
法人カード決済でインボイス制度に対応できる?使える証憑やポイントを解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2026-02-16
- この記事の3つのポイント
- 法人カードで経費を支払った場合でも、仕入税額控除を受けるには適格請求書の保存が必要である
- 決済で複数の書類が発行されるが、仕入税額控除は適格請求書の要件を満たす書類しか受けられない
- インボイス制度への対応には取引先への依頼や、インボイス未発行企業への対応・検討が必要である
インボイス制度の開始により、法人カードを利用した経費処理にも新しいルールが加わりました。 本記事では、仕入税額控除に必要な適格請求書の要件や、法人カード決済で発行される書類の対応可否、効率的な管理方法について詳しく解説します。
1.仕入税額控除を受けるためには適格請求書が必要
法人カードで経費を支払った場合でも、仕入税額控除を受けるには「適格請求書」の保存が欠かせません。
レシートやクレジット売上票でも支払いの事実を証明できる場合があります。ただし、インボイス制度においては、上記の書類だけでは不十分な場合があるため、要件を満たす適格請求書を保存することが重要です。
消費税の仕入税額控除は「売上時に受け取った消費税額」から「仕入れや経費で支払った消費税額」を差し引き、差額を納税する仕組みです。
インボイスを保存していない場合、控除が適用されず、納税額が増える可能性があります。したがって、法人カードで決済した際も、支払いの証憑とともに取引先から適格請求書を受け取ることが重要です。
適格請求書には、以下の要件が定められています。
- 適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
- 取引が行われた年月日
- 取引内容(軽減税率対象品目であればその旨)
- 税率ごとに区分した税抜または税込の対価の合計額と適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額
- 請求書の交付を受ける事業者の氏名または名称
法人カード決済時のレシートや売上票はあくまで補足資料であり、仕入税額控除を確実に受けるには、適格請求書の保存が必須です。
仕入額控除や適格請求書の要件については以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご確認ください。
関連記事:消費税の「仕入税額控除」とは?計算方法・仕組み・要件をわかりやすく解説
関連記事:適格請求書の要件とは?記載事項や満たさない場合の対応について解説
2.法人カード決済で発行される書類とインボイス制度への対応可否
法人カードで支払いをした際には、領収書やレシート、クレジット売上票、利用明細など複数の書類が発行されます。
ただし、インボイス制度において仕入税額控除を受けられるのは「適格請求書」の要件を満たす書類に限られます。それぞれの対応可否について見ていきましょう。
2-1.領収書
法人カード決済でも、発行された領収書が適格請求書または適格簡易請求書の要件を満たしていれば、インボイスの証憑として使用可能です。
ただし、クレジット決済は「信用取引」にあたり、代金が即時に受け渡されるわけではないため、領収書自体が発行されないケースも少なくありません。領収書が発行される場合でも「クレジットカード払い」など現金取引と区別するよう記載されるのが一般的です。
法人カード利用時に領収書が発行されない場合は、支払先に発行を依頼するとよいでしょう。なお、手書きの領収書であっても、インボイス要件を満たしていれば証憑として認められます。
インボイス制度における領収書の書き方については以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
関連記事:インボイス制度における領収書の書き方(課税・免税事業者)
2-2.レシート
法人カードで買い物をしたときに受け取るレシートも、条件を満たせばインボイスの証憑として使用可能です。ただし、レシートが適格簡易請求書(簡易インボイス)の要件を満たしている場合に限られます。
適格簡易請求書とは、小売業や飲食業、タクシー業など不特定多数の顧客に対して発行が認められた簡易版のインボイスです。記載内容は、通常の適格請求書より簡略化されていますが、事業者登録番号の記載は必須です。
法人カードで受け取ったレシートを証憑として使う場合は、インボイス要件を満たしているか確認し、必要事項が欠けている場合には別途領収書を依頼しましょう。
インボイス制度における適格簡易請求書について、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひお読みください。
関連記事:インボイス制度における「適格簡易請求書」とは? 適格請求書との違いと交付の条件、発行方法について解説
2-3.クレジットカードの売上票
法人カードで決済すると、レシートと一緒にクレジットカードの売上票(利用伝票)が発行されます。クレジット売上票は、カード会社を通じて取引が行われたことを示す書類で、証憑資料として利用される場合があります。
しかし、税務上は領収書としては扱われず、インボイスに必要な要件も満たしません。インボイス制度下では、売上票は仕入税額控除を受けるための証憑として使用できないため、注意しましょう。
2-4.クレジットカードの利用明細
カード会社から定期的に送付される利用明細は、一定期間の決済内容や合計金額を把握するために便利な書類です。取引の流れを確認する目的で預金通帳や領収書と合わせて保管しておくと、社内管理に役立ちます。
ただし、利用明細はカード会社が利用者に発行するもので、取引先が発行するものではありません。
購入内容まで明細に記載されていないことが多く、証憑書類として認められない点に注意しましょう。インボイス制度においても同様です。
3.インボイス制度による法人カードの経費処理の変更点
インボイス制度の開始により、法人カードを使った経費処理のルールも大きく変わりました。本章では、インボイス制度による法人カードの経費処理の変更点を2点解説します。
