労働時間が週40時間を超過するとどうなる?上限規制の内容や罰則を紹介

労働時間が週40時間を超過するとどうなる?上限規制の内容や罰則を紹介

労働時間が週40時間を超えると、企業は36協定の締結や上限規制が求められます。2019年の法改正以降は罰則付きで制限が設けられ、2024年からは猶予のあった職種にも適用が広がりました。本記事では上限規制の詳細や罰則を解説します。

1.基本的な労働時間のルール

労働基準法では、労働時間は原則として1日8時間、週40時間以内と定められており、さらに毎週少なくとも1日の「法定休日」を与える必要があります。これを超えて労働させるには、労使間で36協定を締結し、労働基準監督署に届け出なければなりません。

協定では時間外労働の内容や上限を定める必要があり、原則として時間外労働は月45時間、年360時間が限度です。また休日には「法定休日」と「所定休日」があり、法定休日に労働させた場合には、休日労働割増賃金が発生します。

所定休日は週40時間の労働時間に含まれる点にも注意が必要です。労働時間の基本は「1日8時間・週40時間以内」と「法定休日の確保」であり、超過する場合には必ず36協定の締結が前提となります。

ケース別の労働時間の計算方法については、以下のページで解説しているので、ぜひご覧ください。

関連記事:週40時間労働を超えたら違法?労働時間の計算方法をケース別に解説

2.時間外労働の上限規制とは

時間外労働の上限規制とは、労働基準法の改正によって導入された「罰則付きの残業時間の制限」です。ここからは、上限規制改正の概要と改正に至った背景を見ていきましょう。

2-1.改正の概要

2019年の労働基準法改正により、時間外労働には罰則付きの上限が設けられました。以前は、36協定に特別条項を付ければ事実上上限なく残業させることが可能でしたが、現在は法律に基づいた厳格なルールが課せられています。

改正の理由は、長時間労働の常態化です。改正後は「原則として月45時間・年360時間以内」が明文化され、臨時的な特別事情がある場合でも以下の条件を超えることはできません。

  • 時間外労働は年間720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満
  • 複数月平均で80時間以内
  • 月45時間を超えられるのは年6カ月まで など

改正のポイントは「特別条項付きでも無制限の残業は不可能になった」という点で、企業には、より厳格な労働時間管理が求められるようになりました。

2-2.改正に至った背景

改正が行われた最大の目的は、長時間労働の是正です。過度な残業は心身の健康を害し、うつ病や過労死・過労自死といった深刻な問題を引き起こしてきました。

長時間労働により休息や睡眠が不足すれば労働者は心身を回復できず、重大な健康被害を引き起こします。また仕事と家庭の両立が難しくなり、少子化や家庭不和といった社会的課題を招く原因にもなります。

過労死問題が相次いだことや、労働者のメンタルヘルス悪化が社会問題化したことを受け、ワークライフバランス改善と働き方改革の一環として、残業時間の上限規制が導入されたのです。

3.時間外労働の上限規制の詳細

時間外労働には、月45時間や年720時間といった基本ルールに加え、休日労働を含めた合計時間や複数月平均での上限もあります。ここからは、時間外労働の上限規制の詳細について見ていきましょう。

3-1.⽉45時間を超える時間外労働は年6回まで

月45時間を超える残業は、年6回までと決められています。この仕組みは、長時間労働が常態化しないようにするために導入されました。過度な残業が続くと心身の不調につながりやすく、働く人の健康を守るには制限が必要であるためです。

たとえばある月に60時間残業したとしても、年間で6回までならルールの範囲内です。ただし7回目以降は違反となり、企業側は法律違反として罰則の対象となります。

残業時間を管理する際は単に月ごとの時間だけでなく、年間を通しての確認も必要です。

3-2.時間外労働は年間720時間以内

時間外労働の合計は、年間で720時間までと定められています。この決まりは、36協定に特別条項を設けていても超えることはできません。

時間外労働の時間上限があるのは、残業が長期間にわたり積み重なると、心身への負担が大きくなるためです。年間を通じて健康を維持するには、労働時間に一定の枠を設ける必要があります。

