるいはできないケースにはどのような違いがあるのか、疑問に思う方は多いでしょう。以下ではそれぞれの具体例を挙げて解説します。
薬代を経費にできるケース
経費にできる薬代とは、会社に置いている常備薬や、健康管理に関連する薬の代金です。
従業員や来客の急病に備えて常備している薬には、風邪薬や鎮痛剤などが該当します。バンソウコウも常備薬の一種です。いずれも事業運営に必要なため、経費として認められています。
また胃腸薬など、従業員の健康管理を目的とした薬や治療費も福利厚生費として経費計上が可能です。
薬代を経費にできないケース
事業主やその家族のための薬は、個人的な支出と見なされるため、経費に計上できません。
例えば、事業主が自分のために購入した風邪薬や家族のための薬の代金は、事業運営に直接関係ないため、経費にできない費用です。
また、自宅用の薬も個人的な支出と見なされるため、自宅の家庭用薬箱に常備する風邪薬や鎮痛剤も経費として認められません。購入したものが同じでも、購入目的が経費として不適切であれば計上ができなくなる点に注意しましょう。
薬代を経費で落とす際に使う勘定科目
薬代を経費で落とす際の勘定科目には、次のいずれかを使用します。
福利厚生費
福利厚生費は、従業員の福利厚生に関連する費用を計上するための勘定科目です。従業員の健康管理を目的として購入する薬や治療費が福利厚生費に該当します。
例えば、インフルエンザ予防接種の費用や健康診断で使用する薬などです。これらの費用は、従業員の健康を維持し、業務効率を高めるためのものと考えられるため、福利厚生費として計上することができます。
なおインフルエンザ予防接種は全従業員に一律で受けさせる場合以外は経費に計上できないため注意しましょう。
消耗品費
消耗品費は、事務所や業務に関連する消耗品の購入費用を計上するための勘定科目です。事務所に常備する風邪薬、鎮痛剤、胃腸薬などの薬代などは消耗品費に該当します。
常備薬は従業員や来客の急病に対応するために必要であり、事業運営に直接関連するため、消耗品費に計上して経費で処理を行います。
来客用の薬については消耗品費となりますが、従業員が使用するものであれば、消耗品費、福利厚生費いずれの勘定科目でも処理が可能です。
ケース別の薬代の仕訳方法
もっと具体的に、薬代の仕訳方法を見てみましょう。ここでは3つのケースを例に挙げて解説します。
ケース1.従業員のための薬
風邪薬や鎮痛剤、健康診断に関連する薬など、会社が従業員の健康管理のために現金で1,000円分の薬を購入した場合の仕訳は、次のように行います。
・仕訳:
借方:福利厚生費 1,000円 貸方:現金 1,000円
従業員の健康維持のための費用は「福利厚生費」として計上されるため、借方の勘定科目は「福利厚生費」です。
また現金で支払っているため、貸方の勘定科目は「現金」で処理されます。
ケース2.来客用の常備薬
来客対応のために、事務所に現金で常備薬を購入した場合、仕訳は次のようになります。
・仕訳:
借方:消耗品費 500円 貸方:現金 500円
来客用の薬代は「消耗品費」として計上されるのが特徴です。従業員のための「福利厚生費」にはならないことに注意しましょう。
貸方の勘定科目は、現金を購入に使っているため、「現金」で処理を行います。
ケース3.事務所の従業員用常備薬
従業員が使用するための事務所常備薬を現金で購入した場合、仕訳の方法は次のとおりです。
・仕訳:
借方:消耗品費 800円 貸方:現金 800円
事務所内で使用される常備薬の費用は「消耗品費」として計上されますが、全社員が使える常備薬は「福利厚生費」として計上しても間違いではありません。
購入には現金を使用しているため、貸方の勘定科目は「現金」で処理されます。
薬代を仕訳する際の注意点
薬代の仕訳をする際には、以下の点に注意を払いましょう。
薬の使用目的を明確に記録する
事業の運営に必要な薬代は経費として認められますが、経費にできるかどうかを判断するには、誰のための薬かを明確にする必要があります。
例えば、従業員や来客の急病に備えるための事務所の常備薬は、経費として計上できるものです。
したがって、薬を購入する際には、薬の使用目的を明確に記録し、後で証明できるようにしておくことが重要です。薬が従業員用なのか、来客用かによっても処理方法が違うため、使用目的の記録は欠かせません。
個人的に使用する薬代は経費として計上できない
先述した通り、事業主やその家族が個人的に使用する薬代は経費として計上できません。
例えば、事業主が風邪をひいて購入した薬や家族のための薬は個人の支出とみなされるため、これらは事業経費とは認められないものです。
個人的な薬代を経費で処理していると、税務調査での指摘を受けて課税が行われることもあります。個人的な薬代と、そうでない薬代との区別を明確にすることで、税務調査時の指摘を避けることができるでしょう。
常備薬やマスク代などの種類に応じて適切な勘定科目を選ぶようにする
薬代を経費として計上する際には、その使用目的に応じて適切な勘定科目を選ぶ必要があります。
例えば、事務所の来客用常備薬は「消耗品費」として計上し、従業員の健康診断にかかわる薬や、健康管理を目的とした薬や治療費は「福利厚生費」として計上するなどです。
この区分けを適切に行うことで、正確な経理処理が可能となります。何にどのくらいの経費が使われているといった分析も正確なものとなり、事業の効率化に役立つでしょう。
まとめ
薬を経費にするためには、いくつかの条件を満たしている必要があります。経費にする際は、従業員の福利厚生に資するものなのか、来客用のものなのかをはっきりさせ、勘定科目に反映させることが大切です。一方、個人的なものは経費に計上できないため注意しましょう。
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