パソコンの勘定科目は?10万円・30万円など価格ごとの経費処理と仕訳例

業務に使用するパソコンの購入費用は、経費計上が可能です。ただし、購入金額によって勘定科目や処理方法が異なるため、適切に処理しなければなりません。本記事では、パソコンの経費計上について、金額や購入パターン別にポイントを押さえながら仕訳例と合わせて解説します。

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パソコンの勘定科目は?10万円・30万円など価格ごとの経費処理と仕訳例

パソコンの勘定科目は購入金額によって異なる

パソコンを購入したときは、1台あたりの取得価格によって勘定科目が変わります。基本的に購入金額が10万円未満であるか、10万円以上であるかが目安です。それぞれのパターンをチェックしてみましょう。

10万円未満のパソコンの場合

10万円未満のパソコンは、減価償却が不要です。「消耗品費」または「事務用品費」として一括で経費計上しましょう。

パソコン本体のほかに、キーボード、USBメモリなどの周辺機器も「パソコン用品」に含まれます。これらは日々の業務で必要であり、使用頻度が高く消耗も早いため、「消耗品費」としての計上が可能です。

10万円以上20万円未満のパソコンの場合

10万円以上20万円未満のパソコンの場合は、原則として一括計上はできません。基本的に資産として扱われるため「工具器具備品」で仕訳します。計上方法は以下の3つです。

  • 耐用年数で減価償却
  • 一括償却資産
  • 少額減価償却資産

耐用年数で減価償却

耐用年数とは、省令で定められた固定資産の使用可能期間です。サーバーで使用するパソコンは5年、それ以外は4年と決められており、耐用年数4年の資産償却率は0.25になります。例えば、15万円のパソコンを7月に購入した場合、計算方法は以下のとおりです。

  • 1年目と5年目:15万円×0.25×(6か月/12)=18,750円(購入月が7月のため6か月で計算)
  • 2~4年目:15万円×0.25×(12か月/12)=37,500円

一括償却資産

一括償却資産の場合は固定資産として管理する必要がなく、3年均等償却が可能です。通常は4年で処理するものが3年で償却処理できます。

少額減価償却資産

個人事業主や中小企業で青色申告を行う場合は、「少額減価償却資産の特例」を活用できます。30万円未満のパソコンであれば、年度内に一括で減価償却できます。

20万円以上30万円未満のパソコンの場合

20万円以上30万円未満のパソコンの計上方法は「耐用年数で減価償却」と「少額減価償却資産」の2パターンです。

耐用年数で減価償却

先に解説した10万円以上20万円未満のケースと同じように、例えば25万円のパソコンを7月に購入した場合の計算方法は以下のとおりとなります。

  • 1年目と5年目:25万円×0.25×(6か月/12)=31,250円
  • 2~4年目:25万円×0.25×(12か月/12)=62,500円

少額減価償却資産

20万円以上のパソコンの場合でも、30万円未満かつ個人事業主や中小企業で青色申告を行う場合は「少額減価償却資産」の特例は活用可能です。年度内に一括で減価償却できます。

30万円以上のパソコンの場合

30万円以上のパソコンは、「一括償却資産」や「少額減価償却資産の特例」の対象外となります。原則、「工具器具備品」の勘定科目で減価償却する必要があります。

パソコン購入時は付随費用を含める

パソコンの取得価額には、パソコン本体だけではなく、取得時に必要な付随費用も含められます。以下のように、パソコンを動作させるために必要なものは付随費用に含めます。

  • パソコン本体
  • ディスプレイ
  • メモリの増設
  • 購入手数料
  • 配送料
  • OSソフト

一方、パソコンとは別に購入した周辺機器やパソコン動作に必要のない「USBメモリ」「OS以外のソフト」などは付随費用に含みません。

パソコン購入時の仕訳例

パソコンの勘定科目や計上方法がわかったところで、次は購入時の金額別に仕訳例を紹介します。現金とクレジットカードで買ったケース、それぞれ参考にしてください。

10万円以下のパソコン購入時の仕訳例

10万円以下のパソコンは「消耗品費」あるいは「事務用品費」で仕訳します。

・現金で8万円のパソコンを購入した場合

借方貸方
消耗品費(事務用品費)80,000円現金80,000円

・クレジットカードで8万円のパソコンを購入したとき

借方貸方
消耗品費(事務用品費)80,000円未払金80,000円

・クレジットカード料金の支払時

借方貸方
未払金80,000円現金80,000円

クレジットカードで購入したときは、購入時と支払時に帳簿をつけます。

10~20万円以下のパソコン購入時の仕訳例

10~20万円以下のパソコンは「工具器具備品」で仕訳します。16万円のパソコンを7月に購入した場合のケースは以下のとおりです。

・現金で購入した場合

借方貸方
工具器具備品160,000円現金160,000円

・クレジットカード購入時

借方貸方
工具器具備品160,000円未払金160,000円

・クレジットカード支払時

借方貸方
未払金160,000円現金160,000円

・耐用年数で減価償却(1年目)

借方貸方
工具器具備品20,000円減価償却費20,000円

・一括償却資産

借方貸方
一括償却資産160,000円現金160,000円

・少額減価償却資産

借方貸方
工具器具備品160,000円現金160,000円
減価償却費160,000円工具器具備品160,000円

20~30万円以下のパソコン購入時の仕訳例

20~30万円以下のパソコンを購入した場合は、一般的に耐用年数で減価償却し、「工具器具備品」で仕訳します。例えば、24万円のパソコンを7月に購入した場合、定耐用年数が4年の資産にかかる償却率は0.25なので、1年目(6か月)は30,000円になります。

