約束手形とは?小切手との違い・仕訳と26年の廃止予定についてわかりやすく解説

約束手形は、取引先に対して将来の特定の日に一定金額を支払うと約束した証書です。特に日本の商取引において長く活用されてきましたが、実は2026年には廃止が予定されています。

本記事では、約束手形の基本的な仕組みや小切手との違い、実際の取引における仕訳方法をわかりやすく解説します。また、2026年の廃止予定とそれに伴う影響についても触れ、今後の取引で押さえておくべきポイントを整理します。

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約束手形とは?小切手との違い・仕訳と26年の廃止予定についてわかりやすく解説

約束手形とは

約束手形は、手形を振り出した人が受取人に対し、将来の特定の日に一定金額を支払うことを約束した証書です。商取引において、支払いを一定期間後に行うための信用取引手段として広く利用されます。

約束手形を受け取った受取人は、その手形を満期日まで保有することも、他の人に譲渡することも可能です。これにより、商取引の支払いが柔軟に行われ、資金繰りがスムーズに進む手段として重要な役割を果たしています。

約束手形の仕組み

約束手形は、振出人が受取人に対して、将来の特定の日に一定の金額を支払うことを約束する有価証券です。企業間の取引において、支払いを後日に行うための手段として利用され、通常は90日から120日後の支払いが設定されることが一般的です。

また、約束手形は金融機関にて割引されることがあり、割引料(利息)を差し引いて現金化することが可能です。しかし、手形の発行者が支払い不能に陥るリスク(信用リスク)が存在するため、取引相手の信用力も考慮する必要があります。

約束手形と小切手、為替手形の違い

約束手形は、手形を振り出した人が受取人に対し、将来の特定の日に一定の金額を支払うことを約束する証書です。一方、小切手は、振り出した人が銀行に対して即時に特定の金額を受取人に支払うよう指示するものであり、即時決済が求められます。

これに対し、為替手形は振出人が引受人に対して、受取人に特定の金額を将来支払うように指示する手形です。為替手形は、約束手形とは異なり、支払いの義務を他者に委託する形をとるため、支払義務が振出人から引受人に移行します。

約束手形は2026年に廃止される予定

約束手形は、2026年を目処に廃止される予定です。この廃止に至った理由として、約束手形が企業の資金繰りに負担をかけることが挙げられます。

特に、長い支払期間が資金の流動性を悪化させる問題があります。また、紙の手形を取り扱う事務コストや、紛失・偽造といったリスクも大きな課題となっていました。今後は、電子記録債権の利用が推奨され、紙の約束手形に代わる決済手段として取引が進められることになります。

約束手形が廃止された場合に及ぼす影響とは

約束手形が2026年に廃止されることで、企業にはいくつかの影響が予想されます。まず、中小企業にとっては、現金化までの期間が長い約束手形が使えなくなることで、資金繰りの改善が期待されます。長期間待たずに資金が手元に入ることで、経営の安定性が向上する可能性があります。

また、紙の手形に関連する事務作業や管理コスト、リスクが不要になるため、企業の運営コストが削減されるでしょう。さらに、電子記録債権などのデジタルな決済手段が主流となることで、取引の効率化が進み、取引スピードの向上や透明性の確保にもつながると考えられます。

約束手形の特徴

約束手形には3つの特徴があります。以下で詳しく解説します。

裏書譲渡

裏書譲渡とは、約束手形を受け取った受取人が、その手形の権利を第三者に譲渡する際に行う手続きです。手形の裏面に譲渡先の名前を記載し、受取人が署名することで、手形の所有権を譲り渡すことができます。

裏書譲渡は、手形に流通性を持たせることができ、手形を資金繰りの一部として活用する手段となります。取引の中で手形を複数の企業間で譲渡することにより、取引の流動性が高まります。

手形割引

手形割引とは、手形の受取人が支払の期日を待たず、その手形を現金化するための方法です。受取人は手形を銀行や金融機関に持ち込み、手形の金額から割引料(利息)を差し引いた金額を即座に受け取ることができます。

