
打刻忘れが起きる原因は?対策や減給処分の注意点を解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-09-30
- この記事の3つのポイント
- 打刻忘れの原因は、タイムカードの設置場所がわかりにくい、直行直帰が多いなどが挙げられる
- 打刻忘れがあると、正確な給与計算ができず、残業代の未払いが発生するリスクがある
- 打刻忘れによるペナルティを科す場合は、就業規則に明記したうえで法令の範囲内で運用する
「打刻忘れが多くて確認作業に時間がかかる」「打刻忘れが改善されず、ペナルティの導入を検討している」このように悩む企業も少なくありません。
打刻忘れが起きる原因はさまざまですが、現状を放置したままでは、給与計算や勤怠管理においてリスクを抱えることになるため、早急な対応が必要です。
そこで本記事では、打刻忘れが起きる原因と対策について解説します。減給処分をする際の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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打刻忘れが起きる原因は?対策や減給処分の注意点を解説
打刻忘れが起きる原因
打刻忘れを防ぐためには、原因を把握した上で対策を講じる必要があります。ここでは、打刻忘れが起きる原因を4つ紹介します。
打刻の習慣が身についていない
打刻忘れが起きる原因として挙げられるのが、打刻の習慣が身についていないという点です。たとえば、新しく入社した従業員は打刻が習慣化されておらず、忘れてしまうというケースは珍しくありません。
また、打刻方法が変わったり、在宅勤務と出社勤務で方法が異なったりする場合にも、打刻忘れが生じやすくなります。打刻の習慣が身についていない従業員に対しては、再度指導を行い、重要性を周知しましょう。
タイムカードの設置場所がわかりにくい
タイムカードの設置場所がわかりにくいことも、打刻忘れの原因として挙げられます。
更衣室の奥の方などの目につきにくい場所にあると、移動するのが億劫になったり、打刻自体を忘れてしまったりする可能性があります。
打刻忘れを防ぐためには、タイムカードをわかりやすい場所に設置することが大切です。たとえば、入口付近に設置すれば、入退室時にタイムカードを押せるため、効果的に打刻忘れを予防できます。
打刻に手間がかかる
打刻に手間がかかると、従業員が面倒がって後回しにし、結果忘れてしまうという事態を招く可能性があります。
タイムカードの取り出しやプロセスに手間がかかる場合は、工程を簡略化するのが有効です。タイムカードを機械に差し込むだけ・パソコン画面に自身のパスワードを打ち込むだけなど、手軽に打刻ができる仕組みづくりを整えることが大切です。
直行直帰になることが多い
直行直帰になることが多い仕事では、従業員の打刻忘れが起こりやすくなります。周囲に打刻を指摘する人がいないほか、営業職の場合は急な対応に追われて忘れてしまう、というケースも珍しくありません。
直行直帰やテレワークで働く従業員がいる場合は、スマホやノートパソコンから簡単に出退勤を申請できるシステムを導入するのがおすすめです。
システムによっては、チャットツールなどを経由して簡単に打刻できたり、打刻忘れをアラートで通知してくれたりします。
打刻忘れによる影響や損失
打刻忘れは、勤怠管理や給与計算に大きな影響を与えます。ここでは、打刻忘れによる影響や損失について解説します。
正確な給与計算ができない
打刻忘れがあると、従業員の勤怠時間を把握できず、正確な給与計算ができません。従業員自身が勤務時間を覚えていれば確認できますが、忘れてしまっている場合は確認作業に手間がかかります。
また、従業員が多く働いている企業では、打刻を忘れている人に個別で連絡を取るのも、非常に手間と時間がかかる作業です。確認に時間を費やし、本来の業務である給与計算が滞ってしまうリスクもあります。
労働時間が把握できず、従業員の健康状態が悪化する可能性がある
打刻忘れが常態化すると、労働時間を把握できずに従業員の健康状態の悪化を招く恐れがあります。
たとえば、毎日残業をしている場合、打刻をしていれば人事担当者が長時間労働の削減や休息の確保などの調整を行えるでしょう。しかし、打刻を忘れていると従業員の勤務実態を把握できず、疲労による病気やケガが生じてしまう可能性があります。
