固定資産税の勘定科目は?基礎知識や経費計上・仕訳方法を解説!

固定資産税は経費計上できるため、正しい勘定科目で帳簿に記載する必要があります。正確な仕訳で処理を行い、企業の税負担を減らしましょう。

この記事では固定資産税の考え方、勘定科目や、仕訳の方法を解説しています。固定資産税を経費計上する際に役立ててください。

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固定資産税の勘定科目は?基礎知識や経費計上・仕訳方法を解説!

固定資産税の勘定科目

帳簿を記載する際に用いる固定資産税の勘定科目は次のとおりです。

勘定科目「租税公課」を用いる

法人が固定資産税を記帳・仕訳する際は一般的に、租税公課という勘定科目で処理を行います。

租税とは国税・地方税など税金のこと、公課とは税金以外で国・地方公共団体が徴収する金銭のことです。つまり租税公課とは、税金や各公共団体に納める公的な目的で支払った経費を指します。

また勘定科目は社内での分類で必要とされるものになるため、帳簿への記載時は、別の勘定科目や、オリジナルの勘定科目を使うことも可能です。

固定資産税は経費計上が可能

固定資産税は、法人税法上で経費計上が認められます。経費として計上しておくことで、法人税の負担を減らせるでしょう。

一方、同じ税金でも法人税・所得税・延滞税・過怠税などは経費計上できません。税金のなかでも、勘定科目を「租税公課」にするものもあれば、「法人税、住民税および事業税」になるものもあるため、気をつけてください。

固定資産の種類

固定資産税の対象となる固定資産の種類には、土地、家屋、さらに償却資産が含まれます。それぞれの詳しい内容は下記のとおりです。

  • 土地:住宅地・田畑・池沼・山林など
  • 家屋:住宅・店舗・工場・倉庫など
  • 償却資産:備品・運搬具・構築物など

企業がこれらのものを所有していると、それぞれに税額が課せられていることになるため、間違いのないよう帳簿に計上しましょう。

※参考:固定資産税|総務省

固定資産税の納付

固定資産税を経費計上するときは、固定資産税の納付についても知っておくと便利です。以下では、固定資産税の納付について、納付先や時期、方法を解説します。

固定資産税の納付先

固定資産税は、固定資産のある市町村の自治体に納付する税金です。ただし、東京23区内は東京都に納付すると定められています。納付先は固定資産税の納付書にも記載されているため、確認しておくとよいでしょう。

また固定資産税の分類は、市町村では市町村税、東京都では都税に該当します。

固定資産税の納付時期

固定資産税の納付時期は、5月・7月・12月・翌年2月の年4回が一般的です。納税義務者に送付される納税通知書に、納付期限が記載されています。市町村によって納付時期が異なる場合があるため、納税通知書を必ず確認しましょう。

また固定資産税は企業の方針によって、一括納付も可能です。一括納付の期限も同様に納付書で確認してください。

固定資産税の納付方法

固定資産税の主な納付方法は下記のとおりです。

  • 地方税ポータルシステム(eLTAX)
  • スマートフォン決済
  • クレジットカード
  • コンビニエンスストア
  • 口座振替
  • 金融機関・税事務所の窓口

eLTAXは、事前に利用者IDを取得することで利用が可能となります。クレジットカード決済をしたい場合は、自治体の納付サイト「地方税お支払サイト」などを利用しましょう。

固定資産税の計算

固定資産税は何をもとに計算されるのか、疑問に思うケースもあるかもしれません。ここでは固定資産税の計算方法を確認してみましょう。

固定資産税の計算式

固定資産税の計算式は、以下のとおりです。

課税標準額×税率(多くは1.4%)

固定資産税の税率は、一般的に1.4%とされています。ただし自治体によって異なる場合があるため、疑問があれば各自治体のウェブサイト・窓口で確認してみましょう。

※参考:固定資産税|総務省

固定資産の評価額

前項の計算式で固定資産税を計算するには、固定資産の評価額が必要です。固定資産評価額は、総務大臣による基準に基づいて、各自治体により評価されます。

土地、家屋、償却資産それぞれの評価方法は以下のとおりです。

  • 土地:売買実例価格を基本に評価、宅地は地価公示価格などを基本に評価
  • 家屋:再建築価格方式により評価
  • 償却資産:取得価格を基に、経過年数から評価