・耐用年数で減価償却(1年目)

借方貸方
工具器具備品30,000円減価償却費30,000円

個人事業主や中小企業で青色申告を行う場合は「少額減価償却資産」の特例が活用可能です。年度内に一括で減価償却できます。

・少額減価償却資産

借方貸方
工具器具備品240,000円現金240,000円
減価償却費240,000円工具器具備品240,000円

30万円以上のパソコンの仕訳例

30万円以上のパソコンは「一括償却資産」の対象外のため、「工具器具備品」で減価償却します。32万円のパソコンを7月に購入した場合、定耐用年数が4年の資産にかかる償却率は0.25で、1年目(6か月)は4万円になります。

・耐用年数で減価償却(1年目)

借方貸方
工具器具備品40,000円減価償却費40,000円

・クレジットカードで購入時

借方貸方
工具器具備品320,000円未払金320,000円

・クレジットカード支払時

借方貸方
未払金320,000円預金320,000円

購入パターン別の仕訳例

パソコン購入時は、同時にOSソフトを購入したり、法人の場合は複数台購入したりするケースもあるでしょう。こちらでは購入パターン別の仕訳について解説します。

複数台購入する場合の仕訳例

複数台を同時購入した場合は、総額ではなく1台の金額で会計処理を行います。9万円のパソコンを10台購入した場合、総額は90万円ですが、1台あたり10万円未満であるため消耗品費として計上します。

借方貸方
消耗品費90,000円未払金90,000円

設定料金を一緒に払う場合の仕訳例

パソコンの購入と同時に、設定料金も一緒に支払った場合の仕訳例です。パソコン9万円、設置料金が2万円で11万円かかった場合は合計が10万円以上になるため、一括償却資産を適用します。

借方貸方
一括償却資産110,000円現金110,000円

パソコンの関連用品を購入する場合の仕訳例

関連用品を同時に購入した場合の仕訳例です。パソコン本体8万円、ディスプレイ2万円、キーボード・マウスが5,000円ずつの場合は全部で11万円かかり、合計が10万以上になるため一括償却資産を適用します。

借方貸方
一括償却資産110,000円未払金110,000円

同時にOSソフトを購入する場合の仕訳例

WindowsなどのOSはパソコンを動かすのに必要なため、付随費用に含めます。9万円のパソコンと3万円のOSソフトを購入した場合、合計金額が12万円で、10万以上になるため一括償却資産を適用します。

借方貸方
一括償却資産120,000円未払金120,000円

同時に長期保証に加入する場合の仕訳例

パソコンを購入するときに長期保証に加入した場合の仕訳例です。長期保証は支払った全額を費用にできません。時間の経過とともに費用にします。8万円のパソコンと5年(3万円)の長期保証に加入した場合は以下のとおりです。

・購入時

借方貸方
消耗品費80,000円未払金80,000円
長期前払費用30,000円現金30,000円

当期分の保証料(3万円÷5=6,000円)を費用として処理します。翌年分の保証料は流動資産に振り替えます。

・決算時

借方貸方
修繕費6,000円長期前払費用12,000円
前払費用6,000円

パソコン購入時の消費税の取り扱いについて

消費税の処理方法には「税抜経理方式」と「税込経理方式」の2種類があります。自社の処理方法によって、金額の判断や会計処理が異なるので注意が必要です。

税抜経理方式は消費税額を除いた税抜金額を基準に、税込経理方式は税込金額を基準として、購入金額が10万円未満であるかどうかを判断します。

税抜経理方式では消費税部分を分けて会計処理を行います。本体価格が8万円、消費税が8,000円の場合の仕訳は以下のとおりです。

借方貸方
消耗品費80,000円未払金88,000円
仮払消費税8,000円

税込経理方式は、消費税部分も含めて会計処理を行います。

借方貸方
消耗品費88,000円現金88,000円

パソコン費用を会計処理する際の注意点

個人・法人を問わず、事業を行う者は1月31日までに償却資産税を申告する必要があります。ただし、10万円未満で費用処理したもの、20万円未満で一括償却資産にしたものは含みません。

「少額減価償却資産の特例」で費用処理をしたものは、償却資産税の申告対象です。一括償却資産の適用を受けるときは会計処理を行う際に、法人税の申告書に「一括償却資産の損金算入に関する明細書(別表16(6)」を添付しなければなりません。「少額減価償却資産の特例」を適用する場合は、「少額の減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7)」を添付します。別表をつけ忘れると特例が受けられないことがあるため注意しましょう。

個人事業主がパソコンを経費計上する場合

個人事業主も、基本的な処理方法は法人と変わりません。青色申告書提出の届出をしている場合は「少額減価償却資産の特例」での処理も可能です。

しかし、個人事業主はプライベートでもパソコンを使用する場合もあるでしょう。経費処理する場合は、業務とプライベートの使用時間を按分する方法があります。経費計上が難しいため業務用とプライベート用のパソコンを別々に購入するのがおすすめです。

会社員が副業でパソコンを経費計上する場合

会社員が副業で使うために購入したパソコンも、経費計上することができます。ただし、個人事業主のケースと同様にプライベートで使う場合は経費計上が難しいため、副業専用のパソコンを購入した方が良いでしょう。

10万円未満のパソコンなら消耗品費、10万円以上なら耐用年数で減価償却など、先に解説した方法で経費処理できます。

まとめ

パソコンを経費計上する際は、1台あたりの取得価格によって勘定科目が変わります。本記事では、金額パターン別に勘定科目や計上方法を解説しました。複数台購入する際や関連用品を一緒に購入する際など、気をつけるポイントも紹介したのでぜひ参考にしてください。

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