
過労死ラインは何時間?基準と職場で見直すべき項目を解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-08-07
- この記事の3つのポイント
- 過労死ラインに法的な定義はないが、月80時間の残業は脳・心臓疾患の発症に関連があるとされる
- そもそも月45時間を超える時間外労働は、労働基準法違反に該当する可能性がある
- 従業員の過重労働を避けるには、労働時間の減少や組織風土の改革といった取り組みが必要
従業員の勤怠を管理するにあたって「過労死ライン」という言葉を耳にしたことがある人もいるでしょう。過労死ラインに法的な定義はありませんが、従業員が過重労働による健康障害を引き起こさないために、知っておくべきポイントがいくつかあります。
本記事では、過労死ラインの目安といえる時間や労災認定基準、職場で見直すべき項目について詳しく解説します。
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過労死ラインは何時間?基準と職場で見直すべき項目を解説
過労死ラインは何時間?
過労死ラインとは、健康障害のリスクが高まるとされる時間外労働の時間数です。過労死ラインについて法的な定義はないものの、厚生労働省は、脳・心臓疾患の発症と業務との因果関係が強いと評価できる基準を次のように定めています。
- 発症前1カ月間の100時間を超える時間外労働
- 発症前2~6カ月の平均月80時間を超える時間外労働
- 上記に近い時間外労働および労働時間以外の負荷要因
以上のことから、月80時間の時間外労働が過労死ラインの一つの目安といえるでしょう。
参考:厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準 改正に関する4つのポイント」
時間外労働の規制や企業の平均残業時間について知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
過労死ラインを超えるとどうなる?
過労死ラインを超えると健康障害のリスクが高まり、最悪の場合、過労死する可能性があります。
過労死の法的な定義は、以下のとおりです。
- 業務における過重な負荷による脳血管疾患もしくは心臓疾患を原因とする死亡
- 業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
過労死が労災と認められるには、労災認定基準に基づき、死亡と業務との因果関係を明らかにしなければなりません。厚生労働省が定める、労災認定の対象疾患は以下のとおりです。
疾患名 | 病名 |
脳血管疾患 | くも膜下出血、脳内出血(脳出血)、脳梗塞、高血圧性脳症 |
心疾患 | 心筋梗塞、狭心症、大動脈解離、心停止(心臓性突然死を含む)、重篤な心不全 |
過労死ラインの超過による脳・心臓疾患などの健康障害や過労死を防ぐために、企業は必要に応じて勤務時間や勤務体制を見直す必要があるでしょう。
参考:e-Gov法令検索「過労死等防止対策推進法第2条」
従業員が過労死ラインを超えそうなときの対策
従業員が過労死ラインを超えないように、企業は適切な対策を講じなければなりません。本章では、従業員が過労死ラインを超えそうなときの対策を4つ紹介します。
労働時間の短縮を図る
従業員が過労死ラインを超えそうな場合に、優先して取り組むべき事項は労働時間の短縮です。
従業員の業務内容やスケジュールを確認の上、業務量を調整して労働時間の適正化を図りましょう。業務プロセスの見直しやシステムの導入による効率化が、労働時間の短縮につながる場合もあります。
また、残業を減らす対策として、許可制の導入も効果的です。残業時に事前または事後の承認を必要とすることで、従業員の自己判断による時間外労働を抑制する効果が期待できます。
ただし、残業の許可制を導入する際は、就業規則の整備や従業員への周知などの事前対応が求められます。導入後は、無許可で残業をする従業員がいないかの確認も徹底しましょう。
残業が当たり前の風土を変える
「上司が毎日残業をしている」「労働時間が長い人ほど評価されやすい」など、残業が当たり前の風土が根付いている企業には、組織風土の抜本的な改革が必要です。風土改革の具体的な対策として、以下のような取り組みが挙げられます。
- ノー残業デーを設定する
- 上司が率先して定時に退社する
- 労働時間ではなく、生産性や成果を評価する制度に変更する
- 上司や人事担当者との定期的な面談機会を設ける
- 企業に相談窓口を設置する
上記の対策を講じても「残業は良いこと」と考える従業員に対しては、別途個別面談の機会を設けることも検討しましょう。
就業規則や雇用契約書を見直す
残業時間を減らす取り組みを進める際、忘れてはならないのが就業規則や雇用契約書の見直しです。
たとえば残業の許可制を導入する際は、承認フローや残業時間の上限を就業規則へ記載する必要があります。ルールを明文化することで運用の精度が高まるほか、従業員と企業双方の業務負担を減らせるメリットも期待できます。
残業時間に関するルールを、雇用契約書に記載するのも効果的です。新規雇用者が安心して入社できるだけでなく、従業員との労働トラブルを回避しやすくなる側面もあります。
なお、就業規則を改訂した際は、従業員への周知も徹底しましょう。改訂内容を共有し、理解を得た上で実践してもらうことが、過労死ラインを超えないための重要なポイントです。
労働専門弁護士に相談する
過労死ラインを超えそうな従業員がいる場合は、労働専門の弁護士に相談するのも一つの方法です。
労働専門の弁護士の多くは、労働問題に特化した知識と経験を有しています。そのため、過労死ラインを超過しないための対策や進め方について、専門的な視点からアドバイスを受けられます。
長時間労働への対応に難航している企業は、労働専門の弁護士への相談を検討するとよいでしょう。
過労死ラインを超えない残業でも危険性はある
時間外労働の時間数が過労死ラインを下回っていても、安心はできません。厚生労働省は、残業時間が月45時間を超過して長くなるほど、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が徐々に強まるとしています。
そもそも労働基準法では、36協定の締結があっても、原則として月45時間を超える残業は認められていません。そのため企業には、従業員の身体的・精神的な健康を守るためだけでなく、法令遵守の観点においても労働時間の適切な管理が求められます。
また、過労死ラインを超えない残業であっても、労働時間以外の負荷要因が認められた場合は過労死と認定される可能性があります。労働時間以外の負荷要因とは、拘束時間の長い勤務や出張の多い業務、心理的・身体的負荷を伴う業務などです。
従業員が健康障害を引き起こす要因は過労死ラインの超過だけではないことを理解した上で、企業は適切な対策を講じましょう。
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過労死ラインに法的な定義はないものの、厚生労働省の労災認定基準により、月80時間を超える残業があった場合は脳・心臓疾患の発症と業務との因果関係が強まるとされています。
ただし、時間外労働が月80時間を超えていなくとも、業務において負荷要因があると認められた場合は労災認定される可能性があるため注意が必要です。過重労働による従業員の健康障害や過労死を防ぐために、企業は適切な対策を講じましょう。
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