有給を入社後すぐ付与するには?要件や付与時の注意点について解説

有給を入社後すぐ付与するには?要件や付与時の注意点について解説

有給は、入社後6カ月を経過したタイミングで付与されるのが一般的です。一方、従業員の満足度向上や離職・欠勤の防止を図るため、入社後すぐに有給を支給する企業も存在します。ただし、無条件で有給の前倒しが可能なわけではありません。 本記事では、有給を入社後すぐに付与するための成立要件や、分割付与するときの注意点を解説します。

1.有給の基本的なルール

有給は、雇用形態を問わず付与条件に応じて支給される休暇です。有給の基本的なルールは以下のとおりです。

項目

ルール

付与条件

・雇い入れの日から6カ月間継続勤務していること

・全労働日の8割以上出勤していること

付与日数

・10日以上

・最高年間20日

※勤続年数や勤務時間によって異なる場合あり

取得義務

・年5日以上の有給取得義務

上記を満たしていない場合は、労働基準法違反となり30万円以下の罰金が科されます。

また、2019年4月1日より年5日以上の有給取得が義務付けられているため、企業は

従業員一人ひとりの取得状況を把握したうえで、適切に対応しなければいけません。

参考:e-Gov法令検索「労働基準法第百二十条

以下の記事では、有給休暇の詳しいルールや年5日の有給取得義務について解説しています。詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。

関連記事:有給休暇とは?法律上の最大付与日数やタイミング・ルールについて解説

関連記事:年5日の有給休暇取得義務化とは?労働基準法(労基法)で定められた期限や罰則を詳しく解説

2.有給を入社後すぐ付与することは可能

有給は入社後6カ月以降に付与されるのが一般的ですが、期間を空けずすぐに支給することも可能です。有給の基本的なルールはあくまでも最低限のものであり、早く付与する分には問題ありません。

入社後すぐに有給を付与すると、以下のようなさまざまなメリットを得られます。

  • 福利厚生の向上
  • 欠勤や離職の防止
  • 休暇取得の促進
  • 従業員満足度の向上

入社後6カ月を待たずに有給が付与される制度は、従業員にとって魅力的です。一方、企業にとっても、欠勤の防止や休暇取得の促進などのメリットがあります。

また、充実した休暇制度は従業員の満足度向上にもつながり、モチベーション・生産性アップも期待できるでしょう。

3.有給を分割して付与するための要件

たとえば、入社後すぐに有給10日のうち5日を付与するのは「有給の分割付与」に該当します。分割付与には成立要件があり、以下を満たさなければいけません。

項目

成立要件

対象の有給休暇

入社初年度に発生する有給休暇

分割付与後の有給休暇残日数

入社後6カ月を過ぎるまでにすべて与える

2回目の有給休暇

付与日から1年以内に与える

基準日の繰り上げにより短縮された期間

すべて出勤したものとみなして出勤率を算定する

参考:厚生労働省「労働基準法の一部改正の施行について

分割付与をする場合は、出勤率の算定が通常と異なります。また、残日数を付与するタイミングも定められているため、注意が必要です。

4.有給を分割付与するときの注意点

ここでは、基準日や出勤率の計算など、5つの観点から有給を分割付与するときの注意点を紹介します。

4-1.基準日

先述したとおり、有給を分割付与する場合は、通常と基準日の扱い方は異なります。基準日の扱い方が異なる場合、2回目に有給を付与するタイミングは以下のとおりです。

▼通常(入社後6カ月経過後に10日付与)

  • 入社:2025年4月1日
  • 初回の有給付与:2025年10月1日に10日
  • 2回目の有給付与:2026年10月1日

▼分割付与(入社後すぐに10日のうち5日を付与)

  • 入社:2025年4月1日
  • 初回の有給付与:2025年4月1日に5日
  • 有給の残日数付与:2025年10月1日までに5日
  • 2回目の有給付与:2026年4月1日

