打刻の意味・必要性とは?やり方、打刻漏れのリスクを解説

従業員の給与を計算する際、打刻漏れや不正確な打刻が発覚して、対処に悩んだことのある方もいるでしょう。企業の管理者や労務担当者は、従業員の労働時間を正確に把握しなければなりません。

本記事では、打刻を行う必要性や適切な管理ができていない場合のリスク、打刻漏れがあった場合の対処法について解説します。

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打刻の意味・必要性とは?やり方、打刻漏れのリスクを解説

「打刻」の意味とは?

「打刻(だこく)」とは、出退勤時間の正確な把握のために時刻を打ち記すことです。従来はタイムカードによる打刻が一般的でしたが、近年は勤怠管理システムなどを利用する企業も増えています。

打刻は、事務所の出退館履歴やパソコンの使用履歴などと照らし合わせて、業務の証拠として取り扱えるデータを指します。たとえば、タイムカードに手書きで時刻を記入したものは、改ざんが可能なことから打刻とみなされないので注意しましょう。

打刻を行う必要性

打刻には、従業員の正確な労働時間の把握以外にもさまざまな目的があります。打刻が必要な3つの理由について、詳しく見ていきましょう。

正確な労働時間を把握するため

企業には、労働時間の適正な把握と適切な管理が、労働安全衛生法で義務付けられています。法令を遵守するためにも、打刻によって従業員の正確な労働時間を把握しなければなりません。

始業・就業時刻を記録する原則的な方法として、厚生労働省のガイドラインには以下の2点が示されています。

  • 使用者が現認による確認を行い、適正に記録する
  • タイムカード・ICカード・パソコンの使用時間など、客観的な証拠をもとに適正な記録をする

使用者への負担を考慮すると、従業員自身で出退勤時間を記録することが推奨されます。タイムカードや勤怠システムなどによる打刻は、正確な労働時間の把握に欠かせないといえるでしょう。

参考:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

参考:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

給与計算を適切に行うため

打刻が必要なのは、従業員の給与計算を適切に行うためでもあります。従業員の給与計算は労働時間の記録を基に行われるため、時刻の記録がなければ正しい支給額を算出できません。

給与計算には、出退勤の時刻だけでなく、欠勤や遅刻・早退の日数、残業時間も含まれます。打刻漏れなどによる誤った支給額の反映を防ぐためにも、従業員の正しい打刻が求められます。

残業時間を把握するため

打刻は、残業時間の把握にも欠かせません。残業代の計算だけでなく、長時間労働の常態化を防ぐために必要です。

労働基準法では、月45時間・年間360時間を超える長時間労働が禁止されています。残業時間の適正な把握ができずに労働時間が超過すると、労働基準法違反で罰則が科せられる可能性があります。

また、従業員の健康面に支障をきたす恐れもあるため注意が必要です。従業員の生産性やモチベーションの低下を招かないためにも、日々の打刻を徹底しましょう。

参考:e-Gov法令検索「労働基準法第36条

残業時間の概要や計算方法は、以下の記事でも詳しく解説しています。

関連記事:時間外労働とは?定義や法改正された上限規制内容、計算方法を解説

打刻のやり方と管理方法

打刻のやり方はさまざまで、特徴や管理方法もそれぞれ異なります。本章では、代表的な3つのやり方について、特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。

タイムカード

タイムカードは、タイムカードと呼ばれる紙をタイムレコーダーに挿入し、時刻を記録する方法です。打刻の手段として広く普及しており、操作がシンプルかつ導入・運用コストが低いことから、活用している企業も多く見られます。

タイムカードによる打刻の場合、会社は締め日などにまとめてチェックするケースが大半です。打刻漏れやエラーを通知する機能がないことから、打刻漏れやミスに気付きにくいデメリットがあります。

また、タイムカードには、従業員を識別する機能がありません。ほかの従業員による代理の打刻など、不正や改ざんの発生リスクが高いといえるでしょう。そのほか、従業員数が多い企業では、過去のタイムカードの保管方法が課題となる場合もあります。

ICカード

個別の識別情報を含む交通系ICカードや社員証などを、リーダー機器にかざして時刻を記録する方法です。

ICカードのメリットは、シンプルな操作で正確性の高い記録ができることに加えて、ほかの従業員による不正な打刻を防げる点です。時刻の記録はデータ化されるため、リアルタイムでの確認や自動集計ができる管理側のメリットもあります。

ICカードのデメリットは、タイムカードに比べて導入コストが高額になりやすい点です。リーダー機器の購入のほか、ネットワークやインフラの整備も必要です。カードの破損や紛失が起こった場合の対処法も、事前に検討しておく必要があります。

