督促状とは?催促状や催告書との違いや書き方を例文とともに解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-10-01
- この記事の3つのポイント
- 督促状は、支払期限までに入金が確認できない場合、速やかな履行を求めるために送る書類である
- 督促状と似た言葉に催促状と催告書があるが、記載内容や送付するタイミングが異なる
- 督促状を送っても入金がない場合、再送や内容証明郵便、法的手段などで対応を強化していく
督促状とは、支払期限を過ぎた未払い金の入金を求めるための重要な書類です。
本記事では、督促状の役割や催促状・催告書との違い、送付のタイミングや注意点に加え、回数別の文例やテンプレート、送付後に入金されない場合の対応方法まで、実務に役立つ知識を詳しく解説します。
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督促状とは
督促状とは、支払期限までに商品代金や家賃・会費・医療費などの入金や、借金返済が確認できない場合、速やかな履行を求めるために送る書類です。そもそも督促とは、約束した期限までに義務が果たされていない場合に、その履行を促す行為を指します。
たとえば入金日が過ぎても支払いがない場合は、督促状を発行し入金を促します。発行方法は紙媒体に限らず、発信者と受信者、督促内容が明記されていれば、メールやSNSなどの電子的手段でもかまいません。
企業や個人はもちろん、税金の未納に対して国や自治体が行う場合もあり、督促状は法的手続きや信頼関係維持の上で重要な役割を担っています。
下記は請求書を送付したものの入金がなかった場合の対処法をまとめた記事です。ぜひ参考にしてください。
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督促状と催促状・催告書との違い
督促状と混同しやすい言葉が「催促状」と「催告書」です。いずれも相手に行動を促す目的がありますが、記載内容や送付するタイミングが異なります。ここからは、それぞれの意味と督促状との違いについて見ていきましょう。
督促状と催促状の違い
催促状は、支払い期限を過ぎても入金が確認できない場合に送る、比較的穏やかな通知です。内容は「支払いをお願いします」という旨のみで、法的措置に関する言及はありません。
これに対し督促状は「期限までに支払わなければ法的手段を取る」といった強い表現を含みます。送付の順序は、まず催促状で対応を促し、それでも反応がない場合に督促状を送ります。
また「催促」は、金銭以外にも書類提出や返信依頼など幅広く使われますが「督促」は特に入金や返済を求める際に使われ、緊急性が高いとみなされるものです。
督促状と催告書との違い
催告書は、督促状を複数回送っても支払いが行われない場合に発行する、さらに強い意思表示の書類です。内容は「支払わなければ法的手続きを開始する」といった明確な最終警告となり、表現も厳しくなります。
ただし督促状同様、催告書自体に法的強制力はありません。法的効力をもたせるには、内容証明郵便で送付し証拠を残すことが重要です。
催告書は、訴訟や強制執行といった法的手段に移行する前段階として位置付けられ、相手に最後の支払い機会を与える意味合いをもちます。
一般的な督促状と支払督促の違い
一般的な督促状は、企業や個人が未払い金や返済を促すために送る通知で、法的強制力はありません。その一方で支払督促は、裁判所から送付される正式な書類で、強制執行の前段階にあたります。
受け取った場合は内容を確認し、異議がある場合は2週間以内に裁判所へ申し立てを行うことが必要です。異議を出さず放置すると「仮執行宣言付支払督促」が送られ、差し押さえが可能な状態となります。
支払督促は無視すると重大な不利益につながるため、迅速かつ適切な対応が不可欠です。
督促状の書き方
督促状は、単に「支払いをお願いします」と伝えるだけでなく、相手が必要な情報をすぐ把握できるよう構成することが重要です。ここからは、督促状の書き方について、各項目のポイントを解説します。
宛先
宛先は、企業宛なら会社名だけではなく、支店名や部署名、役職も明記し、担当者がわかっている場合は氏名も入れましょう。個人事業主に宛てる場合は屋号と氏名を、個人宛の場合は「会員様」など形式的な表記にすることで、直接的な圧迫感を和らげられます。
正確な宛先記載は、書類の信頼性を高める基本となるものなので、意識するようにしてください。
発行日
発行日(作成日または送付日)は必ず記載します。「支払期日を過ぎている」という事実を明確に示し、後のやり取りや証拠管理にも役立つためです。
たとえば相手からお詫びや支払い連絡があった場合「〇月〇日付の督促状について」と具体的に指定でき、対応がスムーズになるのも、発行日を明記する利点といえるでしょう。
差出人名
差出人名には以下の情報を明記し、捺印します。
- 自社名
- 住所
- 担当部署
- 担当者名
連絡を円滑にするため、電話番号やメールアドレスなどを併記するのも効果的です。記載位置は基本的に最上部右側に配置します。
見やすく目に入りやすい配置により、相手が即座に問い合わせできる環境を整えられます。
表題