2回目に有給を付与するタイミングが大きく異なるため注意が必要です。

4-2.出勤率の計算

有給を入社後6カ月よりも前倒しで付与する場合、その期間の出勤率は全期間を出勤したものとして算出します。分割付与した際、入社後2年目の有給休暇の出勤率を算出するための計算式は以下のとおりです。

(実際の出勤日数+短縮された期間の全労働日数)÷短縮された期間を含む1年間の全労働日数

なお、入社後3年目以降の基準日は、通常どおり1年に戻ります。分割付与をした場合は、出勤率の計算が煩雑になるため注意しましょう。

4-3.時季指定義務

有給を取得していない従業員がいる場合、企業は付与日から1年以内に年5日以上を消化させなければいけません。従業員が自ら有給申請をしない場合は、企業が時季を指定して有給を取得させる必要があります。

入社後すぐに有給を分割付与すると、時季指定義務は付与した日数の合計が10日に達した日からの1年間に発生します。

たとえば、2025年1月1日に入社してすぐに有給5日、同年7月1日に残りの5日を付与する場合、時季指定義務が発生するのは「2025年7月1日から1年間」です。

ただし、有給が10日に達する前に従業員が有給を取得している場合は、取得義務のある日数から実際の取得日数を差し引くことができます。

4-4.ダブルトラック

ダブルトラックとは、入社1年目と翌年とで有給の付与日が異なり、5日の有休取得義務の履行期間が重複することを指します。ダブルトラックが発生すると、有給の取得管理が複雑になりがちです。そのため、重複期間の長さに応じて、以下のような特例が認められています。

  • 「重複期間の月数 ÷ 12 × 5」の計算式を用いて比例按分する
  • 重複期間のうち、それぞれの期間で有給を5日取得する

多くの企業では、計算や管理が比較的容易な1が用いられています。

4-5.社員が退職するとき

分割付与した従業員が、本来の基準日よりも前に退職する場合でも、すでに付与した有給を取り消すことはできないため注意しましょう。

2025年1月1日に有給を分割付与し、同年4月末日で退職したいと申し出があった場合「退職するなら前倒しで付与した有給は無効」とすることはできません。また「保有する有給を消化してから退職したい」と申し出があれば、対応が必要です。

退職前の有給休暇取得日を欠勤扱いにしたり、取得した有給の返納を要求したりすることはできないため、理解しておきましょう。

5.2回目以降の有給付与のタイミングを揃える方法

入社後すぐに有給を分割付与すると、他の従業員と基準日がズレる可能性があります。従業員ごとに基準日がバラバラだと、有給取得の管理が煩雑になります。そのため、2回目以降の基準日を統一している企業も少なくありません。

たとえば、Aさんの基準日が2026年9月1日で他の従業員が7月1日の場合「Aさんも2回目以降は7月1日に統一する」という対応で付与タイミングを合わせられます。

ただし、基準日が7月1日の場合、9月1日に後ろ倒しで揃えることはできません。基準日を揃える際は、本来よりも前倒しで設定しなければいけない点に注意が必要です。

6.「バクラク勤怠」なら有給の管理も手間なくできる

有給は入社後すぐでも付与することが可能です。大きく4つの要件を満たせば、分割付与が認められます。入社後すぐに有給を付与することで、従業員満足度の向上や欠勤・離職の防止などが期待できるでしょう。

ただし、入社後すぐに有給を付与すると、他の従業員と基準日がズレて管理が煩雑化しやすくなります。年5日の有給取得義務がある以上、企業は従業員一人ひとりの有給取得状況を正確に把握しなければいけません。

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出勤簿から有給取得義務日数を確認できるため、取得漏れリスクを防げます。また、全休・半休・時間休や会社独自の休日まで柔軟な設定が可能な点も魅力です。ダブルトラックにも対応しており、有給管理を正確かつ効率的に行えます。

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