※参考:固定資産税|総務省

固定資産の評価額の確認方法

固定資産評価額を確認するには、納税通知書の課税明細書を見るとよいでしょう。

納税通知書が手元にない場合、固定資産課税台帳を閲覧することでも評価額を算出できます。もしくは、自治体の窓口や郵送で固定資産評価証明書を入手すると、固定資産税の計算の元となる固定資産評価額が明確にわかり便利です。

固定資産税の仕訳例

固定資産税の仕訳方法は2種類あります。以下では、それぞれの方法を具体的に解説します。

固定資産税の金額が決まった日に経費処理

1つめは、固定資産税の金額が決まった日に経費処理する方法です。この日のことを賦課決定日と呼びます。

固定資産税の金額を納税通知書で確認をしたら、借方の勘定科目を「租税公課」、相手勘定を負債の科目である「未払金」として帳簿へ記載しましょう。この処理自体は賦課決定日に処理しますが、実際にはまだ支払いが行われていないため、科目としては未払金を用います。

固定資産税の納付日には未払金を取り崩し、納付した金額の分だけ記載を行いましょう。

固定資産税を支払った日に経費処理

固定資産税を実際に支払った日に経費処理する方法もあります。

この場合、借方の勘定科目は「租税公課」、相手勘定を「現金」として、支払った分の金額だけを帳簿に記載します。賦課決定日には仕訳の必要がなく、実際に支出となった分だけを都度記載する方法です。

固定資産税の節税手段

固定資産税を節税する方法には、以下のようなものがあります。

特例措置を活用する

固定資産税を節税できる特例措置では、一定の要件を満たすと、一定期間固定資産税の標準税率を下げられます。

たとえば中小企業が160万円以上の機械装置や、30万円以上の工具・器具・備品などを導入し、その他の要件を満たせば、固定資産税の半分を節税可能です。このほか、従業員の賃上げで1/3となる措置もあります。

これらの措置は、設備投資の促進や賃上げを目的としているものです。詳細は経済産業省の資料で確認してください。

※参考:【中小企業等経営強化法】先端設備等導入計画について|経済産業省 中小企業庁

固定資産税の免税点を知る

固定資産税の免税点を知っておくと、資産を取得する際に免税点を上回らないよう計算できる可能性があります。

免税点とは、固定資産税がかからない課税標準額のことです。固定資産税の免税点は以下のように定められています。

  • 土地:30万円未満
  • 家屋:20万円未満
  • 償却資産:150万円未満

土地の分筆で評価額を下げる

分筆とは、土地を登記簿上で複数に分けることです。土地の分筆で評価額を下げることで、固定資産税を減らせる場合があるでしょう。

たとえば1つの土地のなかで、利便性の高い部分と低い部分があるケースでは、登記簿上で土地を分けると評価額が下がりやすいといえます。

固定資産税に関する注意点

固定資産税に関しては、いくつか注意すべき点もあります。正しい勘定科目で帳簿に記載するだけではなく、以下の点にも注意しておきましょう。

滞納すると延滞金が課される

固定資産税は、期限を1日でも過ぎれば延滞金が発生します。1日単位での延滞金が加算され続けるため、遅れることのないよう早めに納付を行いましょう。

過ぎてしまった期日と延滞金は以下のとおりです。

  • 期限の翌日から1カ月経過までに納付:年2.4%
  • 期限の翌日から1カ月以上を過ぎて納付:年8.7%

ただし税額2,000円未満であれば、延滞金は発生しません。

減額・減免措置は申告が必要

固定資産税は、減額・減免措置によって税負担を減らせますが、制度を利用するには申告が必要です。

まずは減額・減免の申告方法や条件を、自治体のウェブサイト・窓口で確認しましょう。その上で、該当する条件がある場合は漏れなく申告を行うようにしてください。

まとめ

固定資産税の勘定科目は、社内のルールでオリジナルのものを使うことができます。特にルールがない場合は、「租税公課」を利用するとよいでしょう。

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