
欠勤控除とは?適用されるケースや計算方法・注意点をわかりやすく解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2026-02-17
- この記事の3つのポイント
- 欠勤控除とは、従業員が私的な理由で仕事を休んだ際、給与から休んだ分の賃金を差し引くこと
- 欠勤控除は、ノーワーク・ノーペイの原則に基づいて適用されるが、例外もあるため注意が必要
- 従業員とのトラブルを避けるために、みなし残業代や各種手当の扱いなどを就業規則に明記する
欠勤控除とは?適用されるケースや計算方法・注意点をわかりやすく解説
従業員が私的な理由で仕事を休んだ際、給与から休んだ分の賃金を差し引く処理を「欠勤控除」と呼びます。 欠勤控除は、給与計算業務の中でも頻繁に発生する処理の一つです。計算方法や控除の対象となる手当の扱いなど、間違いやすいポイントが多いため注意しましょう。 適切な給与計算を行うには、欠勤控除の根幹である「ノーワーク・ノーペイの原則」を正しく理解することが不可欠です。 本記事では、欠勤控除の仕組みと、適用される具体的なケースを紹介します。正確な計算方法、トラブルを未然に防ぐための注意点についても解説しますので、ぜひ業務にお役立てください。
1.欠勤控除とは
欠勤控除とは、従業員が所定の労働日に勤務しなかった時間や日数に応じて、給与から休んだ分の賃金を差し引く会計処理のことを指します。
欠勤控除の対象は、月給制や年俸制など、欠勤の有無にかかわらず毎月一定額の賃金が支払われる給与体系に限られます。時給制や日給制の場合、働いた時間や日数分だけ給与が支払われ、働かない日の賃金は発生しないため、欠勤控除を行わないのが一般的です。
勤怠の意味や目的については、以下の関連記事でご確認ください。
関連記事:勤怠の意味とは?勤怠管理の目的や対象項目、システム活用の利点
2.ノーワーク・ノーペイの原則とは?欠勤控除の考え方
欠勤控除の根拠となっているのが「ノーワーク・ノーペイの原則」です。
ノーワーク・ノーペイの原則とは「労働者が労務を提供しなかった(働かなかった)場合、使用者は賃金を支払う義務がない」という考え方です。
労働基準法に直接的な条文はありません。しかし、民法第624条の「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない」という規定が根拠の一つとされています。
ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、従業員都合の欠勤や遅刻・早退などがあった場合、企業は働かなかった時間分の賃金を給与から差し引くことができます。ただし、欠勤控除を適用するには、ルールや計算方法を就業規則に明確に定めておく必要があるでしょう。
参考:e-Gov 法令検索「民法」
3.欠勤控除が適用されるケース
ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、従業員が労務を提供しなければ欠勤控除が適用されます。ただし以下の場合、企業は労働の対価として賃金を支払う義務を負いません。
3-1.遅刻・早退をした
従業員が所定の始業時間に遅れた場合や、所定の終業時間より早く退勤した場合も、働かなかった時間分の賃金は欠勤控除の対象となります。
なお、遅刻・早退による賃金控除は、一般的に「勤怠控除」や「遅刻早退控除」などと呼ばれます。
遅刻・早退の場合の控除額は、1分単位で正確に計算しなくてはいけません。所定労働時間に対して満たなかった時間分の賃金を、給与から正確に差し引いてください。
3-2.私的な理由で欠勤をした
従業員が、病気・怪我・家庭の事情・個人的な用事など、私的な理由で出勤しなかった場合も欠勤控除の対象です。
入社したばかりで有給休暇がまだ付与されていない従業員や、すでに付与されている有給休暇を使い切ってしまった従業員が欠勤した場合に適用されます。
私的な理由による欠勤の場合、企業には従業員が欠勤した日数や時間に対する給与を支払う義務はありません。ただし、忌引休暇や病気休暇など、企業が独自に定める特別休暇(有給)を取得した場合、控除の対象にはならないので注意しましょう。
3-3.裁判員に選ばれた
従業員が裁判員や裁判員候補者などに選任され、会社を休む必要が生じた場合、賃金の扱いには注意が必要です。
労働基準法第7条では、公民権の行使に必要な時間を請求された場合、企業は拒否できない旨が定められています。したがって、従業員が裁判員として活動する期間中、企業は該当従業員を休ませる義務があるでしょう。
しかし、裁判員として拘束される期間の給与の有無は法律で定められていません。
