
雇用保険被保険者資格取得届とは?書き方や提出方法まで詳しく解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-09-30
- この記事の3つのポイント
- 雇用保険被保険者資格取得届は、事業主が提出する雇用保険加入のための届出書類である
- 雇用保険被保険者資格取得届は従業員を雇用保険に加入させるための書類なので、正確な記入が必要
- 雇用保険被保険者資格取得届の提出方法はハローワークの窓口や郵送、オンライン申請の3つである
従業員を新たに雇用した場合、事業主は雇用保険の加入手続きを行わなければいけません。中でも最初に必要となるのが「雇用保険被保険者資格取得届」です。
本記事では提出対象となる従業員の条件や記入方法、提出時の注意点まで、わかりやすく解説します。
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雇用保険被保険者資格取得届とは?書き方や提出方法まで詳しく解説
雇用保険被保険者資格取得届とは
雇用保険被保険者資格取得届とは、従業員を雇った際に事業主が提出する、雇用保険加入のための届出書類です。事業所の規模や業種に関係なく、一定の条件を満たす従業員を雇い入れた場合に必要です。
失業給付や自主的な教育訓練、休業など、従業員が雇用保険の給付金を正しく受けられるよう、事業主は必ず雇用の翌月10日までに、管轄のハローワークへ提出しましょう。
労働保険料の勘定科目の仕訳例などは以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
勤怠改ざんは違法行為
勤怠改ざんとは、実際の労働時間を意図的に異なる時間で記録・修正する違法行為です。
労働基準法によって、企業は従業員の労働時間を正しく記録し、適正な賃金を支払うことが定められています。企業側が勤怠改ざんを行った場合は罰則が科せられます。
また、従業員による不正は、懲戒処分の対象となるため注意が必要です。
雇用保険の対象者
雇用保険の対象となるのは雇用形態にかかわらず、以下の2つの条件を満たす従業員です。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
条件のうち、どちらか一方でも満たさない場合は対象外です。また副業をしている場合、主たる給与を支払う事業所でのみ加入します。
雇用保険の対象外の従業員は、以下のとおりです。
- 学生アルバイト(昼間学生)
- 週の労働時間が20時間未満の従業員
- 雇用期間が31日未満と明確な従業員
- 短期の季節労働者や日雇い労働者の一部
- 公務員や船員保険の被保険者
従業員が対象かどうかの判断は、就業実態や契約内容を踏まえて慎重に行いましょう。
.雇用保険被保険者資格取得届の記入方法
雇用保険被保険者資格取得届は、従業員を雇用保険に加入させるための重要な書類であるため、各項目を正確に記入することが必要です。記入ミスや漏れがあると、手続きが受理されなかったり、従業員が保険給付を受けられなかったりする恐れもあります。
ここからは、雇用保険被保険者資格取得届の記入方法を、順番に見ていきましょう。
出典:厚生労働省「雇用保険被保険者資格取得届の記入例」
1. 個人番号
被保険者のマイナンバー(12桁の個人番号)を正確に記入します。マイナンバーカードがない場合は、マイナンバー記載の住民票写し等で確認しましょう。
記入の際は利用目的を明示し、本人確認・番号確認の手続きを確実に行うことが必要です。
2. 被保険者番号
被保険者番号は、過去に雇用保険に加入した人が持つ個人固有の番号です。従業員が初めて加入する場合は空欄にしますが、以前の雇用で雇用保険に加入していた場合は、雇用保険被保険者証に記載された番号を確認して記入します。
被保険者証を紛失して番号が不明な場合は空欄とし、備考欄に前職情報を記載しましょう。
3. 取得区分
取得区分は、被保険者となるのが初めてであれば「1(新規)」、過去に雇用保険に加入していた人が再び加入する場合は「2(再取得)」と記入します。
ただし、過去の加入から7年以上経過している場合は「1(新規)」を選んでください。
4. 被保険者氏名
