
テレワークの勤怠管理方法とは?課題や効率化のポイントを解説
- 記事公開日:
- 最終更新日:2025-09-29
- この記事の3つのポイント
- テレワークで労働状況の把握や人事評価、コミュニケーションに難しさを感じる企業は少なくない
- テレワークの勤怠管理には、社内環境やルールの整備、業務効率化を図れるツールの活用が効果的
- 勤怠管理システムはコストや操作性などを確認し、自社の勤務形態や従業員数に合ったものを選ぶ
働き方改革の一環としてテレワークを導入する企業が増加傾向にありますが、オフィス出社を前提とした打刻方法の場合、勤怠管理に難しさや課題を感じることもあるでしょう。
本記事では、テレワークにおける勤怠管理の課題や効率化のポイント、勤怠管理システムを選ぶコツについて解説します。テレワークの勤怠管理方法にお悩みの方は、今後の実務にお役立てください。
インボイス制度の概要を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:インボイス制度とは?意味や概要、対象となる事業者への影響を図解でわかりやすく解説
テレワークの勤怠管理方法とは?課題や効率化のポイントを解説
テレワークの勤怠管理の難しさや課題
近年、テレワークを導入する企業が増加傾向にありますが、勤怠管理の難しさに悩む企業は少なくありません。具体的にどのような課題を抱えているか、企業を対象とした実態調査の結果を基に見ていきましょう。
労働状況の把握がしにくい
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が実施した実態調査では、テレワークで感じた課題について「労働時間の申告が適正かどうかの判断が難しい」と回答した企業が34.2%でした。
企業は従業員の勤怠状況を管理する義務がありますが、テレワークの場合は実態の把握が困難です。スマートフォンやパソコンで打刻が可能なシステムもあるものの、打刻後に無許可で残業や中抜けをしている可能性を否定できません。
タイムカードやICカードなど、オフィス出社を前提とした打刻方法を導入している企業は、テレワークに対応できる労働時間の管理方法から検討する必要があるでしょう。
参考:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「令和2年度テレワークの労務管理等に関する実態調査【概要版】」
従業員の評価が曖昧になりやすい
同調査では、テレワークで感じた課題について、28.5%の企業が「評価が難しい」と回答しています。
成果報酬型の職種であれば問題なく評価できるケースもありますが、従業員の勤務態度や意欲を評価軸の一つとする企業の場合、テレワークでは評価が難しくなります。
従業員としても、勤務中の様子をチェックされないまま評価を受けることに不安を抱くケースもあるでしょう。企業は人事評価の基準を明らかにした上で、必要に応じてオフィス出社の機会を設けつつ、従業員を適切に評価することが重要です。
参考:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「令和2年度テレワークの労務管理等に関する実態調査【概要版】」
コミュニケーションが取りづらい
同調査のテレワークで感じた課題について「従業員同士の間でコミュニケーションが取りづらい」と回答した企業は、調査対象の半数に近い48.4%でした。
オフィス出社であれば、同じ空間で自然と挨拶や会話が生まれますが、テレワークの場合は従業員同士が物理的に離れており、直接コミュニケーションを取る機会がありません。
Webミーティングなどで顔を合わせる機会があっても、画面を介したやり取りと対面では、意思疎通のしやすさに違いが生じる場合もあるでしょう。
社内のコミュニケーション不足が深刻化すると、人間関係の悪化や生産性・業務品質の低下につながりかねません。コミュニケーションが取りやすい環境を、早急に整備する必要があります。
参考:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「令和2年度テレワークの労務管理等に関する実態調査【概要版】」
テレワークでの勤怠管理方法
テレワークでの勤怠管理方法は、主に3種類です。本章では、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて詳しく解説します。
メール・チャットなどで報告する
まず挙げられるのが、出退勤や休憩の際に、従業員がメールやチャットのツールを用いて上長に報告する方法です。スマートフォンやパソコンから手軽に報告できる一方、電波障害が起きた際に正確な記録を残せなくなるリスクがあります。
毎日勤怠連絡を受けなければならない上長や、後日残業時間の計算および給与計算システムへの入力を行う担当者の負担が大きい点もデメリットの一つです。
ただし、導入コストはかからないため、試験的または急なテレワークの導入に適した管理方法といえるでしょう。
Excelやスプレッドシートで自己申告する
Excelやスプレッドシートで作成した出勤簿のファイルを従業員に共有し、出退勤時刻を入力してもらう方法です。コストや手間をかけずに導入可能なほか、対象ファイルの閲覧のみで従業員の勤怠状況を把握できるメリットがあります。