ノーワーク・ノーペイの原則を適用して欠勤控除の対象とすることも可能ですが、従業員が安心して公民権を行使できるよう、有給の特別休暇として扱う企業も多いです。企業の判断を就業規則に明記しておきましょう。
4.欠勤控除が適用されないケース
従業員が仕事を休んだ場合でも、理由や状況によってはノーワーク・ノーペイの原則が適用されず、欠勤控除の対象とならないケースがあります。代表的な事例を見ていきましょう。
4-1.有給休暇を使用した
労働者が年次有給休暇を取得して仕事を休んだ場合、欠勤とみなされないため、欠勤控除の対象にはなりません。
有給休暇とは「賃金が支払われる休暇」であるため、有給を取得した日数や時間に対して、企業は通常の賃金を支払う義務があります。
有給休暇は、労働基準法によって労働者に与えられた権利であり、企業は有給休暇の取得を拒否できません。したがって、従業員から有給取得の申請があった場合は、欠勤控除ではなく有給分の賃金を支払う必要があります。
有給休暇の法律上の最大付与日数やタイミング・ルールについて理解を深めたい方は、以下の記事をご一読ください。
関連記事:有給休暇とは?法律上の最大付与日数やタイミング・ルールについて解説
4-2.会社都合で休業した
欠勤控除は、従業員の都合による欠勤に対して原則適用されます。店舗の改装工事や営業不振による臨時休業、設備の故障など、会社側の都合によって従業員を休業させた場合、欠勤控除はできません。
会社都合の場合、企業は労働基準法第26条に基づき、従業員に対して平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務が生じます。
4-3.感染症にかかった
従業員がインフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症にかかった場合、休業の扱いは状況によって異なります。
一般的に、私的な病気として扱う場合は欠勤控除の対象です。しかし、自宅待機など企業が感染拡大を防ぐために休業を命じた場合は、会社都合の休業とみなされ、休業手当の支払い対象となるでしょう。
また、労働安全衛生法に基づく就業禁止の場合は、企業側の都合とみなされやすいです。企業としては、感染症の状況や休業の判断理由に応じて、慎重に対応する必要があります。
5.欠勤控除の計算方法
欠勤控除額の計算方法は、法律で詳細に定められているわけではありませんが、一般的な計算式と手順に従って行うことで、公正な控除額を算出できます。
特に月給制の従業員に対しては、給与から欠勤した時間や日に相当する額を差し引く必要があるでしょう。
5-1.1カ月の所定労働時間を使用した計算方法
欠勤控除額を計算する際の最も一般的な方法は、月平均所定労働時間を用いて、欠勤1日あたりの賃金を算出する方法です。
【欠勤控除額の計算式】
欠勤控除額=月給÷月平均所定労働日数×欠勤日数
※月平均所定労働日数=年間所定労働日数÷12
たとえば、月給が28万円で、年間所定労働日数が224日(月平均20日)の従業員が3日欠勤した場合の欠勤控除額は、以下の計算式で求められます。
280,000円÷20日×3日=42,000円
月給を月平均の所定労働日数で日割りすることで、欠勤1日あたりの賃金を正確に割り出せます。
月平均所定労働時間の計算方法や上限については、以下の記事を参考にしてください。
5-2.遅刻・早退をした場合の計算方法
遅刻や早退があった場合の欠勤控除は、1分単位で正しく計算する必要があります。計算により、小数点以下の端数が生じた場合は切り捨てましょう。
具体的な計算式は以下のとおりです。
【遅刻・早退控除額の計算式】
控除額=月給÷月の所定労働時間数×遅刻・早退による勤務時間の不足分(時間単位)
たとえば、月給が32万円で、月の所定労働時間が160時間と定められている従業員が1時間の遅刻をした場合、遅刻・早退控除額は以下の計算式で求められます。
320,000円÷160時間×1時間=2,000円
時間単価を正確に算出することで、遅刻や早退による控除額が公平に求められます。
6.欠勤控除に関する注意点
欠勤控除の運用は、法律で詳細な計算方法が定められていないため、労使間のトラブルに発展しやすいでしょう。本章では、欠勤控除に関する注意点を解説します。
6-1.就業規則に明記する
欠勤控除は、割増賃金の計算と異なり、法律で詳細な計算方法が規定されているわけではありません。企業が欠勤控除を適正に適用するためには、計算方法や控除の対象となる項目を就業規則に明確に記載しておくことが重要です。