2019年4月以降、企業はすべての従業員の労働時間を把握する義務が課されています。法的な観点からも、従業員の労働時間の把握をしなければいけません。
残業代の未払いが発生しやすい
残業代の未払いが発生しやすい点も、打刻忘れによる影響や損失として挙げられます。
労働基準法では、規定労働時間を超えて勤務した場合には残業代を支払うことが定められていますが、残業時間を把握できなければ、正確な金額を計算できません。
その結果、残業代の未払いが生じやすく、信頼関係に影響を及ぼします。また、従業員が裁判を起こした場合には、打刻忘れが多い勤怠表では証拠が不十分となる可能性が高いです。
打刻忘れをした従業員や全体への対応
ここでは、打刻忘れをした従業員や全体への適切な対応について解説します。それぞれ詳しくみていきましょう。
打刻忘れをした理由を本人に確認する
従業員が打刻忘れをした際には、本人から理由を確認することが大切です。
理由を確認することで「タイムカードの設置場所が見えづらく、つい忘れてしまう」「打刻の工程が面倒で後回しにしてしまう」など、原因を把握できるでしょう。
打刻忘れの原因を把握できれば、改善策を講じられます。また、ルールの重要性を理解していないことによる打刻忘れの可能性もあります。改めて打刻ルールの重要性を伝えて理解が深まれば、従業員の意識も変わっていくはずです。
打刻忘れが続く場合は、減給などのペナルティを与える
特定の従業員の打刻忘れが続く場合は、減給などのペナルティを与えるのも一つの手です。
ただし、以下のように労働基準法で減給の上限が定められているため、注意しましょう。
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
出典:e-Gov法令検索「労働基準法第九十一条」
ペナルティを設ける場合は、従業員が理解しやすいように、客観的かつ明確な基準を示すことが大切です。打刻忘れの回数に応じて段階的にペナルティを課すなどすれば、打刻の重要性に対する認識が進むはずです。
始末書の提出を促す
打刻を忘れた従業員に始末書の提出を促すのもよいでしょう。始末書を書くことで、従業員に反省の機会を与えられます。
ただし、始末書は無理やり書かせることはできません。始末書が必要な理由をきちんと説明したうえで、あくまでも従業員が主体となって始末書を書いてもらうことが重要です。
改善の意欲を従業員にもたせることが目的なので、説明やコミュニケーションを意識して、始末書の提出を促しましょう。
再発防止策を策定しルール周知をする
打刻忘れの課題を解消するためには、再発防止策の査定とルール周知も必要です。打刻忘れの原因が現状の打刻方法にあるなら、どのようにすれば毎回打刻をしてもらえるのかを改めて検討します。
また、打刻方法を改善した場合には、従業員への説明会を開いたり、マニュアルを開示したりなどして、ルールの周知徹底を行いましょう。
打刻し忘れた従業員を減給処分にする際の注意点
ここでは、打刻をし忘れた従業員を減給処分にする際の注意点を4つ紹介します。不要なトラブルを防ぐためにも、しっかりと押さえておきましょう。
原則労働時間分の給与を支払う
労働基準法24条では「賃金全額払いの原則」が定められており、企業は従業員に対して、原則労働時間分の給与を支払う義務があります。
そのため、打刻を忘れたからといって、当日を欠勤扱いにし、給与を支払わないという対応をとるのは違法です。
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。
出典:e-Gov法令検索「労働基準法第二十四条」
タイムカードは、あくまでも打刻をするためのツールの一つです。1回の打刻忘れで減給処分を下すと、法律違反に該当する可能性があるため、慎重に対応しなければいけません。
減給する場合は、就業規則にペナルティ内容を盛り込む
再三の注意や指導を行ったにもかかわらず、打刻忘れが散見される場合は、減給処分を科すことができます。ただし、事前に就業規則へペナルティ内容を盛り込んでおく必要があります。
「打刻忘れ3回目で始末書の提出」「5回目以降は1回につき〇〇円の減給処分とする」など、処分内容を明記しておくことが重要です。就業規則にない罰則を科すことはできないので、ルール査定後に必ず明記しておきましょう。