3-1.適格請求書の保存が義務になった
インボイス制度の施行で、適格請求書を証憑として保存する義務が発生しました。法人カードを用いた支払いであっても、適格請求書を受領した場合は、必ず保存しなければいけません。
インボイスの保存期間は、個人事業主・法人を問わず、交付日が属する課税期間の末日から2カ月を過ぎた日の翌日より、7年間です。
さらに、電子帳簿保存法の改正に伴い、紙の形式だけでなく電子データの形式で受領した場合も、適切に保存できる環境を整える必要があります。法人カード決済を含む経費処理においては、インボイス保存ルールの徹底と、保存形式への対応が欠かせません。
電子帳簿保存法における領収書の保存方法については、以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
関連記事:電子帳簿保存法における領収書の保存方法とは?電子化のルールや注意点も解説
3-2.少額特例という経過措置が設けられた
従来は、3万円未満の取引であれば領収書がなくても帳簿への記載だけで仕入税額控除が認められていました。しかし、インボイス制度開始後は取引金額が3万円未満であっても、原則として適格請求書の保存が義務化されました。
事務負担が増えてしまうため、現在では経過措置として「少額特例」が設けられています。少額特例では、税込1万円未満の取引に限り、適格請求書がなくても帳簿の保存のみで仕入税額控除が可能です。
ただし、対象者は基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者に限られます。また、適用期間も2023年10月1日から2029年9月30日までの6年間に限定されています。
インボイス制度の経過措置における80%控除については、以下の記事でご確認ください。
関連記事:インボイス制度の経過措置における80%控除とは?適用要件や計算方法
4.法人カード導入企業がインボイス制度に対応するためのポイント
法人カード導入企業がインボイス制度に対応するためには、各取引先に発行を依頼をしたり、インボイスを発行していない企業への対応を検討したりする必要があります。本章では、インボイス制度に対応するためのポイントを詳しく見ていきましょう。
4-1.必要に応じて各取引先にインボイスの発行を依頼する
クレジットカード発行会社が発行するクレジット売上票やカード明細は、取引先が発行した領収書等に該当しないため、インボイス制度による消費税仕入額控除を受けられません。
法人カードを利用して決済し、インボイス制度による消費税仕入額控除を受けたい場合は、各取引先から領収書を直接発行してもらうのが原則です。
ただし、クレジットカード会社や取引の内容によっては、カード明細とは別に、インボイス制度の要件を満たす適格請求書を発行してくれるケースもあります。
法人カードを導入していて、消費税仕入額控除を受けたい企業は、早めに各加盟店に問い合わせておくことが大切です。
4-2.インボイスを発行していない企業への対応を検討する
インボイスを発行していない企業からの請求書は、適格請求書に該当しないため、消費税仕入税額控除を受けられません。商品・サービスを仕入れる際の負担が増え、利益の低下につながります。
対策として、インボイスを発行していない企業との取引を見直したり、控除を受けられない消費税分を減額して取引したりすることで、負担軽減が期待できます。企業としては、対応方法を決め、決定した内容を取引先に伝えることが大切です。
インボイス未登録事業者との取引における消費税や支払の注意点については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
関連記事:インボイス未登録事業者との取引における消費税や支払の注意点
5.インボイス制度における法人カード利用のメリット
インボイス制度の導入により経理業務が複雑化する一方で、法人カードの利用には以下のようなメリットがあります。
- 経費情報を一元管理でき、立替精算や小口現金処理の手間を省ける
- 会計ソフトとの連携で、仕訳作業が自動化され入力漏れやミスを防止できる
- カード利用明細をレシートとひも付ければ、証憑管理もスムーズ
インボイス制度では、法人カードを利用することで、経理担当者の業務負担を軽減し、制度対応に伴うリスクを抑えることが可能です。インボイス制度への対応を見据え、法人カードを活用することは非常に有効な選択肢といえます。
法人カードを導入するメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:法人カードを導入するメリットとは?デメリットや実際の運用事例
6.経費精算やインボイス管理を効率化できる「バクラクビジネスカード」
インボイス制度では、法人カード利用時も適格請求書の保存が必要であり、経費処理の正確さと効率性が重要です。領収書やレシート、売上票など複数の書類を管理するのは煩雑で、経理担当者の負担増加につながりかねません。
法人カードの利用と合わせることで、インボイス対応や証憑管理を効率化できる仕組みを導入することが重要です。
「バクラクビジネスカード」なら、AI-OCRによる領収書とカード明細の自動突合や、利用報告がない明細への自動催促が可能です。仕訳の自動作成と会計ソフトの連携により、経費精算の手間も大幅に削減できます。
さらに、電子帳簿保存法への対応やインボイス制度対応機能も備えており、追加工数なく法令に準拠した運用が可能です。経費精算からインボイス管理までまとめて効率化したい方は、以下のページから「バクラクビジネスカード」の導入をご検討ください。
法人カードのインボイス制度対応業務と対策についてもっとよく知るには
2023年10月から開始したインボイス制度。法人カードのご利用についても、インボイス制度への対応が必要になり、カード決済の際に適切な対応を取らないと税負担が増えてしまうリスクがあります。
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