しかし、監視の目がない状況下で従業員が自己申告を行うため、不正のリスクを否定できません。故意でなくても、入力漏れや他者のデータへの上書きなど、思わぬ事態が発生する可能性もあるため注意が必要です。
勤怠管理システムを利用する
勤怠管理システムを利用すると、スマートフォンやパソコンで手軽に時刻を記録できます。打刻の操作をした時間がそのままデータとして反映されるため、入力ミスや不正の心配もありません。
機能性や操作性はシステムごとに異なり、打刻漏れを知らせるアラート機能や、給与計算ソフトとの連携機能が搭載されたものもあります。
ただし、勤怠管理システムは導入や運用にコストがかかります。費用対効果を見極めて、導入の必要性を慎重に検討することが重要です。
以下の記事では、タイムカードの代わりになるものや、打刻の意味・必要性について解説しています。打刻漏れにお悩みで新たな勤怠管理方法の導入を検討中の方は、以下の記事を併せてご覧ください。
労働時間を把握するために事業者がするべき措置とは
厚生労働省が示すガイドラインでは、テレワークにおける労働時間の適正な把握のために、事業者は以下2点の措置を講ずるべきとしています。
- 原則、客観的な記録による把握が必要
- やむを得ない場合は労働者の自己申告でも問題ない
それぞれが指す勤怠管理方法・措置を以下で詳しく解説します。
参考:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」
原則、客観的な記録による把握が必要
客観的な記録とは、タイムカードやICカード、パソコンの使用時間などを情報の基礎として、出退勤時刻を確認する方法です。
テレワークでは、業務に使用する情報通信機器の使用記録、社外オフィスの入退場記録の確認、勤怠管理システムの活用などによる客観的な労働時間の把握が求められます。
やむを得ない場合は労働者が自己申告でも問題はない
客観的な記録による労働時間の把握が難しい場合は、従業員の自己申告でも問題ありません。ただし、厚生労働省のガイドラインに基づく以下の措置が必要です。
- 従業員と管理者に、労働時間の実態の記録と適正な自己申告制について説明する
- 時刻の記録と自己申告の内容に著しい乖離がある場合、所要の労働時間を補正する
- 従業員に対して、自己申告制を阻害する措置を講じてはならない
自己申告制を阻害する措置とは、自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設けるなどの行為です。ガイドラインに沿って、適切に勤怠管理を行いましょう。
テレワークの勤怠管理をスムーズに進めるためのポイント
本章では、テレワークの勤怠管理をスムーズに進めるためのポイントを紹介します。社内の環境やルールの整備はもちろん、業務効率化につながるツールの活用も積極的に検討しましょう。
コミュニケーションを取りやすい環境を整える
テレワークの勤怠管理でまず重要なのが、コミュニケーションを取りやすい環境を整えることです。テレワークでは従業員間に物理的な距離が生じるため、意識的にコミュニケーションを取らなければ、関係は希薄化する一方です。
生産性や業務品質の低下といった企業全体のリスクだけでなく、従業員個人でも、コミュニケーションの減少が自己肯定感の低下などを招きかねないため注意しましょう。
具体的な対策として、定期的なWebミーティングの実施が挙げられます。メールやチャットツールで従業員と積極的にコミュニケーションを取り、勤務状況やモチベーションを確認するのも効果的です。
部署やチーム、あるいは企業への帰属感を高められるように工夫を凝らしつつ、気軽にやり取りができる環境を整えましょう。
勤怠管理のルールを取り決め全体に周知する
テレワークにおける勤怠管理のルールを事前に取り決め、社内に周知することも重要です。打刻の方法や手順だけでなく、勤怠管理システムの利用方法や、イレギュラーが生じた場合の対応もルール化しておくと安心です。
取り決めた内容は、就業規則に記載またはテレワーク規定を新たに作成して、従業員がいつでも閲覧できる状態にする必要があります。
「中抜けする場合は必ず上長に報告」「休憩の時間変更は認めない」など、企業独自のルールがある場合は漏れなく記載しましょう。文書化しておくことで、イレギュラーが発生した際のトラブルを避けやすくなります。
サービス残業を防ぐ体制づくりをする
テレワークは管理者が勤怠状況を目視で確認できないため、勤怠記録と実態に乖離が生じるリスクが高まります。
サービス残業を防ぐには、残業時間の上限に近付くとアラートで知らせる機能や、パソコンのオン・オフの時間を記録できる機能が備わったシステムの導入が効果的です。口頭や書面で注意を促すだけでなく、根本的な仕組みづくりに努めましょう。
残業時間の目安について理解を深めたい方は、以下の記事をご参照ください。
関連記事:平均残業時間はどのくらい?ホワイトな残業時間の目安や対策について解説
プロジェクト管理ツールや勤怠管理ツールを活用する
プロジェクト管理ツールや、勤怠管理ツールを活用するのも一つの方法です。プロジェクト管理ツールを使用すると、業務の進捗状況を部署やチーム単位で一元管理できます。
