受取利息の仕訳と勘定科目を解説!収益の計算・計上方法についても紹介

受取利息とは、企業や個人が預金や貸付金などから得る利息収入を指します。受取利息が発生した場合は、受け取った者の属性や状況に合わせて適切に対処しなければなりません。

この記事では、受取利息の仕訳方法について解説します。受取利息の仕訳例や、仕訳時の注意点も解説するので、参考にしてください。

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受取利息の仕訳と勘定科目を解説!収益の計算・計上方法についても紹介

受取利息とは

受取利息とは、金融機関の預金や会社の貸付金などに対して、対価として得られる利息のことです。会社が預金や貸付金などから利息を受け取った場合、その金銭を適切に仕訳する必要があります。

なお、利息と似た言葉として、利子が挙げられます。元本に加えて受け取る金銭を利息と呼び、元本に加えて支払う金銭を利子と呼ぶことが一般的です。

受取利息と受取配当金の違い

受取利息と受取配当金は似た言葉ですが、それぞれに違いがあります。まず、受取利息は預金や貸付金などから得られる利息収入です。

一方、受取配当金は、企業が保有する株式から得られる配当収入を指します。受取利息は金銭の貸付に基づく収入であり、受取配当金は投資に基づく収入であるという点が相違点です。

なお、決算における損益計算書の表示科目では、両方をまとめて受取利息配当金と示す場合もあります。

受取利息の仕訳方法

受取利息が発生した際には、適切に仕訳を行うことが求められます。また、個人事業主と法人では仕訳方法が異なるため、注意が必要です。ここからは、個人事業主と法人それぞれの受取利息の仕訳方法を解説します。

個人事業主の場合

個人事業主が受け取った利息は、たとえ事業用の預金であっても、事業主借として仕訳する必要があります。この場合の受取利息は利子所得として区分され、事業所得とは無関係な入金となるからです。

しかし、預金利息は源泉分離課税として、源泉徴収の時点で納税が完結しています。そのため、確定申告で処理をしなくても問題ありません。

法人の場合

法人が受け取った利息の仕訳方法には、原則的な仕訳方法と純額処理による仕訳方法の2種類があります。原則的な仕訳方法では、受取利息と源泉徴収された税金の両方を処理します。

一方、純額処理による仕訳方法では、実際に受け取った受取利息の金額のみを処理することが特徴です。なお、一定の手順を踏まなければ、所得税額控除を受けられない点には注意が必要です。

受取利息の仕訳例

受取利息が発生した場合には、状況に応じて適切に仕訳を行うことが求められます。以下は、受取利息に関する代表的な状況と、それぞれの仕訳例です。受取利息が発生した際に参考にしてください。

