通勤手当を経費として実費精算するには?実費精算の流れと注意点

近年、テレワークの導入によってオフィスに通う必要のない人が増え、通勤手当を廃止して実費精算するなど、通勤手当の取り扱いを変更している企業が増えています。

通勤手当を実費精算する場合、オフィスに出勤する日数によっては経費として計上が可能なる場合があるだけでなく、人件費などの経費の削減も期待できるでしょう。

ただし、実費精算に変更すると従業員の交通費の申請が毎月必要になり、新たな事務処理が発生します。そのため、社内の制度を変更する前には、制度変更の必要性や実費精算の流れなどを確認しておくことが大切です。

この記事では、通勤手当の基本事項と実費精算の概要、注意点などを解説します。

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通勤手当を経費として実費精算するには?実費精算の流れと注意点

知っておきたい通勤手当の基本

通勤手当を実費精算する方法について解説する前に、通勤手当の概要と通勤手当と交通費の違いについて解説します。

通勤手当とは

通勤手当は、福利厚生の一環として多くの企業が採用している手当です。労働基準法で支給が定められている時間外手当や休日手当などとは異なり、通勤手当には法的な支給義務がありません。そのため、通勤手当を支給するか否かは企業が自由に決められ、支給内容や支給条件も企業によって異なります。 通勤手当は一定の金額まで非課税となっているため、従業員には税制上のメリットがあります。非課税限度額は通勤方法によって異なり、自家用車や自転車などで通勤している場合は片道の通勤距離に応じて非課税限度額が決まり、バスや電車などで通勤している場合は1ヵ月あたり15万円が非課税限度額となります。 参照: 国税庁|No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当 国税庁|No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当

通勤手当と交通費の違い

通勤手当と混同されがちな言葉として「交通費」があります。通勤手当と交通費はどちらも従業員の移動にともなう費用ですが、支給目的や税制上の取り扱いが異なります。
支給目的 取り扱い
所得税 その他の税等
通勤手当 自宅から勤務先までの移動にかかる費用の補助 一定の金額までは非課税 雇用保険料、社会保険料の算出時は算定基礎に含める
交通費 営業や出張など、業務の移動にかかる費用の補助 経費であるため課税対象外 経費であるため算定基礎に含まない
通勤手当と交通費の取り扱いの違いに注意し、区分して適切に管理しましょう。

通勤手当は経費として実費精算できる場合もある?

テレワークなど働き方が多様化し、通勤手当を実費精算する企業も登場しています。通勤手当を実費精算する2つのパターンと、実費精算するメリット・デメリットを紹介します。

実費精算の2つのパターン

通勤手当の実費精算を企業で実施する場合、通勤手当を廃止して通勤にかかった費用を実費精算にする方法と、通勤手当を廃止せず、通勤手当と実費精算を併用する方法の2つがあります。

通勤手当を廃止して実費精算にする方法は、通勤費の実情により即した方法だといえます。通勤手当が実費精算に完全に切り替わるため仕組みがわかりやすく、ルールを明確化して周知すれば従業員も手続きしやすいでしょう。

ただし、経費として精算するには、雇用契約書などで従業員の勤務地を「自宅」もしくは「会社が指定した場所」にし、出張旅費規程を作成する必要があります。

また、従業員の通勤状況によっては、通勤手当を完全に廃止せず、通勤手当と実費精算を併用する方法も有効です。この方法では「週○日以上オフィス勤務の場合は通勤手当を支給し、それ未満は実費精算」などの基準を設けて運用します。通勤手当と実費精算を併用することで、通勤手当と実費精算の双方のメリットを活かせるでしょう。

通勤手当を実費精算するメリット・デメリット

通勤手当を実費精算にするメリットとして挙げられるのは、経費の削減です。テレワークの導入により、オフィスに出勤する日数が少なくなった場合には、通勤手当を支給するより実費精算にするほうが安く済む可能性があります。

一方で、実費精算の導入にはさまざまな課題があります。これまで通勤手当として一律で支払っていた通勤費をその都度精算する必要があり、事務負担は大幅に増加します。手当支給条件の変更には就業規則の改正が必要になり、改正後のルール周知も欠かせません。

また、通勤手当の実費精算、および通勤手当を廃止し経費として実費精算するには、いずれも加入している社会保険の変動手続きが必要になる場合がある点にも留意すべきでしょう。いずれの場合も、通勤手当分の賃金が変動し、支払う保険料額も異なる可能性があるためです。

加えて、通勤手当を経費として実費精算する場合、前述のとおり雇用契約の変更手続きが生じるほか、社会保険料の変動手続きも必要です。
通勤手当と経費に関する諸手続きは、社会保険の例外規定の対象になったり事実認定が必要になったりと、複雑になるケースも少なくありません。そのため、適宜管轄の年金事務所や社会保険労務士などの専門家に相談するとよいでしょう。

実費精算を導入する際は、導入のメリット・デメリットをよく比較して、デメリットを可能な限り少なくできるような対策が必要だといえるでしょう。

通勤手当の経費精算方法

オフィスに通う際の費用を経費として精算する際に必要なものや、手続きの流れを紹介します。

通勤手当の経費精算に必要な物

オフィスへの通勤費用を経費精算するには「実費精算の2つのパターン」で紹介したように、雇用契約書などで勤務地を「自宅」もしくは「会社が指定した場所」とし、出張旅費規程を作成しなければなりません。加入している社会保険によっては、社会保険の変更手続きも必要になるでしょう。