表題は、通知の目的を端的に示す部分です。決まった表題はないため、強い意思を伝える場合は「督促状」と明記し、柔らかい表現にしたい場合は「お支払いのお願い」「商品代金のお支払いについて」など、状況に応じて適切な表現を選びましょう。
緊急性と、受け取る相手の心理的負担のバランスを調整することが大切です。
支払い要求
支払い要求の項目は、何に関する支払いかを明確にし、金額・支払期限・支払予定の確認などを具体的に記載します。
誤記はトラブルの原因となるため、金額や日付の記載には特に注意が必要です。明確な要求は相手の行動を促すために不可欠であるため、具体的に書くことを意識しましょう。
法的手段の告知
法的手段の告知とは、支払いがなければ法的措置を取る可能性がある旨を記載することです。必要に応じて、遅延損害金や延滞利息、再請求手数料なども明記しておくとよいでしょう。
法的手段を書くことで、相手に緊急性と責任を意識させ、支払いを促す効果が高まります。
【対象別】督促状の例文・テンプレート
督促状は送付先や関係性によって、文面や表現を調整することが重要です。
取引先にはビジネス文書としての形式や丁寧さを保ちつつも、支払い期限や法的手段の可能性を明確に記載します。一方、個人顧客には直接的な表現を避け、過度な心理的負担を与えない文面にすることを意識しましょう。
ここからは、取引先と個人顧客別の例文を紹介します。
取引先に送る場合
令和 ◯年 ◯月 ◯日
督促状
○○株式会社
□□支店△△部 ××××様
〒123-0000
会社住所
株式会社○○○○
担当:担当部署 担当者名 印
電話番号:03-1234-□□□□
拝啓
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、令和◯年◯月◯日付にて弊社よりご請求申し上げました
「◯◯(商品名・サービス名)」の代金につきまして、
本日時点でご入金の確認ができておりません。
ご多忙のところ恐縮ではございますが、
至急ご確認いただき、下記にお支払予定日をご記入のうえ、
本状をFAXにてご返送くださいますようお願い申し上げます。
なお、誠に遺憾ではございますが、
期日(◯月◯日)までにお支払いを頂けない場合は、
法的手段のほか、遅延損害金・延滞利息・請求手数料を
加算させていただく場合がございますので、ご了承願います。
行き違いで既にご送金いただいている場合は、
何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。
取り急ぎ、書中にてご連絡申し上げます。
敬具
お支払予定日:令和 ◯年 ◯月 ◯日
貴社名:____________________
ご担当者名:___________ 印
個人顧客に送る場合
令和 ◯年 ◯月 ◯日
お支払いのお願い
◯◯様
〒123-0000
住所
株式会社○○○○
担当:担当部署 担当者名 印
電話番号:
拝啓
ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて、令和◯年◯月◯日にお送りいたしました
「◯月分ご請求書」について、
本日時点でご入金の確認ができておりません。
つきましては、誠に恐縮ではございますが、
◯年◯月◯日までに下記口座までお振込みくださいますよう
お願い申し上げます。
◯月◯日までにご入金が確認できない場合は、
法的手段を取らざるを得ないほか、
遅延損害金・延滞利息・請求手数料を加算させていただく場合が
ございます。あらかじめご了承ください。
なお、すでにお支払いがお済みの場合や
本状と行き違いになりました際には、
ご容赦くださいますようお願い申し上げます。
敬具
記
【請求金額】 ◯◯◯,◯◯◯円(税込)
【振込先】 ◯◯銀行◯◯支店 普通1234567
株式会社○○○○
以上
【回数別】督促状の例文・テンプレート
督促状は送付の回数に応じて文面の強さや構成を変えることが必要です。初回は丁寧な依頼から始め、2回目は「再送」と明記して緊急性を高めます。
最終段階では催告書として明確な期限と法的措置を示し、内容証明郵便で送付することで法的根拠を強化します。それぞれの例文・テンプレートを紹介するので参考にしてください。
初回の督促状
督促状
令和◯年◯月◯日
〇〇商事株式会社
営業管理部 ご担当者様
株式会社ABC
請求管理課 山田 太郎
〒100-0001 東京都千代田区千代田1-1
TEL:03-0000-0000
拝啓
貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
さて、令和◯年◯月◯日付でご請求いたしました
「〇〇サービス利用料」金額◯◯◯,◯◯◯円について、
お支払期限(◯月◯日)を過ぎても入金が確認できておりません。
お手数ですが、◯月◯日までに下記口座へお振込みくださいますよう
お願い申し上げます。
振込先:△△銀行 本店営業部 普通 1234567
株式会社ABC
万が一、本状到着前にお支払い済みの場合は、
恐れ入りますがご放念ください。
敬具
2回目の督促状
2回目の督促状は、一度督促したものだとわかるよう、「再送」を付けて作成します。
【再送】お支払いのお願い
令和◯年◯月◯日
〇〇商事株式会社
営業管理部 ご担当者様
株式会社ABC
請求管理課 山田 太郎
〒100-0001 東京都千代田区千代田1-1
TEL:03-0000-0000