利息に対して税金が差し引かれた後に入金された場合

銀行の預金利息が口座に振り込まれる場合、その金額から源泉所得税が15.315%、地方税利子割が5%差し引かれます。

しかし、法人の預金利息に対して差し引かれるのは源泉所得税15.315%のみで、地方税利子割は差し引かれません。また、国税は仮払法人税等として処理されます。

利息1,200円に対して税金が差し引かれ、1,016円が入金された場合の法人における仕訳処理は以下の通りです。

借方:普通預金 1,016円  

借方:法人税等 184円  

貸方:受取利息 1,200円

代表者への貸付金の利息が入金された場合

会社が代表者に対して金銭を貸し付けている場合、代表者は会社に対して元金に加えて利息も支払うのが一般的です。

代表者に貸し付けた金銭に対する利息が会社に入金されたら、利息と元金を仕訳する必要があります。

貸付金350万円の元金と利息1万5千円が会社の預金口座に振り込まれた場合の仕訳は、以下の通りです。

借方:普通預金 3,515,000円  

貸方:短期貸付金 3,500,000円  

貸方:受取利息 15,000円

法人が預けていた定期預金が満期を迎えた場合

法人が預けていた定期預金が満期を迎えると、利息が発生します。その利息は源泉徴収税が差し引かれた後、普通預金に振り込まれます。

この場合、利息の総額、差し引かれた税金、そして定期預金の元本をどのように処理するかを正確に仕訳しなければなりません。

たとえば、50万円の定期預金が満期を迎え、税引き後の利息1,200円が入金された場合の仕訳は以下の通りです。

借方:普通預金 501,200円  

借方:法人税等 218円  

貸方:定期預金 500,000円  

貸方:受取利息 1,418円

受取利息にかかる税金の取り扱い

受取利息にかかる税金については、源泉徴収税が適用されます。法人の場合、受取利息から15.315%の税金が源泉徴収されます。

個人事業主の場合は20.315%が差し引かれるため、法人とは割合が異なる点に注意しましょう。なお、この税額は所得税および復興所得税として処理されます。

受取利息に使われる勘定科目

法人が受け取った利息は、受取利息として仕訳します。また、確定した法人税、法人住民税、法人事業税などの納付は、法人税等として処理しなければなりません。

事業と関係しない入金の場合は事業主借を用い、事業と関係しない出金の場合は事業主貸を使用します。

受取利息に用いる代表的な勘定科目は以上の4つです。これらは、それぞれ状況に応じて適切に活用することが求められます。

受取利息の計算方法

受取利息の計算方法は、単利と複利で異なります。以下は、単利と複利それぞれの受取利息の計算方法です。具体的な数値を交えて解説していますので、参考にしてください。

単利

単利計算では、元本に対してのみ利息が発生します。利息は、元本に一定の利率を掛けて計算します。具体的な計算式は以下の通りです。

元本 × 金利 = 利息

例えば、元本10万円に対して年利2%で、期間が1年の場合の利息は以下のようになります。

10万円 × 2% = 2,000円

なお、単利計算では、当初の元本を対象として利息が発生します。運用額が増えても、発生する利息の額は一定のままです。

複利

複利計算では、元本と前期までの利息を合わせた額に対して利息が発生します。利息は、元本に利率を掛けて求めるだけでなく、累積利息に対しても利率を掛けます。

例えば、元本10万円、年利2%、期間2年の場合、1年目の利息は2,000円です。しかし、2年目の利息は2,040円となり、合計利息は4,040円になります。元本に利息を加えることで、運用期間が長くなるほど利息の総額は大きくなります。

受取利息を仕訳する際の注意点

受取利息を仕訳する際には、いくつかの点に注意が必要です。ここから、具体的な注意点を解説します。また、それぞれの状況への対処法についても併せて解説します。

純額処理では所得税控除が受けられない

純額処理は、法人が受け取った利息に対する仕訳方法の1つです。純額処理では、預金に振り込まれた金額のみを記載するため手間は少ないものの、所得税控除のメリットを享受できない点に注意が必要です。

一方、原則的な処理を行うと、税務申告時に前払いした源泉徴収税を控除できます。受取利息による所得税控除の影響や、仕訳の手間を省けるメリットの大きさを考慮し、適切な仕訳方法を選びましょう。

受取利息は消費税の課税対象外である

消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引です。ただし、社会政策的配慮や、消費に負担を求める税として馴染まないものなどは非課税取引として扱われます。

また、受取利息は消費税の課税対象外です。なぜなら、受取利息は金融取引として特別に消費税が免除されているからです。したがって、仕訳の際に消費税を計上する必要はありません。

参考:No.6201 非課税となる取引|国税庁

未収の受取利息がある場合は「未収利息」として仕訳する

未収の受取利息がある場合、その利息は未収利息として仕訳されます。期末に未収利息が発生している場合は、収益として計上し、財務諸表に反映させます。

なお、後になって実際に利息を受け取った際には、前に計上した未収利息を取り崩す仕訳が必要です。これにより、収益と現金の対応が行われます。

まとめ

受取利息の仕訳方法は、個人事業主と法人で異なるほか、状況によって適切な対応が変わります。また、受取利息に限らず、仕訳に関する業務は多岐にわたるため、担当者の負担が大きくなりがちです。

担当者の負担を軽減し、業務を効率化するためには、専用システムの導入が推奨されます。バクラク請求書発行は、支払い業務を自動化し、業務を正確に遂行するのに役立ちます。

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