オンボーディングとは?目的や導入方法・ポイントを導入事例とともに解説

オンボーディングとは?目的や導入方法・ポイントを導入事例とともに解説

オンボーディングとは、新入社員が入社後にスムーズに職場へ適応し、長く活躍できるよう支援する仕組みです。 本記事ではオンボーディングの意味や注目される背景、導入のステップや成功事例を解説します。ポイントを押さえて、定着率と生産性の向上を目指しましょう。

1.オンボーディングとは

オンボーディングとは、新入社員や中途入社者が早期に組織へ馴染み、戦力化できるよう支援する取り組みです。語源は「on-board(乗り物に乗っている)」で、新たにチームに加わった人がスムーズに乗り込む様子を表しています。

オンボーディングは単なる入社時の研修にとどまらず、配属後も上司や同僚が一体となってサポートを行う点が特徴です。

オンボーディングを通じて社員が企業文化を理解し、安心して能力を発揮できる体制を整えれば、定着率の向上と組織全体の生産性向上につながります。

2.オンボーディングが注目される背景

オンボーディングが注目される背景は、深刻化する人手不足と高い離職率です。近年では新入社員の約3割が3年以内に退職するといわれ、その理由には「転職市場の活発化」だけでなく「入社前後のギャップ」や「人間関係の悩み」などが挙げられます。

せっかく採用や教育にコストをかけても、職場に馴染めず早期離職されてしまえば、企業にとって大きな損失です。そのため入社後の適応を支援し、早期に成長・活躍できる環境を整えるオンボーディングの重要性が高まっています。

社員が安心して定着できる仕組みづくりが、企業の持続的な成長を支える鍵といえるでしょう。

3.オンボーディングの目的

オンボーディングの主な目的は、以下の3つです。

  • 会社内の組織風土の醸成
  • 新メンバーの早期戦力化
  • 部署によって教育格差を生じさせない

オンボーディングを行うと、新入社員を迎える過程で、既存社員も「仲間を大切にする文化」を再確認できます。全社的に支え合う姿勢が根づいていけば、安心して働ける職場づくりにもつながるでしょう。

またオンボーディングは、仕事の進め方や企業文化を体系的に学べるため、入社後の成長スピードを高められます。

さらに、部署間の教育格差の是正も可能です。OJT担当者や部署による指導のばらつきを防ぎ、人事が統一的な仕組みを設ければ、全社員の育成品質を均一化できます。

4.オンボーディングと他の研修の違い

オンボーディングは新入社員が組織に早く馴染み、活躍できるように支援する仕組みです。一方でOJTやOff-JTなどと混同してしまう人も多いのではないでしょうか。

ここからは、オンボーディングと他の研修の違いについて見ていきましょう。

4-1.オンボーディングと新入社員研修の違い

新入社員研修は入社直後の1〜3カ月に実施される、基礎的な教育プログラムです。主に人事部が中心で運営しており、社会人としての自覚を促すことを目的としています。具体的には、企業理念や就業規則、ビジネスマナー、コミュニケーションなどを学ぶのが特徴です。

一方でオンボーディングは、研修期間だけでなく、配属後の現場での支援を含めた継続的な育成プロセスです。単なる知識習得ではなく、現場での人間関係づくりや企業文化の理解など、組織全体で新メンバーを支えます。

研修後も上司やチームが関与し、定着と戦力化までを見据えて行われます。

4-2.オンボーディングとOJTの違い

OJT(On The Job Training)は、指導担当者が日常業務の中で手取り足取り指導を行う、現場主導の育成方法です。実務を通して業務スキルを習得させ、即戦力として働けるようにすることを目的としています。

一方でオンボーディングは「組織に馴染ませること」が目的で、業務知識に限らず、企業文化や価値観、職場のルールなども含めて支援を行います。たとえばチームランチや面談の機会を設け、社員同士の関係構築を促すなど、心理的なサポートも含まれるのが特徴です。

OJTが「業務中心」であるのに対し、オンボーディングは「人と組織のつながりが中心」といえます。

4-3.オンボーディングとOff-JTの違い

Off-JT(Off The Job Training)は、職場を離れて行う座学や外部研修などの教育手法です。目的は業務遂行に必要な知識・スキルの習得であり、内容はビジネスマナーや専門知識などの学習に重点をおいています。

Off-JTが教える教育であるのに対し、オンボーディングは馴染ませるためのプロセスという点が大きな違いです。

5.オンボーディングを取り入れるメリット

オンボーディングを導入すれば、社員の定着率向上や育成スピードの加速、組織全体の生産性向上など多くの効果が期待できます。ここでは、メリットについて順番に見ていきましょう。

