生活残業とは?放置リスクと発生しやすい企業・従業員の特徴、対処法まで解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-08-07
- この記事の3つのポイント
- 生活残業とは従業員が生活費を補うために意図的に残業を行うことで、残業代を稼ぐこと自体が目的
- 生活残業の多い会社は、人件費の増加、会社全体のモチベーションの低下などのデメリットがある
- 従業員の生活残業を減らすには、残業をコントロールする仕組みづくりや、基本給の底上げが有効
「従業員の残業が常態化しているにもかかわらず、成果が出ていない」というケースは、生活残業の可能性が高いです。生活残業を黙認すると、会社にさまざまなデメリットが生じるでしょう。
本記事では、生活残業の概要を解説します。加えて、生活残業の放置リスクと発生しやすい企業・従業員の特徴、対処法を紹介します。
従業員の生活残業に悩んでいる方は、ぜひこの記事を読んでみてください。
インボイス制度の概要を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
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生活残業とは?放置リスクと発生しやすい企業・従業員の特徴、対処法まで解説
生活残業とは?
生活残業とは、従業員が生活費を補うために意図的に残業を行うことです。
通常の残業は、業務量が多かったり急な対応が必要だったりした場合に発生します。しかし、生活残業は業務の必要性とは無関係に、残業代を稼ぐこと自体が目的です。
普通の残業との違いは、生活残業が「業務遂行のため」ではなく「収入確保のため」に行われる点です。上司の指示や業務の都合でなく、本人の判断でペースを落としたり、無駄な作業を追加したりして残業時間を引き延ばす特徴があります。
また、生活残業と混同されやすいものに「ダラダラ残業」と「カラ残業」があります。ダラダラ残業は、業務効率を意図的に落とし、必要以上に時間をかけて仕事をする行為です。
一方、カラ残業は実際には残業していないのに、勤怠を虚偽申告して残業していたとみせかける行為で、明確な不正行為・犯罪に該当します。
時間外労働には上限があります。以下の記事で確認してみてください。
生活残業は違法?放置するデメリット
生活のためにあえて残業を行い、残業代を多く受け取ろうとする従業員の行動自体は、法律違反にはあたりません。たとえその目的が生活残業であっても、実際に業務に従事している以上は正式な労働時間として扱われるからです。
ただし、生活残業を放置するのは以下のデメリットがあります。それぞれ確認していきましょう。
人件費がかさみ経営への悪影響につながる
生活残業が増えると、業務の効率や売上に大きな変化がないにもかかわらず、残業代という形で人件費が無駄に膨らみます。
たとえば、1人あたり月20時間の生活残業が常態化すると、年間で数十万円単位の追加コストが発生します。企業全体で見れば莫大な負担となるでしょう。
このように不要な残業代が積み重なることで、利益率が低下し、経営の健全性に悪影響を及ぼすのです。
会社全体のモチベーションが低下する
生活残業をする従業員がいると、効率よく定時内に仕事を終わらせている社員の間に不公平感が生まれます。
「自分は時間内に仕事を終えているのに、生活残業で給料を多くもらうのは理不尽だ」と感じ、職場全体の士気が下がることも少なくありません。
また、生活残業のために仕事が遅れると、他の従業員の作業にも支障が出て、業務の円滑な進行を妨げることもあります。結果として会社全体のモチベーションが下がり、職場の雰囲気の悪化を引き起こすこともあるでしょう。
ブラック企業というレッテルを貼られやすくなる
生活残業が常態化すると、長時間労働を放置するブラック企業のイメージが強まります。
従業員の健康障害や過労死リスクが高まることで、社会的な批判を受けやすくなり、労働基準監督署からの指導や監査の対象にもなり得ます。
こうした評判は採用活動にも悪影響を及ぼし、優秀な人材の確保が難しくなるため、企業ブランドの低下にもつながるでしょう。
従業員の健康やスキル成長が妨げられる
生活残業を続けることで、従業員は心身の疲労が蓄積し、睡眠不足やストレス増加など健康問題を引き起こしやすくなります。仕事とプライベートの両立も難しくなるでしょう。
また、効率的に仕事を進める努力を怠ることで、スキルや成果が伸びず、評価が下がってキャリア成長や昇進の機会が減る可能性もあるでしょう。
賞与の算定期間とは?
