勤怠の意味とは?勤怠管理の目的や対象項目、システム活用の利点
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-05-16
- この記事の3つのポイント
- 勤怠とは、主に従業員の勤怠情報を指すものとして使われる言葉である
- 事業者には、労働者の勤怠情報を正確に把握し、過重労働の防止と健康確保を図る義務がある
- 勤怠は、手作業もしくは勤怠管理システムで管理するが、効率化を目指すなら後者がおすすめ
健全な社会を営むうえで「勤怠」の理解は欠かせません。法令違反や労務トラブルを防ぐためにも、勤怠に対する正しい知識が必要です。
本記事では、勤怠の意味について解説します。勤怠管理の目的や対象項目、システム活用の利点についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
インボイス制度の概要を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:インボイス制度とは?意味や概要、対象となる事業者への影響を図解でわかりやすく解説
勤怠の意味とは?勤怠管理の目的や対象項目、システム活用の利点
「勤怠」の意味とは?
「勤怠」とは、主に従業員の勤怠情報を指す言葉です。明確な定義があるわけではありませんが、一般的には「誰がいつ働き、いつ休んだのか」といった情報・状況を指す言葉として使われます。
「勤怠」は「勤しむ」と「怠ける」という対の意味をもつ表現から生まれた言葉です。そのため「勤退」ではなく「勤怠」と表記するのが適切です。
勤怠情報の把握は、労働基準法に準じて労働を課したり、従業員の給与を正しく計算したりする上で欠かせません。労働安全衛生法では、事業者の勤怠管理義務について以下のように規定しています。
事業者は第66条の8第1項又は前条第1項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない。
出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法第六十六条」
勤怠管理は、一部の例外を除いてすべての労働者が対象です。事業者は、従業員の勤怠を適切に管理する必要があります。
勤怠管理の必要性と目的
従業員を雇用する事業者にとって、勤怠管理は切っても切り離せない存在です。以下では、勤怠管理の必要性と目的について解説します。
労働基準法を遵守するため
勤怠管理が必要とされる理由は、労働基準法を遵守するためです。労働基準法では、従業員の労働時間と休暇について、以下のように規定されています。
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
②使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
出典:e-Gov法令検索「労働基準法(第三十二条)」
第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない。
②前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
出典:e-Gov法令検索「労働基準法(第三十五条)」
勤怠管理なくして、従業員の適切な労働時間・休暇を把握することはできません。勤怠情報を把握するためには、労働時間や残業時間、休憩、休日などを適切に記録し、管理する必要があります。
労働基準法に違反した場合は、指導の対象となります。罰則が科される可能性もあるため注意が必要です。
給与計算を正確に行うため
給与計算を正確に行うためにも、適切な勤怠管理は欠かせません。勤怠データは給与計算の根拠になるため、正確な記録が不可欠です。
給与は従業員の労働への対価として支払うべきものです。「1日8時間×21日」という単純な計算だけでなく、1日8時間を超える場合の割増賃金や深夜労働なども正しく求めなければいけません。
正確な給与計算ができず給与の未払いが発生すると、訴訟や社会的信用の失墜などのリスクがあります。勤怠管理は、従業員との信頼関係を継続する上でも重要な役割を担います。
従業員の健康管理を適切に行うため
勤怠管理は、従業員の健康管理を適切に行うという観点からも必要とされる管理です。近年では過重労働による健康リスクが問題視されており、従業員一人ひとりが適切な労働環境で働いているかどうかを管理する必要があります。
事業者は長時間労働の防止や休暇取得の管理を通じて、従業員の健康を守る役割を担っています。業務量の負担にバラつきがあり、特定の従業員の残業時間が多くなっているといった状況も少なくありません。
従業員の労働時間や休暇を適切に管理し、健康管理を図るのも事業者の重要な役目です。
労務トラブルを防止するため
労務トラブルを防止するためにも、勤怠管理は欠かせない業務です。正確な労働時間を把握せず、給与計算や支払いにミスがあると、故意・過失を問わず労務トラブルを招きます。
従業員の善意であっても、長時間労働や有給休暇の未取得の責任を負うのは企業です。勤務実績の記録を残すことで、後々起こり得る労務トラブルや訴訟リスクを軽減できます。
残業時間の概要や計算方法は、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:時間外労働とは?定義や法改正された上限規制内容、計算方法を解説
勤怠管理で記録すべき項目
勤怠管理で記録すべき項目は「労働時間」「休日」「残業時間」だけではありません。厚生労働省のガイドラインでは「賃金台帳の適正な調製」を定めており、これに遵守するための項目を管理する必要があります。
