簿記の訂正仕訳のやり方は?賃借逆転や科目・金額間違いの修正をわかりやすく解説

日々、仕訳をしていると、間違いが生じることもあります。間違いが判明した際、どのように対処すべきなのか迷う担当者もいるのではないでしょうか。簿記では間違った仕訳をしたとき、消したり削除したりはせず、誤りは残したまま、訂正仕訳をすることが基本です。この記事では、仕訳の訂正について、具体例を挙げながら手順を解説します。

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簿記の訂正仕訳のやり方は?賃借逆転や科目・金額間違いの修正をわかりやすく解説

簿記の訂正仕訳とは

簿記で記帳済みの仕訳が間違っていた場合、追加で行う作業が訂正仕訳です。反対仕訳や逆仕訳、取消仕訳などとも呼ばれることがあります。訂正仕訳は、間違えた仕訳を正しい仕訳に訂正するために行う作業です。訂正仕訳が必要な具体的な場面としては、金額を間違えたケースや、使用する勘定科目を間違えたケースなどが挙げられます。

簿記において訂正仕訳が必要とされる理由

企業が事業活動を行う場合、取引をすべて記録しておく必要があります。発生するお金の流れは、帳簿に記載しておかなければなりません。帳簿はそもそも会社法によって作成と一定期間の保存が義務付けられており、後々、決算書などの作成でも必要になってきます。帳簿に記録する際、間違っている仕訳の記録も削除や消去をしてはいけません。

 

簿記における訂正仕訳の流れ

訂正仕訳は、以下で示すように4段階で行います。それぞれのステップをみていきましょう。

1.間違えた仕訳を確認する

間違えている仕訳を間違えている状態のまま書き出すなど、まずは間違えた仕訳を確認してください。

2.間違えた仕訳を逆にする

次に逆仕訳や反対仕訳を行いましょう。間違った仕訳の借方と貸方を逆にすることで、記帳済みの仕訳が取り消されます。

3.正しい仕訳をする

2で間違った仕訳をクリアにした状態から、あらためて本来すべきであった仕訳を行います。

4.仕訳をまとめる

2と3の仕訳をまとめて合算・相殺することで、訂正仕訳が完成します。

訂正仕訳の具体例【記入ミス】

ここからは訂正仕訳の具体例を挙げて解説していきます。まずは記入ミスをしてしまった場合の訂正仕訳です。

勘定科目を間違えた場合

具体的な記入ミスの例として、15,000円の商品を現金で仕入れ、売掛金として記帳してしまったケースを考えてみましょう。最初の仕訳では売掛金で仕入れたことになっています。

1.間違っている仕訳

借方金額貸方金額
仕入15,000売掛金15,000

2.逆仕訳で間違った仕訳を取り消す

借方金額貸方金額
売掛金15,000仕入15,000

3.正しい仕訳

借方金額貸方金額
仕入15,000現金15,000

4.2と3の仕訳をまとめ、貸借が同じ「仕入」を相殺する

借方金額貸方金額
売掛金15,000仕入15,000
仕入15,000現金15,000

相殺後の訂正仕訳

借方金額貸方金額
売掛金15,000現金15,000

金額を間違えた場合

次は15,000円分の商品を現金で仕入れたものの、金額を10,000円と記帳してしまったケースの訂正仕訳です。

1.間違っている仕訳

借方金額貸方金額
仕入10,000現金10,000

2.逆仕訳で間違った仕訳を取り消す

借方金額貸方金額
現金10,000仕入10,000

3.正しい仕訳

借方金額貸方金額
仕入15,000現金15,000

4.2と3の仕訳を合算し、金額を相殺する

借方金額貸方金額
現金10,000仕入10,000
仕入15,000現金15,000

相殺後の訂正仕訳

借方金額貸方金額
仕入5,000現金5,000

借方と貸方を逆にした場合

次は150,000円分の商品を現金で仕入れたものの、借方と貸方を逆に記帳してしまった場合の訂正仕訳です。

1.間違っている仕訳

借方金額貸方金額
現金150,000仕入150,000

2.間違った仕訳を逆仕訳で取り消す

借方金額貸方金額
仕入150,000現金150,000

3.あらためて正しい仕訳をする

借方金額貸方金額
仕入150,000現金150,000

4.2と3の仕訳をまとめる

借方金額貸方金額
仕入150,000現金150,000
仕入150,000現金150,000

合算すると以下のようになります。

借方金額貸方金額
仕入300,000現金300,000

訂正仕訳の具体例【返品】

次に、返品が生じたケースの訂正仕訳をみていきましょう。返品の仕訳には、仕入れた商品を返品する場合と販売した商品が返品された場合の2種類があります。仕入れた商品を返品する際に行う作業が「仕入戻し」、販売した商品が返品された際に行う作業が「売上戻り」です。それぞれ具体的な例を挙げて解説しますので、ポイントを押さえましょう。

仕入戻し(返品した場合)

5,000円で仕入れた商品を返品するケースの訂正仕訳をみてみましょう。

・仕入れたときの仕訳

5,000円の商品を掛けで仕入れた場合の仕訳です。

借方金額貸方金額
仕入5,000買掛金5,000

・返品したときの仕訳

仕入時の取引を取り消してください。訂正仕訳を行ったことで仕入が減少し、同時に支払うはずだった買掛金も減少します。

借方金額貸方金額
買掛金5,000仕入5,000

売上戻り(返品された場合)

次に5,000円で販売した商品が、返品されたケースの訂正仕訳について解説します。

・販売したときの仕訳

5,000円の商品を掛けで販売した場合の仕訳です。

借方金額貸方金額
売上5,000売掛金5,000

・返品されたときの仕訳

販売時の取引を取り消してください。訂正仕訳を行ったことで売上が減少し、受け取るはずだった売掛金も減少します。

借方金額貸方金額
売掛金5,000売上5,000

訂正仕訳の具体例【値引き】

取引では、値引きをすることも珍しくありません。値引きにも仕入で値引きをしてもらうケースと売上で値引きをするケースがあり、仕入では仕入値引き、売上では売上値引きの仕訳を行います。具体例で仕訳をみていきましょう。

仕入値引き(値引きをしてもらった場合)

5,000円で仕入れた商品を、500円値引きしてもらったケースの仕訳です。

・仕入れたときの仕訳

5,000円の商品を掛けで仕入れた仕訳をします。

借方金額貸方金額
仕入5,000買掛金5,000

・値引きしてもらったときの仕訳

上記の取引で500円値引きしてもらった場合、値引き分を逆仕訳します。

借方金額貸方金額
買掛金500仕入500

売上値引き(値引きをした場合)

5,000円で販売した商品について、500円の値引きをしたケースの仕訳です。

・販売したときの仕訳

5,000円の商品を掛けで販売した仕訳をします。

借方金額貸方金額
売掛金5,000売上5,000

・値引きしたときの仕訳

上記の取引で500円の値引きをした場合、値引き分を逆仕訳します。

借方金額貸方金額
売上500売掛金500

まとめ

仕訳で間違いが生じた際は、訂正仕訳をする必要があります。同じ訂正仕訳といっても勘定科目の間違いや金額の間違い、借方・貸方を逆にした場合、返品や値引きなど、複数の仕訳が考えられるため、ケースに応じて訂正仕訳をしましょう。

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