5-1.早期離職者が減り採用コストを削減できる

一つ目のメリットは、早期離職者が減って採用コストを削減できる点です。せっかく採用しても早期離職してしまえば、その費用はすべて無駄になってしまいます。

オンボーディングによって新入社員の不安やギャップを軽減して定着を促進できれば、離職率を下げることが可能です。その結果、新たな採用・教育にかかるコストを抑え、長期的に人材投資の効率を高められます。

5-2.業務の品質が上がり生産性向上が期待できる

二つ目のメリットは、生産性向上です。オンボーディングを効果的に行うと、新入社員が業務に慣れるまでの期間を短縮でき、早期にパフォーマンスを発揮できるようになります。これにより、現場の業務効率が上がり、組織全体の生産性向上が可能です。

また教育担当の社員も新人育成に時間を取られすぎず、自身の本来業務に集中できるため、結果的にチーム全体の成果を底上げする好循環が生まれます。

5-3.従業員の満足度が向上する

最後のメリットは、従業員の満足度向上です。オンボーディングを通じて、会社の方針や評価制度、業務の目的を明確に理解できるようになると、社員の目的意識が高まり、安心して働ける環境が整います。

面談やチーム内でのコミュニケーションの機会が増えれば、職場全体の雰囲気の改善も可能です。結果として従業員満足度が向上し、定着率の向上やモチベーションの維持にもつながります。

6.オンボーディングの導入方法

メリットの多いオンボーディングですが、適切な方法で導入しなければ効果を発揮できません。ここからは、オンボーディングの導入方法について順番に見ていきましょう。

6-1.オンボーディングのゴールを決める

オンボーディングの導入の前に、まずは新入社員に「どのようなスキルを身につけ、どのように活躍してほしいか」というゴールを明確にすることが重要です。具体的な例をいくつか挙げるので、参考にしてください。

  • 半年後に会議で自分の企画を提案できるようになる
  • 3カ月後に新規案件を1件獲得できるようになる
  • 1年後には業務全体を把握して自発的に意見を出せるようになる など

設定したゴールに沿って入社から1週間、1カ月、半年、1年と段階的な目標を定めると、本人も現状を把握しやすくなります。職種や配属先によって求められるスキルが異なるため、個人やチームごとにゴールを調整することも大切です。

6-2.具体的な計画をたてる

ゴールを決めたら、達成するための具体的な計画を立てます。まず期間・フェーズごとのスケジュールを設定し、たとえば以下のように細分化しましょう。

  • 最初の1週間に社内制度と業務の流れを理解
  • 1カ月でチームに関わる
  • 3カ月で簡単なタスクを担当
  • 6カ月で一人で任せられる状態へ など

上記目標に応じてどのような研修、面談、実践機会を設けるかを明らかにしましょう。またチェックリストや進捗管理表を用いて計画の可視化を行い、実施の責任者・支援者・メンターを明確にしておきます。

6-3.関係者に情報共有を行う

オンボーディングの計画は人事担当者だけでなく、直属の上司や配属部署、関係する他部門にも共有することが重要です。現場の意見を取り入れれば、実行可能性の高い目標や内容にブラッシュアップできます。

また実施計画をあらかじめ関係者に知らせておけば、新入社員を受け入れる準備が整い、スムーズなスタートが切れます。こうした事前の連携が、新入社員の不安軽減と早期定着につながるでしょう。

6-4.オンボーディングを実施する

新入社員が入社したら、いよいよオンボーディングを実施します。計画に沿って進めつつ、状況に応じて柔軟に対応する姿勢が大切です。入社直後は不安が大きいため、面談やフォローを通じてコミュニケーションを密にとりましょう。

オンボーディングの目的は「新入社員を組織に馴染ませること」であるため、安心して学べる環境づくりこそが重要です。

6-5.振り返りをする

オンボーディングの実施後は、必ず振り返りを行いましょう。新入社員本人だけでなく、直属の上司や関係部署のメンバーなど、関係者全員で意見を共有することが大切です。

実施計画に対して何が効果的だったか、どの部分を改善すべきかを確認し、次回のプログラム設計に反映させましょう。振り返りを定期的に行えば、オンボーディングの質が継続的に高まり、組織全体の育成力も向上します。

7.オンボーディングを実施する際のポイント

オンボーディングを成功させるには、事前準備や実施体制の整備、そして人材育成への意識づけが欠かせません。ここからは、オンボーディング実施の際に押さえておきたい5つのポイントを紹介します。

7-1.人事部が先にコミュニケーションを図り信頼関係をつくっておく

オンボーディングをスムーズに進めるためには、入社前からの信頼関係づくりが重要です。人事担当者は入社予定者の窓口となるため、疑問や不安に感じている点をオープンに共有し、信頼を築く姿勢が求められます。

