労務費率とは?建設業の労災保険料の計算や他業種における割合を解説

労務費率とは、建設業における労災保険料の計算に欠かせない割合であり、請負金額に対する賃金の割合を示す重要な指標です。

本記事では、建設業における労災保険料の具体的な計算方法や、他業種における労務費率の使い方について詳しく解説します。労務費率の基本を理解することで、業種に応じたコスト管理や経営戦略の参考となり、より効率的な経営判断を行う助けとなるでしょう。

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労務費率とは?建設業の労災保険料の計算や他業種における割合を解説

「労務費率」とは?

労務費率とは、主に建設業や製造業などで使用される、請負金額に対する賃金の割合を示す指標です。労災保険料は通常、「賃金総額 × 労災保険率」によって計算されますが、建設業では特に下請け業者の労働者の賃金を正確に把握することが難しい場合があります。

そこで、厚生労働省が定めた「労務費率」を請負金額に掛け合わせることで、賃金総額を推計し、これを基に労災保険料を算出する仕組みとなっています。

「労務費率」は主に建設業の労災保険料の計算に使用される

労務費率は、特に建設業において労災保険料の計算で広く用いられています。労災保険料は、通常、労働者に支払われる賃金総額に保険料率を掛けて計算しますが、建設業では下請け業者や複数の労働者の賃金を正確に把握するのが難しい場合が多いです。

この問題に対処するために、厚生労働省は業種ごとに定めた労務費率を使用し、請負金額に労務費率を掛けることで賃金総額を推計します。これにより、労災保険料を適切に計算することが可能となります。

建設事業の種類別の労務費率

労務費率は、建設事業における労災保険料の計算に使用される重要な指標であり、事業の種類ごとに定められています。労務費率は、建設事業で従業員に支払われる賃金を推計するために使われ、厚生労働省の労務費率調査に基づき、定期的に見直されます。

例えば、水力発電施設や道路新設事業、建築事業など、事業の種類に応じて適用される労務費率が異なります。この値を使って賃金総額を算出し、労災保険料の計算が行われます。

以下は、令和6年度の最新労務費率の一部です。

事業の種類労務費率
水力発電施設、ずい道等新設事業19%
道路新設事業19%
舗装工事業17%
鉄道または軌道新設事業19%
建築事業(既設建築物設備工事業を除く)23%
既設建築物設備工事業23%
機械装置の組立てまたは据付けの事業(組立て・取付け)38%
その他の建設事業23%

出典元:労務費率表(令和6年度~)|厚生労働省

労務費率を用いた労災保険料の計算

労災保険料の計算式は以下の通りです。

請負金額 × 労務費率 × 労災保険率 = 労災保険料

ここで、請負金額 × 労務費率の部分が賃金総額を示します。建設業の特性上、労災保険料は賃金総額を基に算出されますが、下請け業者の労働者の賃金を正確に把握するのは困難です。そのため、事業ごとの労務費率を請負金額に掛け合わせて賃金総額を推定し、それに労災保険率を掛けて保険料を計算します。

たとえば、請負金額が1,000万円で労務費率が19%、労災保険率が1.2%の場合、労災保険料は以下のように計算できます。

1,000万円 × 19% × 1.2% = 22,800円

この計算方法によって、企業は労災保険料の負担を正確に見積もり、事業のコスト管理を行います。労務費率は事業の種類によって異なるため、正しい労務費率を選択することが重要です。

製造業やサービス業など他業種の労務費率の目安と傾向

製造業において、労務費は「製造原価」の一部として扱われ、さまざまな労働関連費用が含まれます。具体的には、従業員に支払われる賃金、雑給、従業員の賞与や手当、退職給与、そして法定福利費用(社会保険料や労働保険など)が該当します。これらの費用は、製品の製造に直接関与するものとみなされ、正確な原価計算が求められます。

労務費は、製造に直接関わる費用と間接的に関わる費用に分けられます。たとえば、組み立てや加工などの直接作業に従事する従業員の賃金は「直接労務費」として計上されます。一方で、機械の修繕、工場の清掃、事務職員の給与などは「間接労務費」に含まれます。製造業では、これらの直接労務費と間接労務費を明確に区分して管理し、正確な労務費率を計算することが重要です。

一方、サービス業では、人件費率(労務費率)が高い傾向にあります。これは、サービス業では従業員の労働が直接的に顧客に価値を提供するため、人件費が大きなコストとなるからです。一方、卸売業では、仕入れにかかるコストが高く、相対的に人件費率が低くなる傾向があります。このように、労務費率は会社の規模や業種によって異なり、職人が多く関わる業種や、対面サービスが中心となる業種では労務費率が高くなる傾向があります。

適切な人件費率や労務費率を判断するためには、同業他社との比較が重要です。一般的に、売上単価の引き上げや製造工程の効率化を行うことで、労務費率の適正化が可能です。ただし、製造業とサービス業ではコスト構造が大きく異なるため、それぞれの業態に適した労務費率の管理が求められます。

業種名労務費率
ビルメンテナンス業・警備業                       62.7%
情報サービス業           57.9%  
技術サービス業             56.8%     
映像・音声・文字情報制作業            46.3%   
不動産取引業              41.9%      
道路貨物運送業         39.7%     
広告業            38.5%     
電子部品・デバイス・電子回路製造業                   38.0%     
自動車整備業              36.9%  
情報通信機械器具製造業           36.9%    
業務用機械器具製造業             36.4%      
不動産賃貸業・管理業            36.0%        
電気機械器具製造業             35.3%   
生産用機械器具製造業               34.9%         
協同組合              34.7%   
総合工事業        34.6%             
金属製品製造業       34.6%   
はん用機械器具製造業              34.4%    
印刷・同関連業               34.3%   
放送業              34.0%     
家具・装備品製造業           32.9%      
輸送用機械器具製造業32.5% 

出典元:https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/dec/231227_tokubetsuchosakekka_besshi_insatsuyou.pdf

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/roumuhitenka_hontai.pdf

まとめ

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