たとえば、1年のうち6カ月は月45時間以内に抑えなければならないため、残りの6カ月で使える残業時間は合計450時間です。月平均にすると最大75時間までが限度となります。

もし年間で721時間に達してしまえば、1カ月ごとの残業が少なくても違反とみなされます。時間外労働の管理では「月ごと」と「年間」の双方で上限を確認することが欠かせません。

3-3.時間外労働・休日労働の合計は月100時間未満

残業と休日労働を合わせた合計は、1カ月で100時間未満に収める必要があります。休日労働もカウントされる点は、特に注意が必要です。

時間外労働と休日労働の合計ルールは、休日に働くことで実質的な労働時間が大きく膨らむことを防ぐために設けられています。平日の残業だけでなく、休日の労働も合わせて制御することが、労働者の負担軽減につながります。

たとえば、残業45時間と休日労働55時間を行えば合計100時間となり、ルール違反です。残業が少なくても休日労働を足すと基準を超えてしまうケースもあるため、注意しましょう。

3-4.時間外労働・休日労働は2〜6カ月平均で80時間以内

時間外労働と休日労働の合計は、2〜6カ月のどの期間をとっても平均で月80時間以内に抑えなければいけません。この規制は一時的な繁忙期だけでなく、中期的に見た場合でも過労を防ぐために導入されました。

もし数カ月連続で長時間労働が続けば大きな負担となり、労働者の健康を害する恐れがあるためです。

たとえば2カ月平均で75時間なら基準内ですが、その後の残業が増えて6カ月平均で90時間となれば、違反と判断されます。「一部の期間だけ守れば良い」ものではなく、2〜6カ月すべての平均で基準を満たさなければなりません。

このルールは「短期的な例外」ではなく「中長期的な安全」を守るための仕組みです。企業は毎月の労働時間だけでなく、複数月の推移を見ながら管理しておきましょう。

月平均所定労働時間については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

関連記事:月平均所定労働時間とは?計算方法や上限を解説

4.法律を違反した場合の罰則

労働時間の上限規制に違反した場合、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が労働基準法により定められています。罰則の対象となるのは、36協定を締結せずに時間外労働をさせたケースだけではありません。

36協定を結んでいたとしても、協定で定めた時間を超えて残業を命じた場合は違法です。

法定の上限を超えるケースも同様で、たとえば時間外労働と休日労働の合計が月100時間以上になったり、2〜6カ月の平均で80時間を超えたりした場合には、協定の内容に関係なく違反として扱われます。

かつては告示による基準に罰則がなかったため、特別条項を設ければ無制限の残業も可能でした。しかし2019年の法改正で規制が強化され、法律上のルールと罰則が明確化されました。今後は企業が法を守り、労働者の健康を守ることが強く求められます。

5.上限規制の適用が猶予されていた職種・事業

時間外労働の上限規制は、すべての業種に一斉に適用されたわけではなく、医師や建設業、自動車運転業務、鹿児島県および沖縄県の砂糖製造業など一部の職種では2024年3月末まで猶予されていました。

しかし2024年4月からは、これらの職種にも原則どおり上限規制が適用されています。

事業・業務

猶予期間中の取扱い

(2024年3月31日まで)

猶予後の取り扱い

(2024年4月1日以降)