氏名は被保険者証がある場合、記載どおりに記入します。フリガナ欄はカタカナで記入し、姓と名の間は1マス空けて入力しましょう。
濁点・半濁点も1文字としてカウントする点には、注意が必要です。
5. 変更後の氏名
変更後の氏名は、被保険者証の氏名と現在の氏名が異なる場合に記入します。結婚や改姓などで、氏名が変わった場合が該当します。
変更がない場合は空欄としますが、氏名変更のみの届出には別途手続きが必要です。
6. 性別
戸籍上の性別を基に、男性は「1」、女性は「2」と記入します。性自認ではなく、法的に登録されている性別を記載する点には、注意しましょう。
7. 生年月日
生年月日は和暦(元号)で記載します。元号の番号を選び、その後に年月日を2桁ずつ記入しましょう。
たとえば、令和7年4月1日生まれの場合「5−070401」です。
8. 事業所番号
事業所番号の欄は、ハローワークから付与された自社の11桁の事業所番号を、0も省略せずすべて記入しましょう。
届出を提出する事業所の番号と一致していることを確認し、提出してください。
9. 被保険者となったことの原因
雇用の契機に応じて、該当する番号を選んで記入しましょう。たとえば新卒者を雇用した場合は「1 新規学卒」、転職者は「2 新規雇用(その他)」です。
該当しない特殊なケースは「4 その他」として、備考欄に補足を記載します。
10. 賃金
賃金の欄は月給・日給などの支払形態を番号で記入し、賃金月額を千円単位で記入します。たとえば、200,000円の場合「200」と記入してください。
このとき通勤手当は含めますが、ボーナスなどの臨時手当は含めません。日給や時給の場合は、月額に換算して記載しましょう。
11. 資格取得年月日
資格取得年月日の欄には、入社日=最初に働いた日を記入します。試用期間や研修期間であっても、実際に就労を開始した日が該当します。
記載は和暦で行い「5−070401」のように入力してください。
12. 雇用形態
雇用形態の欄は、該当する雇用形態を番号で記入します。たとえば正社員は「7 その他」、派遣社員は「2」、パートタイム(週30時間未満)は「3」、有期契約社員は「4」です。
雇用契約書や勤務実態をもとに、適切な番号を選びましょう。
13. 職種
職種の欄は厚生労働省の11分類に基づき、該当する職種番号を記入します。たとえば事務職は「3」、営業職は「4」、製造業なら「8」などです。
分類は被保険者の主たる業務内容に基づいて判断し「職種コード表」を参照の上、選択しましょう。
14. 就職経路
就職経路の欄は、就職に至った経路に応じて、以下のように番号で記入します。
- 1 安定所紹介(ハローワーク)
- 2 自己就職(直接応募)
- 3 民間紹介(求人サイト等)
- 4 把握していない
就職経路がわからない場合、事前に確認しておくとスムーズです。
15. 1週間の所定労働時間
1週間の所定労働時間の欄には、就業規則や雇用契約書に定められた、週あたりの労働時間を記入します。残業や休日出勤などの実労働時間は含めず、通常勤務分のみ記載しましょう。
記入の際は契約内容と矛盾がないよう、事前に確認しておくことも重要です。
16. 契約期間の定め
雇用契約に期間の定めがある場合は「1 有」、ない場合は「2 無」に◯を付けます。「1」とした場合は、契約期間および更新条項の有無についても記載してください。
契約期間の定めは雇用契約書と一致していなければならないため、必ず確認しましょう。
雇用保険被保険者資格取得届のダウンロード方法
雇用保険被保険者資格取得届は、ハローワークインターネットサービスから無料でダウンロードできます。様式が更新されることがあるため、印刷して使用する場合は、必ず最新版であることを確認してください。
また電子申請を利用すれば、書類の印刷や持参は不要で、オンライン上で作成から提出まで完了できます。業務効率化のためにも、用途に応じて適切な方法を選びましょう。
参考:ハローワーク インターネットサービス「雇用保険被保険者資格取得届」
雇用保険被保険者資格取得届をダウンロードする際の注意点
機械読み取りに対応するため、雇用保険被保険者資格取得届をダウンロードして印刷する際は、正しく読み取られるように以下の注意点を知っておきましょう。