しかし、手形割引を行った金融機関は、手形の発行者が不渡りとなった場合、そのリスクを負うことになります。そのため、手形割引を行う際には、発行者の信用度が重要な要素となります。

約束手形のメリット

約束手形のメリットには、まず支払いを将来の日付に設定できるため、企業が資金繰りを柔軟に管理できる点が挙げられます。また、約束手形を発行することにより、発行者が取引先に対して自身の信用力を示し、信頼関係を築く手段としても活用できます。

さらに、手形は裏書譲渡が可能であり、受取人は手形を他者に譲渡することで、支払期日前に現金化できるため、取引の柔軟性が高まります。これにより、手形を資金調達の一環として活用できる利点があります。

約束手形のデメリット

一方で、約束手形にはいくつかのデメリットも存在します。まず、発行者が支払期日に手形の金額を支払えない場合、不渡りとなるリスクがあることが最大の課題です。

また、手形の受取人は支払日まで現金を受け取ることができないため、資金繰りが厳しくなることがあります。さらに、手形は紙ベースで管理されるため、その処理や管理には手間やコストがかかり、紛失や盗難といったリスクも伴います。

約束手形の仕訳方法

約束手形の仕訳方法を4つの例とともに解説します。

約束手形を振り出した場合の仕訳例

企業が仕入代金の15万円を約束手形で決済するケースでは、以下の仕訳が行われます。この場合、買掛金として発生していた支払い義務が約束手形の振出しによって処理されます。

仕訳:

  • 借方: 買掛金 150,000円
  • 貸方: 支払手形 150,000円

この仕訳では、買掛金が減少し、その代わりに支払手形が計上されることで、仕入代金の支払いを将来の特定の日に行う約束が明記されます。

約束手形を受け取った場合の仕訳例

企業が20万円の商品を販売し、代金を約束手形で受け取ったケースの仕訳は以下の通りです。この場合、売上に対して現金の代わりに手形を受け取るため、受取手形が計上されます。

仕訳:

  • 借方: 受取手形 200,000円
  • 貸方: 売上 200,000円

この仕訳により、売上が計上されると同時に、受取手形が資産として記録されます。受取手形は、支払期日において現金化される予定の債権です。

受取手形を支払期日に決済した場合の仕訳例

支払期日になり、20万円の受取手形が決済されたケースの仕訳例は以下の通りです。このケースでは、受取手形を現金にして当座預金に入金されます。

仕訳:

  • 借方: 当座預金 200,000円
  • 貸方: 受取手形 200,000円

この仕訳により、受取手形が現金化され、当座預金に反映されます。これで手形取引が完了し、受取手形の債権が現金に変わります。

約束手形を裏書譲渡する場合の仕訳例

約束手形を裏書譲渡して現金を受け取る場合、2つの方法で仕訳処理が行われます。「直接法」と「間接法」のどちらを選ぶかにより、仕訳の内容が変わります。

直接法の場合

現金600,000円を受け取るために、受取手形を裏書譲渡した場合の仕訳は次の通りです。

仕訳:

  • 借方: 現金 600,000円
  • 貸方: 受取手形 600,000円

この直接法では、受取手形の資産をそのまま現金に変える形で処理します。裏書譲渡を行う際に、受取手形が消滅し、その代わりに現金が計上されます。

間接法の場合

同様に、現金600,000円を受け取るために手形を裏書譲渡した場合でも、間接法では裏書手形として処理されます。

仕訳:

  • 借方: 現金 600,000円
  • 貸方: 裏書手形 600,000円

間接法では、裏書手形という項目を使って、手形を譲渡したことを明示します。これは、裏書譲渡のリスクや責任を明確に管理するための手法で、手形が譲渡され、現金を受け取ったことが反映されます。

まとめ

約束手形は、企業が資金繰りを調整するための重要な決済手段として広く利用されてきましたが、紙の手形に伴うリスクやコスト、事務負担の問題から、2026年に廃止が予定されています。

小切手との違いや仕訳方法を理解しておくことは重要ですが、今後は電子記録債権などのデジタル決済手段が主流となることが見込まれます。廃止後の新しい決済手段への移行を視野に入れ、早めの対応を検討することが求められます。

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