労働基準法を遵守する
従業員を減給処分にする場合は、必ず労働基準法を遵守しなければいけません。
労働基準法91条では、減給処分を科す場合の上限として「平均賃金の1日の半分を超えてはいけない」「月の賃金総額の10分の1を超えてはいけない」と定められています。
平均賃金とは、原則として事由の発生した日から遡って3カ月間に、特定の従業員に支払われた賃金の総額を、その期間の暦日数で割った金額を指します。
労働基準法12条によって定められた算出方法なので、減給処分を科す際の参考にしてください。
参照:e-Gov法令検索「労働基準法第十二条」
ペナルティが重すぎないよう検討する
ペナルティが重すぎると、不当な懲戒処分とみなされる恐れがあります。打刻忘れは重大な違反ではないと判断される場合が多いため、まずは注意指導や始末書の提出など、軽い措置から行うのが適切です。
減給処分を行う場合も、労働基準法に定められた減給額の上限(1回の額は平均賃金の1日分の半額、かつ総額で1賃金支払期の10分の1まで)を必ず守らなければいけません。
処分の理由や経緯も明確に伝えることが大切です。
打刻忘れを防ぐ方法
ここでは、打刻忘れを防ぐ方法を紹介します。
打刻機を退勤する際に通る場所へ移動する
打刻忘れの原因がタイムカードの打刻機の設置場所にある場合は、従業員が必ず通る場所に移動させるのが効果的です。たとえば、出入口や更衣室の前など、退勤動線上に置くことで、自然に打刻を促せます。
従業員が毎日目にする場所にあるだけで、打刻の習慣化が進み、打刻忘れ防止につながります。見直す際は、動線や混雑のしやすさも考慮し、できるだけ目立つ場所に置きましょう。
打刻忘れに気付けるよう張り紙を掲示する
打刻忘れを防ぐためには、打刻機付近や休憩室、出口付近に「打刻を忘れずに」といった張り紙を掲示するのも有効です。視覚的な注意喚起を繰り返すことで意識が高まり、打刻忘れの防止が期待できます。
張り紙は、デザインや色を目立たせるとより効果的です。定期的に掲示内容を変えることで、見慣れてしまって意識が薄れるというリスクを防げます。複数箇所に掲示すると、さらに効果が高まるでしょう。
責任者が打刻確認をする
打刻忘れを予防する方法として、シフトや勤怠管理を担当する責任者が、毎日打刻状況を確認する仕組みを取り入れるのも有効です。本人と責任者のダブルチェックを行うことで、効果的に打刻忘れを防止できます。
また、打刻忘れが多い従業員に対して「タイムカード押しましたか?」といった声かけをするのもおすすめです。確認体制を明確化しておくことで、打刻忘れが常習化するのも防げるでしょう。
打刻しやすいシステムに変更する
打刻忘れの課題を根本的に解消したい場合は、打刻しやすいシステムに変更するのがおすすめです。出退勤時に簡単に打刻できれば、忘れるリスクを大幅に削減できます。
打刻システムの中には、スマホで操作できたり、アラート機能で打刻忘れを通知してくれたりするのもあります。従業員の負担を減らすことで、打刻ミスの防止を実現できるでしょう。
導入時には使いやすさやサポート体制も確認したうえで、適切に運用することが大切です。
バクラク勤怠ならアラート機能で打刻忘れをゼロに
打刻忘れが常習化すると、正確な給与計算や勤怠管理ができないため、早急に改善策を講じる必要があります。タイムカードの設置場所や打刻方法、チェック体制などを見直すことで、改善が期待できるでしょう。
なかでも、スマホやパソコンから打刻できる勤怠管理システムを導入するのがおすすめです。アラート機能がついているシステムもあり、打刻忘れを効果的に防止できます。
「バクラク勤怠」なら、アラート機能で打刻忘れゼロを実現できます。勤怠システムにログイン不要で、かつSlackで打刻が可能です。従業員の手間を削減することで、打刻の習慣化を促すことができます。
管理者だけでなく、従業員自身も出勤簿を確認できるため、不備を見つけやすく、修正申請も容易です。出退勤の漏れがあった際、従業員が申請を行うとリアルタイムで残業時間の見込み計算に反映されるという機能も備わっています。
打刻忘れによる課題を抱えている場合は、ぜひ「バクラク勤怠」の導入をご検討ください。
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