就業規則に明記しておらず、従業員から金額が差し引かれた理由や異議を申し立てられた場合、企業側の正当性が証明できなくなる恐れがあるでしょう。
6-2.手当を欠勤控除の対象とするか明確にする
「手当」の中には、基本給に含まれないものもあるでしょう。たとえば、皆勤手当・家族手当・住宅手当などです。欠勤控除を行う際には「手当」の扱い方を明確にする必要があります。
なお、皆勤手当は、欠勤した時点で支払いの前提が崩れるため、欠勤控除の対象とすることが一般的です。一方、家族手当や住宅手当は、欠勤とは関係なく発生する費用として、欠勤控除の対象としないケースが一般的でしょう。
企業は、欠勤控除の対象とする手当を、就業規則もしくは給与規程に具体的に明記しておくことが重要です。
6-3.みなし残業代を欠勤控除の対象とするか明確にする
みなし残業代(固定残業代)とは、実際の残業時間にかかわらず、毎月一定時間分の残業代を基本給に上乗せして固定額で支払う制度です。残業の対価として支払われます。
実際に残業した時間がみなし残業時間に満たない場合、欠勤控除の対象とするのが一般的です。しかし、トラブルを避けるために、みなし残業代についても就業規則に詳細な計算方法を規定しておくとよいでしょう。
みなし残業代にはいくつか種類があります。違法やトラブルとなるケースもあるので、以下の記事で確認しましょう。
関連記事:みなし残業とは?種類の違いや違法・トラブルとなるケースの例を紹介
6-4.最低賃金を下回らないよう注意する
欠勤控除を適用した結果、従業員に支払われる賃金総額が、最低賃金を下回らないよう注意が必要です。
最低賃金は、労働者に保障された最低限の賃金であり、欠勤控除を行った後の賃金が最低賃金法の規定を下回ることは法律違反となります。
特に、欠勤日数が多い従業員に対しては、控除後の賃金が最低賃金以上になっているかを必ず確認し、違反を避けるための措置を講じる必要があるでしょう。
6-5.社会保険料や税金の計算に注意する
欠勤控除を行う際には、社会保険料や税金の計算順序にも注意が必要です。計算の順序を間違えると、正しい税額が求められません。必ず欠勤控除を行った後の給与額を基に、税金や社会保険料を計算しましょう。
具体的には、本来支払う予定だった総支給額から欠勤控除額を差し引きます。差し引き後に残った課税対象額から所得税を源泉徴収するという順序で行いましょう。
所得税の計算方法の具体例は、以下の関連記事を参考にしてください。
関連記事:所得税の計算方法とは?税率や控除を具体例でわかりやすく解説
6-6.欠勤控除の端数は切り捨てる
欠勤控除額を計算した際に端数(1円未満の金額)が生じた場合、原則切り捨てるのが一般的です。
端数の切り上げや切り下げによる賃金の処理は、労働基準法第24条で定められた賃金全額払いの原則に反する恐れがあります。ただし、端数を切り捨てる方法は、従業員に不利益が生じないため、問題とならず行っても差し支えないでしょう。
6-7.労働基準法に違反しないようにする
欠勤控除の適用範囲は、基本的に欠勤・遅刻・早退といった労務提供がなかった時間に限られます。
欠勤控除を理由として、働いていない時間以上に賃金を差し引くことは、労働基準法第24条に違反する可能性があるでしょう。具体例として、数時間の早退のペナルティで1日分の賃金を欠勤控除として差し引くなどの対応が挙げられます。
欠勤控除を行う際には、差し引く金額が労務提供がなかった分の賃金を超えていないかを常に確認してください。
7.勤怠管理を正確に行うには「バクラク勤怠」
従業員が仕事を休んだ際、給与から仕事に従事していなかった分の賃金を差し引く処理を「欠勤控除」と呼びます。
欠勤控除を適用する場合、労働基準法に違反していないか、最低賃金を下回っていないかなどを確認しましょう。有給休暇の利用や会社都合の休業に関しては、欠勤控除を適用できないので注意してください。
欠勤控除の適用は、正確な勤怠記録が前提です。手動での勤怠管理は、遅刻や早退の1分単位の計算や欠勤時間の把握が煩雑になり、計算ミスや法令違反のリスクを高める可能性があります。
バクラク勤怠を導入することで、正確な打刻情報に基づいた欠勤控除の計算基礎が明確になり、給与計算業務を大幅に効率化できます。
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また、時間外労働の予測時間が出勤簿でひと目でわかるため、残業の管理にも役立ちます。設定時間まで出退勤が未打刻だった場合、自動で打刻漏れアラートが届き、修正打刻までSlackで完結できるでしょう。
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