雑収入とは?仕訳される費用の例と課税区分や他科目との違いをわかりやすく解説

事業に直接関連しない収入は「雑収入」として扱います。しかし、どこまでが事業に関連する収入か、イメージを持てない人もいるのではないでしょうか。本記事では、雑収入の定義や具体例、目安、仕訳方法などを解説します。ぜひ、参考にしてください。

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雑収入とは?仕訳される費用の例と課税区分や他科目との違いをわかりやすく解説

雑収入とは

雑収入は、事業活動以外から生じる収入を指します。ここでは、雑収入の定義や具体例、計上できる目安について解説します。

雑収入の定義

雑収入は、本業以外の収入(営業外収益)を仕訳するための勘定科目です。国税庁のホームページでは、雑収入について以下のように示されています。

「空箱・作業くずなどの売却代金、仕入割引、リベート、取引先や使用人に対して事業上貸し付けた貸付金の利子、使用人の寄宿舎の使用料、買掛金の免除益など事業に伴って生ずる収入をいいます。」

※引用:【確定申告書等作成コーナー】-雑収入とは

雑収入の具体例

雑収入の具体例として、以下のようなものが挙げられます。

  • 生命保険や損害保険などの契約を解約する際に受け取る解約返戻金
  • 契約満了時に受け取れる満期保険金
  • 保険積立金がある場合の差額
  • 保険会社の配当金や還付加算
  • 事故などによる保険金の入金
  • 損害賠償金の入金
  • 仲介業務による報酬
  • 公的機関からの助成金や補助金
  • 新型コロナウイルス感染症の持続化給付金の入金
  • 取引先からの慶祝金
  • 自動販売機設置場所提供の対価
  • 本業以外の家賃収入
  • 作業くずやスクラップなどの売却代金
  • 現金過不足の超過分
  • 預かり保証金のうち返還されないもの
  • 消費税の確定申告時の差額調整

保険料の勘定科目については以下も参考にしてください。

保険料の勘定科目は?生命保険・損害保険など種類別の仕訳や受取金の経費処理

雑収入の目安

営業外収益の10%までであれば、一般的に雑収入として計上が認められます。目安が設けられる理由は、適正な財務報告を保つためです。たとえば、ある企業の営業外収益が500万円の場合、最大で50万円(500万円 × 10%)までは雑収入として計上できます。適切な雑収入の計上は、企業の財務状況を正確に反映するために重要です。

雑収入と雑所得の違いは?

雑収入と雑所得は似て非なるものです。両者は頻繁に混同されますが、税務上の扱いが異なる重要な概念です。雑収入は事業所得の一部として扱われますが、雑所得は給与所得や事業所得以外の個人所得を指します。国税庁のホームページでは、雑所得について以下のように記載されています。

「雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。」

適切な税務処理を行うために、雑収入と雑所得を明確に区別しましょう。

※引用:No.1500 雑所得|国税庁

雑収入の仕訳方法

雑収入の仕訳方法は、取引の性質によって異なります。代表的な雑収入の仕訳例を具体的なケースごとに説明します。

作業くずやスクラップを売却した場合

不用品である作業くずやスクラップを売却した場合、雑収入として仕訳します。作業くずやスクラップは、事業の主たる目的とは無関係に発生したものです。売却によって得た収入は雑収入として処理してください。

還付金が返金された場合

法人税や消費税などの還付金が返金された場合も、通常は雑収入として仕訳します。還付金は、過去に支払った税金の返金です。事業に直接関連しない収入であるため、雑収入として処理します。

保険金を受け取った場合

生命保険や損害保険などの契約を解約する際に受け取る解約返戻金は、「雑収入」という勘定科目を使いましょう。

保険積立金がある場合の差額は「雑収入」もしくは「雑損失」で処理します。または、保険積立金に計上した金額を取り崩す処理でも構いません。

契約満了時に受け取れる満期保険金も「雑収入」で処理しましょう。

保険料の勘定科目は?生命保険・損害保険など種類別の仕訳や受取金の経費処理

現金過不足が発生した場合

現金残高が帳簿と合わず現金過不足が発生した場合、過剰分は雑収入として仕訳してください。一時的に雑収入として処理することで、会計の透明性が保たれます。ただし、雑収入としての仕訳は暫定的なものです。現金過不足の原因が判明した時点で、適切な勘定科目に振り替える必要があります。

雑収入の税法・税制上の取り扱い

雑収入の税法・税制上の取り扱いについて解説します。雑収入は基本的に消費税の課税対象ですが、課税対象外となる場合もあります。

雑収入は基本的に消費税の課税対象である

雑収入は原則として消費税の課税対象となりますが、取引の性質によって慎重な判断が必要です。取引に対価性があるかどうかで、課税対象かどうかが決まるためです。たとえば、不用品の売却で得た収入は、対価性があるため課税対象となります。一方、贈与や寄附のような対価性のない取引は非課税です。

このように、雑収入の消費税対象判断は、取引の対価性を基準に行います。適切な税務処理をするためにも、各取引の性質を慎重に検討しましょう。

課税対象外となる雑収入もある

すべての雑収入が消費税の課税対象というわけではありません。前述のように、対価性のない取引は課税対象外となります。課税対象外となる雑収入には、以下が挙げられます。

  • 土地や有価証券の譲渡
  • 預貯金や貸付金の利子
  • 商品券の譲渡
  • 社会保険医療サービス

雑収入の消費税処理には注意が必要です。取引の性質を正確に把握し、課税対象か対象外かを適切に判断しましょう。

青色申告で雑収入を申告できる? 知っておくべきメリットと注意点

青色申告では、雑収入も含めた詳細な収支を申告します。ここでは、青色申告で雑収入を申告するメリットと注意点について解説します。

青色申告のメリット

青色申告にはさまざまな優遇措置が用意されています。青色申告の主な優遇措置には以下があります。

  • 最大65万円の特別控除
  • 経営赤字の最長3年繰越
  • 専従者給与の経費計上
  • 30万円未満の資産の一括計上
  • 貸倒引当金の経費計上

上記の優遇措置により、青色申告は事業者の税負担軽減と経営の安定化に大きく貢献します。適切な記帳習慣を身につけ、青色申告のメリットを有効活用しましょう。

青色申告の注意点

青色申告には手続きと適正な記帳が必要であり、不適切な処理は問題を招く可能性があります。たとえば、青色申告をする際は、事前に、納税地の税務署長に「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。

また、仕事とプライベートの費用が不明瞭な支出を経費計上すると、税務署の疑いを招く可能性があります。青色申告のメリットを活かすために、適切な手続きを行い、経費の計上には十分な注意を払いましょう。

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