勤怠管理システム

勤怠管理システムによる打刻は、システムそのものや打刻用のパソコン、従業員のスマートフォンなどで記録した時刻をシステム上で管理する方法です。

勤怠情報を一元管理できるシステムが多く、勤怠に関する稟議機能や、従業員の労働時間・有給休暇を個別管理できるものもあります。打刻漏れや長時間労働のアラート機能を搭載したシステムであれば、法令遵守にも効果的です。

勤怠システムには多くのメリットがある一方で、導入コストの高さやシステムトラブルへの対応が必要といった問題があります。

勤怠管理システムのメリットや選び方について理解を深めたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

関連記事:勤怠の意味とは?管理の目的や対象項目、システム活用の利点

打刻を適切に管理できていない場合のリスク

打刻を適切に管理できていないと、未払いの残業代を従業員から後々請求される可能性があります。場合によっては、労働基準法違反で罰則対象となるケースもあるため注意が必要です。

具体的にどのようなリスクがあるか、詳しく見ていきましょう。

未払いの残業代などを後々請求される場合がある

打刻を適切に管理できていない場合、打刻後に残業をしている従業員から、未払いの残業代を後々請求される可能性があります。企業側の指示による場合はもちろんのこと、従業員自らの意思で打刻後に残業をしていた場合も、適切な管理ができていないとみなされます。

特に、従業員数や拠点数が多い企業では、管理が行き届きにくくなるため注意が必要です。

未払いの賃金を請求させるリスクには、以下のような対策を講じて、トラブルを未然に防ぎましょう。

  • 全従業員に対して、法的要件の周知徹底を図る
  • 部署やチームの責任者に、適正な打刻の方法と重要性を周知する
  • 残業をする場合は事前に申請し、承認された残業時間を超えてはならないルールにする

時間外労働や有給休暇取得義務に関して罰則を科せられる場合がある

時間外労働や有給休暇取得義務に関して、労働基準法違反で企業側に罰則が科せられるケースもあります。

罰則の対象となる違反の例は、以下のとおりです。いずれも、原則として6カ月以下の懲役または30万円以下の罰則が科せられます。

  • 時間外労働(休日労働を除く)が、月間45時間または年間360時間を超過している
  • 年間10日以上の有給休暇が付与される従業員に対して、年5日の取得義務を怠っている

時間外労働は、特別な事情によって労使の合意があれば、一時的に上限を引き上げられます。しかし、特例による上限を超えないためには、労働時間の適切な管理が必要です。

打刻忘れがあった場合の対処法

まず、打刻忘れが発生する原因は以下の3点です。

  • 打刻装置または打刻場所に問題がある
  • テレワークの導入や勤務地の変更で労働環境が変化した
  • 打刻が、いかに重要かを従業員が理解していない

打刻忘れがあった場合は、極力早めに時刻の訂正処理を行わなければなりません。早期発見のためには、従業員自身または管理者が毎日打刻の状況を確認するのが効果的です。

打刻忘れが多く発生している企業は、以下のような取り組みを進めるとよいでしょう。

  • 打刻場所を工夫する
  • 従業員に打刻の重要性を理解してもらう
  • 勤怠管理システムの導入を検討する

打刻忘れの多くは、打刻の環境の問題や、打刻に対する認識不足によって発生します。打刻場所を工夫したり、従業員に打刻の重要性を周知したりすることで改善が見込めるでしょう。

また、勤怠管理システムを導入するのも効果的です。勤怠管理システムには、たとえば以下のような機能が搭載されています。

  • 従業員のスマートフォンで打刻ができる機能
  • 出退勤の予定時刻の直前に、アラートで知らせてくれる機能
  • 打刻忘れを自動検知し、アラートで知らせてくれる機能

機能性はシステムごとに異なるため、比較検討をしながら、自社が求める機能を備えたものを導入しましょう。

打刻漏れを防ぎ適切な勤怠管理を行うなら「バクラク勤怠」

打刻は労働時間の正確な管理のほか、適切な給与計算や残業時間の把握に必要です。打刻を適切に管理できていないと、従業員とのトラブルや労働基準法違反の罰則対象となる可能性があります。

打刻漏れを防いで適切な勤怠管理を行うには、勤怠管理システムの導入がおすすめです。バクラク勤怠は、チャットツールのSlack上で出勤/退勤・休憩打刻ができる勤怠管理システムです。

未打刻時の自動アラートや項目に合わせた一括通知、勤怠の承認作業なども、Slack上で完結できます。勤怠管理に必要な情報は一つの画面に集約されるため、従業員の労働時間や有給取得状況がしやすい管理者側のメリットもあります。

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