ガイドラインで定められている勤怠管理に必要な項目は以下のとおりです。
項目 | 概要 | ||
出勤・退勤時刻 | 労働が始まった時間、終わった時間 | ||
労働時間 | 出退勤の時間から休憩時間を除いた時間 | ||
残業時間 |
※残業時間が月60時間を超えた部分は50%
| ||
休日労働時間 | 法定休日に出勤した場合は35%の割増賃金が加算 | ||
早退・遅刻・欠勤 |
| ||
有給休暇 | 従業員ごとに有給休暇の付与日、取得日を管理帳簿に記載 ※保管期間5年(2025年4月現在、経過措置により最低3年) |
出勤状態の区分についても、給与計算の単位(開始日から締め日まで)と休日を記載しておく必要があります。
参考:厚生労働省「労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
勤怠管理の対象となる事業所と従業員
勤怠管理の対象となる事業所と従業員に関しては、厚生労働省が以下のように定義しています。
対象となる事業場は、
労働基準法のうち労働時間に係る規定(労働基準法第4章)が適用される
すべての事業場です。
対象となる労働者は、
労働基準法第41条に定める者及びみなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働を行う者にあっては、みなし労働時間制が適用される時間に限る。)を除くすべての労働者です。
出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
勤怠管理は、例外を除くすべての事業所・従業員が対象です。農業や水産業などの業種は勤怠管理の例外に該当します。
従業員における「労働基準法第41条に定める者」とは、たとえば管理監督者が挙げられます。ただし、例外の事業所・従業員であっても、使用者は健康確保を図らなければいけません。
勤怠管理の方法とそれぞれの特徴
勤怠管理には複数の方法があります。それぞれの管理方法と特徴について解説します。
手作業(タイムカードやExcelなど)による管理
タイムカードやExcelなど手作業による、勤怠管理を行っている事業者は少なくありません。
株式会社kubellが運営するWebサイト「ビズクロ」が実施した調査によると、中小企業の約3割が「手作業による勤怠管理」を行っています。
参考:ビズクロ「勤怠管理の実態調査レポート」
手作業による勤怠管理のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット |
| ||
デメリット |
|
手作業による勤怠管理はコストがかからないというメリットがある一方、多くのデメリットがあります。打刻ミスをはじめ、なりすまし打刻ができてしまうため、正確性・客観性が不足します。
また、手作業での勤怠管理では、近年増加したリモートワークに対応できません。集計に時間と手間がかかり、人為的ミスのリスクがある点も課題です。
勤怠管理システムの利用
勤怠管理システムとは、従業員の勤怠管理を一元化し、給与計算や労務管理を効率化できるシステムです。従業員は各デバイスからシステムにログインし、打刻や休暇申請を行えます。
また、事業者は勤怠管理システムの活用により、従業員の打刻情報や残業時間、有給取得状況などを容易に把握することが可能です。労働・残業時間の集計は、勤怠管理システムが自動で行います。
手作業での管理で生じがちな打刻漏れや、過失による労働時間の超過といった心配も不要です。クラウド上で管理されるため、勤怠情報をリアルタイムで確認ができ、アラートもできます。デバイスを問わないことで、リモートワークに対応できる点も魅力です。
勤怠管理システムの選び方のポイント
勤怠管理システムの選び方のポイントは、以下のとおりです。
- 必要とする機能が備わっているシステムを選ぶ
- 従業員の使いやすさを重視する
- 既存システムとの互換性を考慮する
- サポートの充実さを確認する
- 導入・ランニングコストが適正かどうかを比較する
勤怠管理システムに搭載されている機能はシステムごとで異なります。そのため、勤怠システムを導入する際は、自社が必要とする機能が備わっているかどうかを確認しましょう。
日頃使用する従業員にとっての使いやすさを重視することも大切です。デジタルツールに慣れていない従業員でも使いやすく、利便性の高いシステムを選びましょう。また、既存システムとの互換性を考慮することで、より高い業務効率化を図れます。
なお、導入・ランニングコストも導入時に確認しておくべきポイントです。料金形態は従量課金制や月額制などさまざまです。自社の予算と照らし合わせて検討しましょう。
正確かつ効率的に勤怠管理を行うなら「バクラク勤怠」
勤怠に関する理解は、労働基準法を遵守したり労務トラブルを防止したりする上で重要です。勤怠管理を行うことで、あらゆるリスクを軽減し、従業員に対して適切な労働環境を提供できます。
しかし、手作業での勤怠管理では、従業員一人ひとりの勤怠情報をリアルタイムかつ適切に管理するのは困難です。適切な勤怠管理と業務の効率化を図るなら、勤怠管理システムの導入をおすすめします。
「バクラク勤怠」を導入すれば、出勤・退勤、休憩打刻がSlackで完結します。設定した特定の時間まで未打刻だった場合は、自動でアラートが届くため、打刻漏れの心配もありません。
必要な情報が一つの画面に集約されることで、勤怠管理を効率化できます。また、固定時間労働制やフレックスタイム制、裁量労働制にも対応しており、幅広いシーンで活用できます。「バクラク勤怠」を活用して、勤怠管理を効率化しましょう。