建設事業

上限規制は適用されない

・災害の復旧・復興の事業を除き、上限規制がすべて適用される

・災害の復旧・復興の事業については時間外労働と休日労働の合計について以下の規制は適用されない

月100時間未満

2~6カ月平均80時間以内

自動車運転の業務

・特別条項付き36協定を締結する場合の年間上限は960時間

・時間外労働と休日労働の合計について、以下が適用される

月100時間未満

2~6カ月平均80時間以内

・月45時間超を認めるのは年6カ月までとする規制は適用されない

医師

具体的な上限時間は今後、省令で定められる予定

鹿児島県・沖縄県の砂糖製造業

時間外労働と休日労働の合計について以下の規制は適用されない

月100時間未満

2~6カ月平均80時間以内

上限規制がすべて適用される

2024年4月以降は例外の多くがなくなり、猶予のあった職種も含めて労働時間の上限を守ることが必須です。

6.時間外労働の上限規制への対策

時間外労働の上限規制を守るには、まず社内の実態を把握したうえで、制度面や評価基準、勤怠管理方法を見直すことが重要です。ここからは、時間外労働の上限規制への対策について見ていきましょう。

6-1.残業状況を把握する

残業削減の第一歩は、自社の残業が「どこで・どの程度」発生しているかを正確に把握することです。部署ごとや個人ごとの残業時間を確認すれば、特定の部門や社員に業務が集中しているなどの原因を見つけやすくなります。

把握ができていなければ、全社的な一律対策に終始してしまい、残業が減らない状況に陥りがちです。一方、詳細に調べることで、業務の偏りや繁忙期の傾向など、具体的な課題を特定できます。

たとえば人員不足が残業の原因であれば、新たな人材の採用や配置転換を進めると効果的です。残業の現状を数値と事実で把握することが、次の改善ステップにつながります。

6-2.残業申請制度やノー残業デーを設ける

無駄な残業を抑える手段として有効なのが、残業を申請制にする仕組みです。社員が残業前に業務内容や予定時間を上司に申請し、承認を得てから働く形にすると、本当に必要な残業かどうかを精査できます。

残業申請制度により、残業理由や発生しやすい業務内容が可視化されるため、単なる抑制にとどまらず、業務改善の材料にもなります。さらに社員が時間を意識して働くようになり、生産性の向上にもつながるでしょう。

併せてノー残業デーを導入すれば、組織全体の意識改革を進めやすくなります。月に1日から始めて徐々に週1日へと広げれば、従業員が残業を前提としない働き方に慣れていくでしょう。

6-3.評価制度を見直す

長時間労働を評価する人事制度が残っていると、社員は「残業が求められている」と誤解してしまいます。そのため評価基準を見直し、労働時間ではなく生産性や効率を重視する仕組みに切り替えることが重要です。

業務を効率よく進めた社員を正しく評価できれば、自然と残業の削減にもつながります。また管理職に対しては自身の成果だけでなく、部下や部署全体の労働時間管理を評価項目に含めることも効果的です。

評価制度の見直しは会社全体の働き方改革を後押しし、長期的に健全な労働環境をつくる基盤になるでしょう。

6-4.勤怠管理の方法を検討する

労働時間を正確に把握できなければ、上限規制を守ることはできません。タイムカードやエクセルだけでは打刻ミスや申告漏れが発生しやすいため、リアルタイムで労働状況を把握できる勤怠管理システムの導入がおすすめです。

厚生労働省のガイドラインでは、ICカードやパソコンの使用記録などの客観的データを基にして、勤怠を管理することが推奨されています。単に労働時間を合計するのではなく、始業・終業の記録を根拠として正確に把握することが求められます。

また規制では月45時間の上限や年720時間以内、休日労働を含めた月100時間未満、2〜6カ月平均80時間以内といった複数の基準を同時に満たさなければなりません。システムを活用すれば、こうした複雑な条件も自動で管理でき、違反リスクを大幅に減らせます。

7.社員の労働時間を正確に勤怠管理するならバクラク勤怠がおすすめ!

労働基準法では1日8時間・週40時間が基本で、時間外労働には月45時間・年360時間といった上限規制が設けられています。2019年以降は特別条項付き36協定を結んでいても罰則付きの制限が課され、2024年からは猶予のあった職種にも適用が広がりました。

時間外労働の上限規制を守るには、勤怠を正確に管理し、リアルタイムで状況を把握できる仕組みが欠かせません。そこで役立つのが「バクラク勤怠」です。

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