賞与の算定期間とは、支給される賞与が「どの期間の勤務実績に対応するか」を示す基準期間です。支給対象期間や算定対象期間とも呼ばれ、社会保険料や税額計算の根拠にもなります。
算定期間と混同されがちなのが「査定期間」です。査定期間は勤務態度や成果を評価して、賞与金額を決める期間を指します。
たとえば年2回賞与を支給する企業では以下のように、半年ごとに区切るケースが一般的です。
- 夏季賞与:11月1日~翌年4月30日
- 冬季賞与:5月1日~10月31日
年1回支給では「1月1日~12月31日」のように、1年分を算定期間とします。
算定期間中の出勤率を条件とする企業もあります。たとえば基本給30万円・支給月数2カ月のケースであっても、出勤率が90%であれば賞与は60万円から10%減の54万円になるといった計算です。
算定期間の設定と運用は企業の裁量に委ねられていますが、ルールを就業規則等に明記しておくことが重要といえます。
生活残業が多く発生する企業の特徴
ここでは生活残業が多く発生する企業の特徴を解説します。改善を検討している場合は参考にしてみてください。
残業代で低賃金を補う前提になっている
生活残業が多発する企業では、基本給が低く設定されており、従業員が残業代によって生活費を賄える給与体系となっていることが多いです。
残業代を前提にした賃金設計では、定時内の働きだけでは十分な収入が得られないため、従業員は意図的に残業を選ぶしかありません。
このようなケースでは「残業ができなくなる=生活できない」に直結します。もしも低賃金を補う手段として残業が常態化しているのであれば、企業側が基本給を必要以上に低く設定していることに一因があるでしょう。
長時間働く人が高く評価される職場文化がある
労働時間の長さを評価基準とする企業文化が根付いている場合、効率よく定時で退社する人よりも、長く職場に残る人が「頑張っている」と評価されがちです。
そのため、従業員は成果よりも長時間働くことを重視し、生活残業が常態化しやすくなります。この風土が変わらない限り、無意味な残業は減りません。
評価の際に、労働時間の長さは考慮しないなどの工夫と改革が必要でしょう。
残業をコントロールする仕組みが整っていない
残業申請や許可制がなく、従業員が自由に残業できる環境では、生活残業が放置されやすくなります。
勤怠管理や残業状況の把握が不十分なため、業務量に関係なく残業が選択され、企業の労働コストの増加につながるでしょう。
従業員が抱えている業務量を可視化し、残業が適切かどうか判断できる仕組みづくりをするなど、残業管理の環境を整えてみてください。
生活残業をする従業員の特徴と見分け方
生活残業を習慣化している従業員には、共通した行動パターンや特徴が見られます。
以下の特徴を把握することで、企業は生活残業の兆候を早期に発見し、適切な対策を講じることができるでしょう。
退勤時間がいつも同じで、仕事量に関係なく残っている
仕事の繁閑に関わらず、毎日ほぼ同じ時間まで残業している場合は、残業代を得るために意図的に時間を調整している可能性が高いです。
このようなタイプの従業員は、業務量が少ない日でも定時退社せず、残業を習慣化しやすい傾向があります。
「おかしいな」と思ったら、従業員の業務量を確認してみましょう。業務量と残業時間が明らかに見合っていない場合は生活残業の可能性があります。
仕事の進め方が非効率で、時間内に終わらせる工夫がない
生活残業を行う従業員は、あえて仕事のペースを落としたり、無駄な作業を増やしたりして、定時内に業務を終わらせようとしません。
効率化や時短の意識が低く、必要以上に時間をかけて業務を進めるため、周囲からも非効率な働き方が目立ちます。
不必要な調査や資料作成ばかりしている、定時間際から必要な業務に取り掛かる、といった人には注意しましょう。
勤務中の集中力が低く、長めの休憩や雑談が多い
生活残業をしている人は、本来の就業時間中に頻繁に席を外し、長時間の休憩や雑談を繰り返す傾向があります。
特に外回りの多い職種では、不必要な休憩を取ることで勤務時間を引き延ばし、結果的に残業時間を確保しようとするケースが見受けられます。
悪質な場合、懲戒処分なども検討しなくてはなりません。そのような事態を防ぐ意味でも、普段から指導と管理を徹底しましょう。
生活残業をやめさせるための対処法
生活残業を根本から解消するには、従業員個人の意識改革だけでなく、企業全体の制度や評価基準、管理体制の見直しが不可欠です。本章では、実効性の高い具体的な対策を紹介します。
給与や待遇を見直し、残業に頼らない生活を実現する
生活残業の最大の要因は、基本給の低さです。
従業員が残業代に頼らずとも生活できるよう、給与水準や手当を適正に見直すことが重要です。十分な報酬が得られれば、生活残業は減少します。
「どうせいつも残業しているから」と、基本給をより低く抑え、トータルの人件費を削減しようとするのは逆効果です。
従業員は「基本給だけでは足りない。残業を増やさないと生活できない」と感じ、さらに残業が増えてしまいます。
残業時間ではなく成果を評価する仕組みに変える
労働時間の長さではなく、成果や効率を重視した評価制度へ転換することで、長時間残業のインセンティブを排除できます。
たとえば「残業時間に関わらず成績によって評価する」「営業成果を出した者にインセンティブを与える」など、成果主義を検討してみましょう。成果主義なら、効率的に働く従業員が正当に評価され、生活残業の抑制につながります。
従業員の間に「残業してもメリットはない」という意識をもたせることがポイントです。
残業を許可制・申請制にし、勤務状況を正しく把握する
自由に残業できる環境を見直し、残業は上司の事前承認を必須とする許可制・申請制を導入しましょう。
許可制・申請制より、不要な残業を未然に防ぎ、生活残業の温床を断ちます。管理者は申請内容を確認し、業務の必要性に応じて残業を認めることで、労務コストの適正化も図れます。
本当に必要な残業なのか、そうでないのかを客観的にチェックする仕組みが整えば、生活残業しづらくなり、やみくもに「残業を減らせ」と指示するよりも効果的です。
従業員の勤務状況を正確かつ効率的に把握できる「バクラク勤怠」
従業員が生活残業を行う会社には、基本給が少なくて生活できない、残業をコントロールできる仕組みが整っていないといった特徴があります。
生活残業の防止や適切な労務管理には、従業員の勤務実態をリアルタイムで把握できる仕組みが不可欠です。
「バクラク勤怠」は、勤怠管理に必要な情報を一画面に集約し、出勤・退勤・休憩の打刻をSlack上で簡単に行えるのが特長です。
未打刻があれば自動アラートが届き、打刻修正や勤怠申請、承認もSlack上で完結します。管理者は時間外労働の予測や有休取得状況を一目で把握できます。さらに、必要な勤怠データはCSVで出力可能です。
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