前略
先般(令和◯年◯月◯日付)お送りいたしました
「〇〇サービス利用料」のお支払いについて、
期日(◯月◯日)を過ぎても入金が確認できておりません。
弊社の事務処理上、早急なご入金が必要となっております。
お振込は下記口座までお願いいたします。
振込先:△△銀行 本店営業部 普通 1234567
株式会社ABC
なお、◯月◯日までにご入金がない場合は、
大変不本意ながら法的手続きへの移行を検討せざるを得ません。
何らかのご事情がある場合は至急ご連絡ください。
草々
最終的に送る催告書
3度目は催告書とし、内容証明郵便にて送付をしていることを明記し、緊急性がわかるように作成しましょう。
催告書
令和◯年◯月◯日
〇〇商事株式会社
営業管理部 ご担当者様
株式会社ABC
請求管理課 山田 太郎
〒100-0001 東京都千代田区千代田1-1
TEL:03-0000-0000
前略
令和◯年◯月◯日にご請求いたしました
「〇〇サービス利用料」金額◯◯◯,◯◯◯円について、
その後2度にわたるご案内(令和◯年◯月◯日・◯月◯日送付)にもかかわらず、
いまだご入金が確認できておりません。
つきましては、令和◯年◯月◯日までに
下記口座へお支払いください。
振込先:△△銀行 本店営業部 普通 1234567
株式会社ABC
この期限を過ぎた場合、誠に遺憾ながら
訴訟手続き等の法的措置を取らざるを得ません。
本書は最終的な催告であり、内容証明郵便にて送付しております。
草々
督促状を送る流れ
督促状の送付は、支払い遅延の事実を確認し、段階的に対応するのが基本です。流れとしては、以下のとおりです。
- 入金期日を確認し、事前にリマインドメールを送って未回収を防ぐ
- 期日を過ぎても入金がない場合、電話やメールで催促し、入金期限を改めて伝える
- なお支払いが確認できない、または入金の約束が守られない場合は督促状を送付
送付時には、未払い内容が正確に伝わるよう請求書情報を記載し、支払方法や期限を明確にします。文面には、支払いが行われない場合の対応方針も簡潔に触れておくと、相手に支払いの必要性を強く意識させることが可能です。
督促状を送るタイミングや送付時の注意点
督促状は、基本的に催促状で指定した期限から約1週間経過しても入金が確認できない場合に送付します。送付回数に明確な決まりはなく、支払いが確認できるまで必要に応じて発行しますが、回を重ねるほど文面は厳格にしていくのが一般的です。
作成後は送付準備に入り、法人なら社用封筒、個人なら茶封筒などを使用します。封筒には督促状と、該当取引の請求書のコピーを同封しましょう。請求書には「再発行」や「写」の朱書きや印鑑を付け、先方での二重計上を防ぎます。
送付方法は普通郵便で問題ありませんが、内容物を明確にするため、封筒表面には赤字で「督促状」や「お支払いに関するお知らせ」と記載します。
取引先との関係性や支払い意思の有無によっては、催促状を経ず最初から督促状を送付する場合もあるため、状況に応じて判断しましょう。
督促状を送付しても入金されない場合の対処法
督促状を送っても入金がない場合は、段階を踏んで対応を強化していくことが必要です。ここからは、督促状の再送から内容証明郵便、法的手段の検討など順番に解説します。
督促状を複数回送付する
督促状送付後も支払いがない場合は、再度督促状を発行します。初回よりもやや厳しい表現に変え、支払い期限や法的措置の可能性を明確に記載しましょう。
郵便物に気付かなかった場合や、メールが迷惑フォルダに入っていたなどの理由で相手が未確認の可能性もあるため、書式は保存しておき、迅速に再送できるよう準備しておくことが大切です。
内容証明郵便にて催告書を送付する
再送でも入金がない場合は、催告書を内容証明郵便で送付します。これは「いつ・誰が・誰に・どのような内容を送ったか」を郵便局が証明する制度で、法的手段に移る際の証拠になるものです。
催告書には法的拘束力はありませんが、送付により債権回収の時効を6カ月延長できるため、回収可能性を高める効果的な手段といえるでしょう。
支払督促をする
催告書でも解決しない場合、裁判所に申し立てて支払督促を行います。支払督促は、裁判所から債務者に対して正式な督促通知を送るもので、法的強制力が生じます。
申し立ては直接裁判所に行かず郵送でも可能で、費用も比較的安価なため、迅速に回収を進めたい場合に多く利用される手段です。
民事調停など法的手段をとる
支払督促でも未払いが続く場合は、民事調停や訴訟などの法的手段に移行します。民事調停では調停委員や裁判官が間に入り話し合いを行い、成立すれば判決と同等の効力をもつ調停調書が作成されます。
債務者が調停内容を履行しない場合は、強制執行も可能です。複雑な案件は、弁護士など専門家へ相談することが望ましいでしょう。
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督促状は、入金遅延時に支払いを促す重要な手段ですが、送付のタイミング管理や文面作成、入金確認など、手間や時間がかかります。特に複数の取引先を抱える場合、入金と請求の照合作業は目視や手作業に頼りがちで、担当者の負担も大きくなるでしょう。
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