- A4サイズの白色用紙を使用する
- 等倍(100%)で印刷する
- 3点の■(読み取り基準マーク)を確実に印刷する
- 傾き・ズレ・2重印刷・かすれのない状態にする
たとえば印刷が少しでも傾いていたり、読み取りマークが印刷されていなかったりする場合は、届出が受理されない可能性もあります。
また通常は添付書類は不要ですが、初めての届出や期限を過ぎた場合などは、例外として書類の提出を求められることもあります。事前確認を忘れずに行いましょう。
雇用保険被保険者資格取得届の提出方法
雇用保険被保険者資格取得届は、提出方法によって手続きの手間や所要時間が異なります。主な提出方法は、ハローワークの窓口や郵送、オンライン申請の3つです。
それぞれに特徴があるため、業務環境や緊急度に応じて適切な方法を選びましょう。
ハローワークの窓口
所轄のハローワークに直接持参して提出できます。記入内容や手続きに不明点があれば、その場で相談できるのがメリットです。
届出が受理されると「雇用保険被保険者証」や「確認通知書」などが交付されます。ただし窓口は混雑する場合も多く、受付時間が限られているため、事前に営業日や受付時間を確認しておきましょう。
郵送
雇用保険被保険者資格取得届は、所轄のハローワークへ郵送することもできます。
ただしマイナンバーなどの個人情報が含まれているため、簡易書留や特定記録郵便など、記録が残る方法で送付することが必要です。返送用の封筒(切手貼付済)も同封し、必要な添付書類がある場合は、忘れずに同封してください。
郵送は時間がかかるため、余裕をもったスケジュールで対応しましょう。
オンライン申請
厚生労働省が推奨する効率的な提出方法は「オンライン申請」です。オンライン申請は電子政府の総合窓口「e-Gov(イーガヴ)」から24時間いつでも手続きが可能で、印刷や郵送が不要なため、手間とコストを大幅に削減できます。
申請後は審査終了時に届く通知メールから「雇用保険被保険者証」や「資格取得等確認通知書」をダウンロードできます。書類は被保険者と事業主に分けて、適切に管理しましょう。
初めて利用する場合は、e-GovアカウントやGビズIDの取得、電子申請アプリのインストールなどの事前準備が必要です。また事業主として初めて申請する場合は、賃金台帳や出勤簿などの添付が必要となる場合もあります。
オンライン申請は非常に便利な方法なので、定期的に申請業務がある企業には特におすすめです。
提出時に添付書類が必要なケース
雇用保険被保険者資格取得届の提出には、通常は添付書類は必要ありません。しかし特定の状況に該当する場合には、審査を円滑に進めるため、補足資料の提出が求められることがあります。
添付書類が必要な主なケースは、以下のとおりです。
- 初めて事業主として届出を行う場合:労働者名簿、賃金台帳、雇用契約書など
- 提出期限を過ぎた場合(翌月10日以降):遅延理由書や出勤簿など
- 届出内容に不整合や矛盾がある場合:雇用日や賃金額を確認できる書類
- 労働保険料の未納がある場合:状況を説明する資料など
必要な添付書類については事前に所轄のハローワークへ相談し、確認しておくと安心です。スムーズな受理のために、あらかじめ準備し進めましょう。
雇用保険被保険者資格取得届を作成する際の注意点
雇用保険被保険者資格取得届は機械で読み取られる書類のため、細部まで正確に記入することが求められます。記入ミスや提出方法の誤りは、従業員の保険加入に影響を及ぼす可能性もあるため、注意が必要です。
ここからは、作成時に気をつけるべきポイントを解説します。
正確かつ丁寧に記載する
届出書類はOCR(機械読み取り)で処理されるため、文字が枠からはみ出さないよう丁寧に記入しましょう。被保険者番号や資格取得年月日、所定労働時間など、記入ミスが多い項目は、特に注意が必要です。
資格取得日に気をつける
資格取得日は雇用契約上の就労開始日であり、実際の出社日とは異なる場合があります。たとえば10月1日付で雇用契約を結び、同日が所定休日だったとしても、資格取得日は10月1日と記載しなければなりません。
また試用期間がある場合、使用期間初日が資格取得日です。本採用日ではないため注意しましょう。