また、入社前の情報共有を通じて現場との期待値をすり合わせれば、入社後のギャップを最小限に抑えることが可能です。現場にも事前に計画を伝えて受け入れ体制を整えれば、初日から安心して働ける環境をつくれます。

7-2.サポート体制を充実させておく

オンボーディングは人事や直属の上司だけで完結するものではなく、組織全体で新入社員を支える体制づくりが大切です。

また業務で直接関わらない社員も積極的に声をかければ、職場全体の雰囲気が和らぐため、定着につながります。社内マニュアルやFAQを共有し、必要な情報をいつでも確認できる環境を整えることも効果的です。

7-3.スモールステップから始める

入社直後の新入社員に大きな目標を与えてしまうと、達成イメージがもてずにストレスや不安を感じやすくなるため、オンボーディングではスモールステップ法を取り入れることが効果的です。

スモールステップ法は、最終目標を細分化して段階的に達成していく教育手法で、小さな成功体験を積み重ねることでモチベーションを維持できます。

7-4.メンター制度を取り入れるか検討する

メンター制度とは、新入社員の相談役として年齢や役職が近い先輩社員が担当し、業務だけでなく人間関係やキャリアの悩みまでフォローする仕組みです。

メンター制度を導入すれば、新入社員は気軽に相談できる環境を得られ、早期離職の防止や成長スピードの向上が期待できます。オンボーディングの補助制度として活用する企業も増えており、定着率向上に貢献するでしょう。

7-5.トレーナーを育成する

オンボーディングの成否を左右するのが、教育を担うトレーナーやOJT担当者のスキルです。トレーナーが育成スキルを身につけていなければ、せっかくの制度も効果を発揮しません。

もしも社内でオンボーディングの経験が少ない場合は、外部研修機関を活用して専門的なノウハウを学ぶことが有効です。優秀なトレーナーを育成すれば、オンボーディング全体の質を高められます。

8.オンボーディングの導入事例

オンボーディングの形は、企業によってさまざまです。ここからは、独自の取り組みで成果を上げた3社の事例を見ていきましょう。

8-1.GMOペパボ:オンボーディングを実施した組織変化につながった事例

GMOペパボ株式会社では部署ごとにオンボーディングを行っていましたが、部署間のつながりが薄く、企業への帰属意識が育ちにくい課題がありました。そこで全社共通のオンボーディング施策へと切り替え、組織全体で新入社員を育てる仕組みを構築しました。

具体的には、自身のリーダーシップ像を表明する「やっていきシート」の導入や、新入社員と教育担当が自由に交流できるチャットルームの開設などの実施です。

部署の垣根を越えてコミュニケーションを活性化させたことで、企業全体で新入社員を支える文化が形成されました。

参考:HR NOTE「GMOペパボが実践するオンボーディング|3つの組織課題とその解決策を聞いてみた

8-2.日本オラクル:社員エンゲージメント85%を達成した事例

日本オラクル株式会社では「社員エンゲージメント」の向上をオンボーディングの中心に据えています。特に中途採用者の定着に力を入れ、入社初期には経営理念や組織構造、社内ルールなど、会社の価値観を深く理解できる研修の仕組みを整えました。

OJTの段階では上司の負担を減らしながら支援を充実させるため「ナビゲーター」や「サクセスマネージャー」と呼ばれる専任スタッフを配置しています。

新入社員が安心して相談できる体制を確立でき、社員エンゲージメント率は85%に達しました。

参考:SELECK 「会社の印象は1ヶ月で決まる!?社員エンゲージメント85%に挑む、日本オラクルの挑戦

参考:TCG REVIEW「独自のオンボーディングで従業員エンゲージメント向上

8-3.メルカリ:時代の流れに合わせたオンボーディング事例

メルカリではリモート環境でもスムーズに馴染めるよう、オンボーディングにITを積極的に活用しています。

必要な情報をまとめた社内ポータルの整備や、オンライン会議ツールを活用した「リモートメンターランチ」などを実施し、海外在住の社員でも参加できる体制を整えました。

オンボーディングの進捗を把握するために「オンボーディングサーベイ」を導入し、技術領域ごとにKPIを設定してデータを可視化したため、個々の状況に応じたサポートも可能です。

なお、2023年にはオフィスでの入社オリエンテーションを再開しました。リモートと対面のハイブリッド方式で、メルカリらしい一体感と柔軟性を両立したオンボーディングを実現しています。

参考:mercan「メルカリの入社オンボーディング:メンバーのニーズを受け、オフィス開催回帰へ

9.社員の勤怠を管理するならバクラク勤怠

オンボーディングを成功させるには、社員が安心して働ける環境づくりと、日々の業務負担を減らす仕組みが欠かせません。新入社員がスムーズに職場に馴染み、成長に集中できる体制を整えるためには、勤怠管理の効率化も重要なポイントです。

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