これらをおこなうことで、通勤費を「旅費交通費」として経費精算できるようになります。

また、経費精算の際には、領収書など経費の内容を証明するものが必要です。領収書等を用意することで、経費の二重精算や過払いを防げます。どのようなものがあれば精算できるのかを明示し、あらかじめ従業員に周知しておくことが大切です。

通勤手当の経費精算の流れ

通勤費の経費精算は「従業員からの申請」「経理部門での確認・承認」「従業員に支給」という流れで進めるのが一般的でしょう。

まず、交通費精算書などを用いて、従業員が通勤時に支払った費用を申請します。次に、経理部門で申請内容に不正・不備がないかの確認や、通勤費の算出をおこないます。その後、上司等の責任者の承認を受けたうえで経理部門が処理すると、給与とともに従業員に支給されます。

通勤手当実費精算の3つの注意点

通勤手当を実費精算する場合の注意点を3つ紹介します。実費精算の実施は、注意点をふまえて検討したほうがよいでしょう。

実費精算の必要性を明らかにする

通勤手当の実費精算には経費削減を期待できる一方で、事務作業の増加というデメリットもあります。実費精算により経費を削減できたとしても、事務作業の増加により新たな費用が発生してしまえば、実費精算を実施する意味が薄れてしまいます。

実費精算を実施する前に、なぜ実費精算が必要なのか、実費精算によってどのような効果が得られるのか、費用対効果はあるのかなどを明らかにしておきましょう。実費精算の意義が明確であれば、従業員に対する説明にも説得力が生まれます。

精算のルールを明確化しておく

どのような場合に通勤費が支給されるのか、どのような手続きが必要なのか、手続きに必要なものはなにかなど、精算のルールを明確にしておきましょう。

実費精算は従業員一人ひとりの状況に応じておこなわれます。定期券を利用している場合や複数の公共交通機関を利用している場合など、従業員の通勤状況はさまざまです。各ケースでどのように精算するのかを明らかにしておき、従業員の理解を得ておきましょう。

事務負担の増加に備える

実費精算を実施すると、事務作業が大幅に増えます。経理部門の事務負担が増えるのを防ぐために、経費精算のためのシステムを導入するなどの対策をとりましょう。

速く正確な経費精算なら「バクラク」におまかせ

「バクラク」は経費精算をはじめとした企業の支出管理を一本化し、業務効率化を支援するサービスです。バクラクのサービスおよび導入事例を紹介します。

事務作業を効率化できるバクラクのサービス

通勤手当の実費精算による事務作業の増加に備えるなら「バクラク 経費精算」がおすすめです。バクラク 経費精算を利用すれば、経費精算が効率化するだけでなく、事務処理のミスも防げます。

<バクラク 経費精算の機能>

  • 領収書一括自動読み取り
  • 二重申請自動検知
  • 交通系ICカードの読み取り
  • 承認経路分岐
  • 交通経路検索/定期区間控除
  • 代理申請/代理承認

安心してサービスを利用できるよう、サービス導入後もスタッフがしっかりとサポートします。バクラク 経費精算の詳しい内容を知りたい場合は、下記のリンクからご確認ください。

バクラク 経費精算

バクラクのサービス導入事例

法人向け健康管理システムなどを提供する株式会社iCAREにおける、バクラクのサービス導入事例を紹介します。

同社では、承認済み予算の消化率確認に手間がかかることや、仕訳処理の際に過去の仕訳の情報を別の画面で参照しながら入力するため時間がかかることなどが、課題となっていました。

この課題を解消するために、より使い勝手の良いサービスがないか検討していたところに出会ったのが、バクラクのサービスです。

他社からのおすすめを受けてバクラクをトライアルで利用したところ、予算消化率がツールで確認できる点や利用中のクラウド会計ソフトとのAPI連携ができる点などが決め手となり、導入しました。

同社はバクラクのサービスを複数導入しているため、支払申請や経費精算、その他の稟議がバクラク上で完結します。これにより、IDや所属部署などを一元管理できるようになり、異動や昇進があった際にも、一部のデータを変更すれば経費精算にも簡単に反映できるようになりました。

また、バクラク 申請のSlack連携機能により、各種申請の承認がSlack上でおこなえることで、従業員の申請に対するハードルが下がりました。従業員がきちんと申請をおこなうようになり、結果的に内部統制強化につながっていると感じているそうです。

株式会社iCAREの導入事例についてさらに詳しく知りたい方は、以下からご覧ください、

あらゆるワークフローをバクラクで一元管理。自由度の高い経路設定とSlack連携でスピーディな承認を実現|株式会社iCARE

まとめ:通勤手当の経費精算を効率化して事務負担を減らそう

通勤手当を実費精算すると、経費削減につながる可能性がありますが、従業員一人ひとりの状況に応じて対応が必要なため、事務作業が増加してしまいます。そのため、社内制度を変更する場合は、通勤手当を実費精算する必要性や制度変更のメリット・デメリットを理解したうえでおこなうことが大切です。

また、通勤手当の実費精算による事務作業の増加に備えるには、経費精算システムなどの導入を検討するとよいでしょう。

 

バクラクは請求書処理や経費精算などの支出監理をなめらかに一本化し、企業が抱える事務や経理の悩みを解決します。事務処理に手間がかかってほかの業務に支障が出ている、より効率良くデータを処理したいなどのお悩みを持つ場合は、ぜひバクラクにお任せください。

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