さらに契約変更で所定労働時間が20時間以上になった場合、変更日が資格取得日です。日付を間違えると保険給付や適用に影響する恐れがあるため、契約書や勤務開始日をよく確認して記載しましょう。
個人番号が必要なため従業員に提出してもらう
雇用保険被保険者資格取得届には、マイナンバー(個人番号)の記載が必要です。従業員から取得する際は、利用目的を明確に伝えた上で、本人確認と番号確認を行いましょう。
なおマイナンバーカードがない場合は、住民票の写しなどで確認ができます。従業員が番号の提出を拒否した際は所轄のハローワークに相談し、届出書の備考欄に「本人事由によりマイナンバー届出不可」と記載します。
情報の取り扱いには細心の注意を払い、適切に管理・保管することが重要です。
発行されたら雇用保険被保険者証を本人に渡す
届出が受理されると、雇用保険被保険者証が発行されます。雇用保険被保険者証は、従業員が雇用保険に加入していることを証明する重要な書類です。
企業側で長期保管せず、速やかに本人へ渡してください。
郵送時は特定記録や簡易書留で送る
届出書にはマイナンバーなどの個人情報が含まれるため、郵送する際は一般郵便ではなく、特定記録や簡易書留で送付することも、注意点として意識しておきましょう。
またハローワークからの返信書類があるため、切手を貼付した返信用封筒も同封が必要です。
封筒のサイズは、書類を折り曲げずに送れる大きめのものを用意すると安心です。返送方法について希望がある場合は、返信用封筒に「特定記録希望」「レターパック希望」など明記しておきましょう。
郵送の際に不明な点があれば、事前に管轄のハローワークへ確認しておくと安心です。
特定記録郵便の簡易書留の出し方については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:簡易書留の出し方を解説!一般書留・現金書留との違いや発送時の注意点も紹介
提出期限に遅れた場合は速やかに提出する
提出期限に遅れた場合、速やかな提出を心掛けましょう。雇用保険被保険者資格取得届の提出期限は、雇用した月の翌月10日までです。
万一期限を過ぎてしまった場合はできるだけ早く提出し、必要に応じて遅延理由書を添付してください。
遅れが2年以上に及ぶと出勤簿や賃金台帳など、過去の雇用実態を示す書類の提出が求められるほか、雇用保険料の控除記録などの証明も必要です。
提出の遅延は従業員の保険利用に支障をきたす恐れがあるため、早期対応を徹底し、できる限り期限内に手続きを完了させるよう心がけましょう。
交付後に誤りがあったときの対処方法
雇用保険被保険者証の交付後に、氏名や生年月日、資格取得日などの誤りに気付くことは珍しくありません。誤りに気付いた時点で訂正手続きを行うことが必要です。
具体的には「雇用保険被保険者資格取得(喪失)等届訂正(取消)願」に、誤った情報と正しい情報を記入し、所轄のハローワークへ提出しましょう。
提出の際に運転免許証や住民票、賃金台帳、出勤簿など、訂正内容を確認できる書類の添付が必要です。
誤った情報での処理を避けるため、提出前にハローワークへ事情を説明し、必要書類を確認するとよいでしょう。
前職での資格喪失手続きが実施されていないときの対処方法
雇用保険の加入手続きを進める際、前職での資格喪失手続きが未完了だと、新たな資格取得ができず、本人に前職へ連絡してもらう必要があります。
たとえば従業員が前の勤務先で雇用保険資格喪失届を提出していなかった場合、ハローワークからその旨の連絡が入り、処理がストップしてしまいます。その際は従業員本人から前職へ連絡を入れ、資格喪失手続きを行ってもらうよう依頼しましょう。
前職での手続きが完了すれば、保留となっていた雇用保険の加入処理も正式に進められます。スムーズな処理のため、本人への早めの案内が大切です。
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雇用保険被保険者資格取得届は、従業員の保険加入に欠かせない重要な手続きです。記入ミスや提出遅れ、前職の処理漏れなどを防ぐためには、日々の勤怠情報を正確に管理しておくことが重要といえます。
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