従業員がお互いの状況を把握できることで、モチベーションの向上につながるケースもあるでしょう。
勤怠管理ツールには、スマートフォンアプリやブラウザ版など、さまざまなタイプのものがあります。勤務実態の可視化は困難ですが、出退勤や休憩の時刻を記録できるため、Excelの出勤簿やタイムカードの代わりとして役立つでしょう。
テレワークの勤怠管理はシステム導入がおすすめ
テレワークの勤怠管理には、専用システムの導入がおすすめです。本章では、勤怠管理システムがテレワークに向いている理由4点を詳しく解説します。
会社にいなくても打刻が可能
勤怠管理システムの強みは、会社にいなくても打刻が可能な点です。直行直帰の際、打刻のみを目的としてオフィスに足を運ぶ必要がありません。
インターネットを利用できる環境があれば、スマートフォンやパソコンで手軽に時刻を記録できます。新たな端末を導入する必要がないため、機器の操作に不慣れな人も比較的容易に利用可能です。
勤怠情報がいつでも確認できる
システム上で出退勤や休憩の打刻をすると、リアルタイムに記録が反映されるため、管理者は常に最新の情報を確認できます。
週単位の情報把握も可能で、前週の実態や今週の見込み時間を踏まえて、部下に残業の指示を出すといった正確な管理ができるでしょう。
アラート機能があり打刻忘れや過重労働を防げる
打刻忘れや残業時間の見込み超過などを感知した場合に、アラートで知らせる機能が搭載されたシステムもあります。管理者だけでなく従業員にも通知が届くため、自主性の向上が期待できます。
有給休暇の取得状況に関するアラート機能が備わったシステムもあり、法令遵守の観点からも、勤怠管理システムの導入は有効といえるでしょう。
労働時間や残業時間を自動で計算できる
勤怠管理システムは単に時刻を記録するだけでなく、労働時間や残業時間を自動で計算できます。
タイムカードの集計や給与計算ソフトへの入力は不要のため、計算や入力間違いが発生する心配はありません。担当者の業務効率化も実現でき、負担軽減が期待できます。
勤怠管理システムを選ぶ際のポイント
勤怠管理システムにはさまざまな種類やタイプがあるため、どのようなシステムを導入すべきか悩む方もいるでしょう。
最後に、勤怠管理システムを選ぶ際のポイントを紹介します。着目すべき点を理解して、自社に合ったシステムを選定しましょう。
自社の勤務形態や従業員数に対応しているか
導入したいシステムがある場合は、自社の勤務形態や従業員数に対応しているかを確認しましょう。たとえば、全従業員が同じ時間帯に働く企業や従業員数が少ない企業であれば、機能性がシンプルなものでも問題なく利用できます。
しかし、フレックスタイム制や変形労働時間制を導入している場合、自社の勤務形態に対応したシステムを選ぶ必要があります。複数の拠点があり、従業員数が多い企業の場合は、管理画面の見やすさや操作性にも焦点を当てて検討するとよいでしょう。
コストが適正か
勤怠管理システムの多くには、導入コストだけでなく月額利用料などの運用コストも発生します。利便性の高いシステムを導入しても、予算オーバーで利用継続を断念する事態に陥るのは望ましくありません。
システム導入による人件費の削減効果などを検証した上で、予算に合ったシステムを選びましょう。
サポート体制が充実しているか
サポート体制の充実度合いも、事前に確認すべきポイントの一つです。運用開始後にトラブルや不明点が生じた際に、サポートを受けられる曜日・時間帯、対応可能範囲・方法などを調べておくと安心です。
導入前のサポートが整ったシステムであれば、初期設定や操作方法に困った際も手厚いフォローを受けられます。担当者が電子機器やシステムの取り扱いに不慣れな場合は、事前に確認することをおすすめします。
操作性とカスタマイズ性が十分か
操作が難しいシステムを導入すると、従業員の不満やストレスの原因になりかねません。システムが提供する無料トライアルなども利用しながら、従業員と管理者の双方がスムーズに使えるものを導入するのが望ましいといえます。
勤怠管理やシステム拡張などのカスタマイズ性も、併せて確認しましょう。
テレワークの勤怠管理はSlackで打刻できる「バクラク勤怠」がおすすめ
近年、テレワークを導入する企業が増加傾向にありますが、労働状況の把握や従業員の評価、従業員間のコミュニケーションに難しさを感じている企業は少なくありません。
テレワークの勤怠管理には、オフィスにいなくても打刻ができ、勤怠情報をいつでも確認できる勤怠管理システムの導入がおすすめです。アラート機能で過重労働を防げるほか、自動計算によって担当者のミスや負担を減らす効果も期待できます。
バクラク勤怠は、チャットツールのSlackやWeb、ICカードなど、多彩な方法で打刻ができる勤怠管理システムです。打刻を忘れた際はアラートが届き、修正打刻までをSlackで完結できます。
時刻の記録は残業時間の見込み計算に即時反映されるため、従業員の勤怠状況をより正確に管理できる点も強みです。バクラク勤怠に興味をおもちの方は、以下のページをご覧ください。詳しい資料を無料でダウンロードいただけます。
クラウド勤怠管理システム
【バクラク勤怠】

バクラク勤怠は柔軟な働き方を推進する企業の勤怠管理をサポートするサービスです。以下よりお好みの方法でぜひ確認してみてください。